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ベトナムにおけるライセンスに関する法制度と実務運用の概要

2013年01月08日

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■概要
ベトナムにおける準拠法、裁判管轄については、準拠法をベトナム法、裁判管轄地をベトナムとすることが有利である。ライセンス登録については、工業所有権とノウハウ、著作権それぞれで登録すべき機関が異なる。フランチャイズ契約については登録が不要だが、事業登録の申請が必要であり、申請時のみ登録料を支払うが、以降の毎年の更新時には金銭的負担はない。
■詳細及び留意点

(1)準拠法及び裁判管轄について

 ライセンス契約及び秘密保持契約が有効と判断されるためには、契約内容がベトナムの法律に反するものでないことが要件となるため(民法第769条)、準拠法はベトナムの法律にすることが推奨される。

 ベトナム以外の国を裁判管轄地に指定した場合において、当該指定国での判決をベトナム国内で執行するためには、改めてベトナムの裁判所に執行を求める手続が必要になる。そのため、裁判管轄地においてもベトナムの裁判所を指定することが推奨される。

 

(2)仲裁条項について

 仲裁条項を契約内で設けることについて制限はない。また、ベトナムはニューヨーク条約加盟国であるため仲裁地を他国に指定することも可能である。仲裁結果については、ベトナムの法律に反しない限りで有効となるため、注意が必要である。

 

(3)ライセンス契約の登録について

 特許・実用新案・意匠・商標等のライセンス契約の登録は、ベトナム国家知的財産庁(National Office of Intellectual Property:NOIP)に対して行い、ノウハウ等の技術移転契約はベトナム科学技術省(Ministry of Science and Technology:MOST)に対して行う。なお、著作権のライセンス登録は、文化スポーツ観光省(Ministry of Culture,Sports and Tourism)に対し行う。なお、ライセンス契約の内容中に、特許権とノウハウが混在する場合、それぞれ別々にNOIP、MOSTに登録を行う必要がある。

 工業所有権のライセンス契約においては、ライセンス契約を第三者に対抗するためにはNOIPに登録する必要がある(知的財産権法第148条第2項)。

 

(4)ライセンス契約の登録申請について

 工業所有権のライセンス登録について、一件の申請で多数の権利を含むライセンス登録が可能である。申請に必要な書類は、申請書及び契約書の原本2部となっている。契約書原本の2部のうち、1部がNOIPでの保管用、もう1部がNOIPで登録された旨のシールを貼付して申請者に返還する用である。なお、契約書に用いられる言語について規制はないが、NOIPに登録申請を行う際に、契約書の言語がベトナム語以外である場合はベトナム語へ訳文証明の提出が必要となる。

 登録の申請がなされてから、実際に登録に至るまでの期間は2~3か月である。審査については知的財産法の規定に沿って形式的な審査を行うのみで、その他ベトナム法との整合性についての審査は行われない。そのため、民法に反する等で紛争が生じた場合、登録及び契約が無効とされるため、注意が必要である。

 ライセンス契約の登録内容は非公開であり、紛争が生じた際の利害関係人や経済警察以外はアクセスすることはできない。

 

 ノウハウのライセンス登録は条文上MOSTに行うこととなっているが、実質は各地方の科学技術局が窓口となっており、申請を受け付けている。また、ライセンス登録を行うことで第三者への対抗要件となるだけでなく、登録により一定の減税・免税を受けることができる。申請に必要な書類は申請書と契約書の原本となっており、契約書についてはベトナム語である必要がある。また、契約書の内容については、技術内容が実施できる程度に開示されている必要がある。

そして、登録の申請が受理されてから15日以内に形式的な審査が行われ、登録される技術は以下のいずれかの技術として分類され、登録が拒絶されるものから、税制面で優遇されるものまである。また、登録がされるだけで、下記技術分類に関係なく、ロイヤルティ送金時のメリットを享受できる。銀行は、ロイヤルティの送金に際し契約書の提出を要求し、契約内容について厳しい審査を行うため、送金手続が実施されにくい。しかし、登録がされていれば登録証を添えるだけで審査手続が省略され、速やかなロイヤルティ送金が可能となる。

 

(i)移転不可の技術(申請は拒絶される)

(ii)移転が制限されている技術

(iii)移転が奨励されている技術(減免税の対象、金利・土地代等の金融面で優遇される)

(iv)上記に当てはまらない技術

 

(5) 技術移転契約及びフランチャイズ契約について

 フランチャイズ契約について事業登録の申請を行わなければならないが、契約自体の登録制度はなく、契約は、当事者の合意により有効となる。また、フランチャイズ事業の登録申請は商工業省(Ministry of Industry and Trade)に対して行うが、契約の締結前にフランチャイザーが申請を行わなければならない。申請に必要な書類は、申請書及び事業展開説明書、フランチャイズ契約書の草案、フランチャイザー側が発効した営業許可証、前年度のファイナンシャルレポート、商標登録証(国外の登録証も可能)となっている。申請を行ってから登録までは1か月程度かかるが、現地のヒアリングによれば登録を拒絶されることは少ないとされている。フランチャイズ契約の登録事業料は1,650万ドンであり、初回のみの負担金であるため、毎年の更新料は不要となっている。

■ソース
特許庁平成23年度産業財産権制度問題調査研究
「我が国企業の新興国への事業展開に伴う知的財産権のライセンス及び秘密管理等に関する調査研究」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/pdf/zaisanken/2011_17.pdf http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/zaisanken.htm#5003
■本文書の作成者
特許庁総務部企画調査課 和田健秀
■本文書の作成時期
2012.11.06
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