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(韓国)特許等の権利侵害に関する警告状を受けたときの対応策

2013年01月25日

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■概要
他人から特許権等の侵害を理由に警告状を受けた場合は、一つ一つの問題点を確認しながら、解決する方法を模索する必要がある。
■詳細及び留意点

 特許権者から特許権等の侵害を理由に警告状を受けた場合は、いくつかの事項についての事実確認をした後、確認した事実に基づき適切に対応する必要がある。警告状及び通告文に回答期日が記載されている場合は、侵害の有無とは関係なく、指定された期日までに回答をするのが望ましい。指定期日までに回答をしないと、訴訟手続き等次の段階に進まれる可能性が増し、紛争が大きくなるおそれがある。

 一般的に、当該特許権者が個人である場合は、一般的に、早急に法的措置をとってくる傾向が強いが、慎重に対応することが必要である。大企業であれば、いきなり法的措置をとることはなく、まずは協議を行い、協議が成立しない場合に最終的に法的措置をとるという傾向がある。以下では特許侵害を例に説明する。

 

(1)事実確認:特許権者等についての情報収集

 まず、警告者が特許権者であるかどうか、また、当該特許権が有効かどうかを特許公報や公知資料等を調査して確認する。

 有効な特許権の保有者である場合、当該特許権者は個人なのか法人なのか、法人の場合どのような規模か、特許保有数はどの程度か、過去に特許侵害訴訟等を起こしたことがあるか等、当該特許権者についての情報を収集する必要がある。特許権者の特性によって、とるべき対応が異なる場合もあるためである。

 

(2) 事実確認:特許権等の権利侵害であるのかどうかの有無分析

 自社の製品が他人の特許権を侵害しているのかどうかの技術的分析を細かくしなければならない。争いの余地があるところを探し出すのが重要である。その際、費用節約のために、まず自社で十分に必要な技術分析をした後、特許事務所等に「技術比較検討」を依頼し、侵害の有無を確認するのが望ましい。

 

(3)協議

 警告状及び通告文に対する答弁書には、侵害の有無についてはもう少し検討する必要があるとして、相手方に協議を要請することが望ましい。警告者の特許権を侵害していないと判断する場合でも、協議を通して相手方の理解を促し、相手方がむやみに法的手続をとらないように配慮する必要がある。侵害している場合は、協議を通じて互いに友好的な関係を築きながら、ロイヤルティーを決定するのが望ましい。

 

(4)権利範囲確認審判及び無効審判の要否検討

 調査の結果、警告者の特許権を侵害していないと判断するものの警告者(特許権者)が民事・刑事等の法的措置をとる憂慮がある場合は、権利範囲確認審判及び警告者の特許権の無効審判の提訴準備をするのが望ましい(特許法第135条)。

 自社の製品が特許権者の権利範囲に属さないという消極的権利範囲確認審判を請求すれば、権利侵害訴訟が進行されたとしても、確認審判の審決が確定されるまでは当該侵害訴訟の進行は中止されることもあるので、この制度を利用する方法がある(特許法第164条2項)。

 

【留意事項】

 警告状を受けた場合は、速やかに侵害の有無等を調査し、紛争が大きくなるのを避けるために指定された回答期日までに回答すべきである。万一、警告者から法的措置を受ける憂慮があれば、審判請求(権利範囲確認審判、無効審判)の準備も進めるのが望ましい。 

■ソース
・日経BP社発行 日経ビズテック No.003(2004年10月15日発行)記事
「ロイヤルティー以外の収入も考えよ」崔達龍寄稿 
・(財)日本関税協会 知的財産情報センター(サイピック)発行 CIPICジャーナVol.151
(2004年8月発行)記事「韓国における知的財産権の取得及び侵害対策」弁理士崔達龍
・(財)日本関税協会 知的財産情報センター(サイピック)発行 CIPICジャーナVol.175
(2006年12月発行)記事「韓国における知財分野の動向及び実務対策」弁理士崔達龍
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所
■協力
一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
特許庁総務部企画調査課 山中隆幸
■本文書の作成時期

2012.10.29

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