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中国における専利(特許・実用新案、意匠)に関する行政取締りの概要

2013年03月05日

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■概要
中国では、専利権が他人に侵害された場合、権利者又は利害関係人は、管轄権を有する各地方の専利業務管理部門(以下、「地方知識産権局」という。)に行政取締りの申立を提出することができる。
■詳細及び留意点
専利権侵害についての行政取締り手続き

専利権侵害についての行政取締り手続き

 

 中国では、専利(特許・実用新案、意匠)権が他人に侵害された場合、権利者又は利害関係人は管轄権を有する地方知識産権局(中国語「知识产权局」)に行政取締りの申立を提出することができ(専利法第60条、行政法執行弁法第8条)、その手続きは上記のような流れで進められる。

 

(1)行政取締りの申立

  • 管轄権を有する地方知識産権局へ取締り申立を行う場合、各地方の知識産権局ごとに必要となる申立書類等が異なる恐れがあり、また、申立書類の不備の有無のチェック等に時間を要するため、事前に電話で必要書類やスケジュールを確認し、いつ申立書類を提出するか、予約を入れておくことが望ましい。
  • 申立を行う場合、次の条件を満たしていなければならない(行政法執行弁法第8条)。

(i)申立人は専利権者又は利害関係人であること

(ii)明確な被申立人があること

(iii)明確な請求内容と具体的な事実、理由があること

(iv)当事者が当該専利権侵害紛争について、裁判所に提訴していないこと

  • 申立の提出に必要な書類及び証拠は以下のとおりである(行政法執行弁法第9条、第10条)。

(i)授権委任状と有効な営業許可証(日本企業である場合、全部事項証明書)

(ii)特許証明書、年金納付の領収書(一部の知識産権局では特許登録部謄本も要求される)。

(iii)申立書(被申立人の情報、侵害事実と事由、法的根拠及び申立事項等を明記する必要がある)。

(iv)侵害証拠(被申立人が権利者の許諾を得ずに、その特許を実施したことを証明できる書証、物証、鑑定結果などを提出すべきである)。

なお、権利者が外国人、又は外国企業である場合、上記の(i)について、所在国で公証、認証を受ける必要がある。

 

(2)取締り申立の受理、実地検証

  • 地方知識産権局は、行政取締り申立が行われると、5業務日以内に申立人により提供された関連書類等を厳密に審査し、書類上の不備がないと判断した場合は受理、立件する。書類上の不備がある場合には、申立を受けた日から5業務日以内に、請求者へ受理しない旨の通知とその理由の説明が行われる(行政法執行弁法第11条)。
  • 地方知識産権局が行政取締り申立を受理した場合、申立人に通知を行い、案件担当者を指定する。また、申立人の提出した申立書と関連書類を、立件日から5業務日以内に被申立人に送付する(行政法執行弁法第12条)。
  • 地方知識産権局は、申立を受理、立件した後、被申立人の現場に赴き実地検証を実施することができる(行政法執行弁法第36条)。実地検証は、地方知識産権局が相手側に通知することなしに、相手側の所在地に赴き、侵害品の在庫、製造状況などを確認の上、記録するという手続きである。実務においては、通常、立件後数日内に被申立人の工場に赴き実地検証が実施されるが、上述の被申立人への申立書等の送付はこの時に(実地検証の現場で)行われる。
  • 被申立人は、上記書類を受領した後、15日以内に答弁書を提出すべきである。ただし、所定の期間内に答弁書が提出されなかった場合でも、紛争処理の進捗には影響はない。なお、答弁書が地方知識産権局へ提出されると、受領から5業務日以内に申立人に答弁書の副本が送達される(行政法執行弁法第12条)。

 

(3)口頭審理(行政法執行弁法第14条)

  • 地方知識産権局は、案件の状況に応じて、合議体を構成して、口頭審理を行うかどうかを決定することができる。口頭審理を行うと決定された場合は、口頭審理より少なくとも3業務日以内に当事者に口頭審理の時間や場所等について通知がなされる。
    正当な理由なく口頭審理への出席を拒否した場合、又は許可を得ずに途中で退席した場合、申立人であれば請求を取り下げたものとみなされ、被申立人であれば欠席とみなされる。欠席とみなされても申立人のように法的不利益を受けることはないが、申立人の主張に対して抗弁を行う機会を失うことになる。

 

(4)調停

 地方知識産権局は、紛争を解決する過程において、両当事者の意思に基づいて調停を行うことができる。いずれかの当事者に和解の意思がある場合、地方知識産権局は、その調停の意思を他の当事者に伝え、当事者双方が合意した場合、調停協議書を作成する。調停が整わなかった場合は、適時に処理決定が下される(行政法執行弁法第13条)。

 

(5)処理結果

  • 調停が成立した場合は、申立人が申立を撤回した場合を除き、地方知識産権局により、権利侵害行為及び関連証拠に基づき、被申立人の行為が侵害に該当するか否かについて判断され、処理決定書が作成・発行される(行政法執行弁法第17条)。
  • 専利権侵害事件において、地方知識産権局は、立件から4ヶ月以内に処理決定を下し、案件を終結しなければならない。案件が極めて複雑なため、期限を延長する必要がある場合、1ヶ月間を延長することができる(行政法執行弁法第19条)。
  • 処理決定書について不服がある場合は、決定書受領日から15日以内に、管轄権を有する裁判所に行政訴訟を提起することができる(専利法第60条)。
■ソース
・中国専利法
・中国専利行政法執行弁法
・特許権紛争事件の審理における法律適用問題に関する若干の規定
■本文書の作成者
北京林達劉知識産権代理事務所
■協力
特許庁総務部企画調査課 山中隆幸
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期

2012.11.05

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