アジア / ライセンス・活用
インドネシアにおけるライセンスに関する法制度と実務運用の概要
2012年11月22日
■概要
ライセンス契約の登録について、特許・意匠・商標・営業秘密において登録がされなければ第三者に対応できないとされている。しかし、実施規則が定まっておらず、申請は受理されるが、登録がされているわけではない。一方、後に強制ライセンスの対象となることを防ぐために、登録申請を行った証拠を残すことが重要である。■詳細及び留意点
(1)準拠法及び仲裁条項について
契約当事者は、どの国の法律が契約に適用されるかについて自由に選択することができる。また、仲裁条項の扱いについては、インドネシアはニューヨーク条約の加盟国であることから、ライセンス契約において仲裁機関を第三国機関に指定しても仲裁結果は認められる。
(2)ライセンス契約の登録について
特許権及び意匠権ライセンス契約については、手数料の支払いとともに法務人権省知的財産総局(DGIPR)において登録され、公開されなければならず(特許法第72条1項)、DGIPRに登録されない場合、第三者について法的拘束力を有さない(特許法第72条2項)とされている。また、工業意匠原簿に記録されない実施許諾契約についても第三者に対抗できない。
商標ライセンスについても、登録により第三者に対抗できるようになる(商標法第43条3項)。また、営業秘密ライセンスについても、登録がなければ第三者に対して対抗できない(営業秘密法第8条2項)とされている。
(3)ライセンス契約の登録申請について
各ライセンス契約の登録について、特許局、商標局、著作権・産業意匠・集積回路配置・営業秘密局のそれぞれに登録を行う。ライセンス契約に関する詳細な規定については政令で定める(特許法第73条)とされているが、各実施規則が定められていないため登録に関する申請は受理するが、その後の手続や審査は行われていない。また、ライセンス契約は公報にて公開されることになっているが、この点についても実施規則が定められていないため、公開はされない。
(4)ライセンス契約の登録申請の実情について
ライセンス契約については各局で行うこととされているが、実際には実施規則がないため登録ができない状態となっている。この点について、強制ライセンスの対象となる可能性もあることから、現地企業では契約書をDGIPRに持って行き、その受領印をもらうということを行っている。
(5)フランチャイズ契約について
フランチャイズ契約については商業省に登録をする必要があり、フランチャイザーとしての登録及び個別のフランチャイズ契約を登録する必要がある。これについては契約書も添付し申請書を提出して行う。
■ソース
特許庁平成23年度産業財産権制度問題調査研究「我が国企業の新興国への事業展開に伴う知的財産権のライセンス及び秘密管理等に関する調査研究」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/zaisanken.htm#5003 http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/pdf/zaisanken/2011_17.pdf
■本文書の作成者
特許庁総務部企画調査課 和田健秀■本文書の作成時期
2012.10.29