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台湾におけるインターネット上の著作権侵害とノーティス・アンド・テイクダウン

2019年05月14日

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■概要
台湾では、インターネット上の著作権侵害行為について、インターネット・サービス・プロバイダ(以下、プロバイダ)は、ノーティス・アンド・テイクダウン手続により、ネット利用者(以下、利用者)の侵害行為について賠償責任を免れることができる。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1)ノーティス・アンド・テイクダウン

(ⅰ)必要性

 一般的に利用者による著作権侵害について、プロバイダの責任の範囲が不明確であるが、インターネット上の著作権侵害の被害は急速に広がることから、プロバイダに適切な対応を行わせる必要がある。そこで、所定の行動を行うことを要件に、利用者による著作権侵害についてプロバイダの賠償責任を免責するノーティス・アンド・テイクダウンの規定が台湾の著作権法に設けられている。

 

(ii)概要

 台湾の著作権法では、プロバイダを4つの類型に分けて定義し(著作権法第3条第1項第19号)、第90条の4第1項で定める行為を行うプロバイダがノーティス・アンド・テイクダウンの適用対象となる。賠償免責の要件はプロバイダの種類ごとに規定されている(同第90条の5から第90条の8)。なお、賠償免責の要件に従って侵害物を削除された利用者から削除された物の回復を求める規定があり(同第90条の9)、事実に反して権利侵害または回復請求を通知した場合の損害賠償責任も規定されている(同第90条の11)。

 

(iii)プロバイダの定義

 台湾著作権法におけるプロバイダは以下の4つのタイプがあり、その種類と定義は下記のとおりである(同第3条第1項第19号)。

 

接続サービス・プロバイダ

その管理または運営するシステムまたはネットワークを通し、有線または無線の方式を以て、情報の伝送、発送、受取、若しくは前記の過程における中間的で一時的なストレージの役務を提供する者。

快速アクセス・サービス・プロバイダ

利用者の要求に応じて情報を伝送した後、その管理または運営するシステムまたはネットワークを通じ、その情報に対し中間的で一時的なストレージをし、その後、その情報の伝送を要求する利用者がその情報にクイックアクセスできる役務を提供する者。

情報ストレージ・サービス・プロバイダ

その管理または運営するシステムまたはネットワークを通し、利用者の要求に応じて情報ストレージの役務を提供する者。

検索サービス・プロバイダ

オンライン情報の索引、参考またはハイパーリンクに関する検索またはハイパーリンクの役務を提供する者。

 

(iv)プロバイダに免責規定が適用される要件

 プロバイダは、上記の4類型のいずれかを問わず、下記①から④の全ての行動を行うことにより、ノーティス・アンド・テイクダウンに関する規定の適用対象となる(同第90条の4)。

 

①    契約、電子伝送、自動検出システムその他の方式を以てその著作権または製版権の保護措置を利用者に告知し、確実にその保護措置を実施する。

②    契約、電子伝送、自動検出システムその他の方式を以て、権利侵害に係ることが三回あった場合、全部または一部のサービスを終了しなければならないと利用者に告知する。

③    通知書類を受け取る連絡窓口の情報を公告する。

④    著作権法第90条の4第3項の汎用的な識別用または保護用の技術的措置を実行する。

 

(v)著作権者等に対するプロバイダの免責要件

 利用者の著作権侵害について賠償責任を免れるための要件、またはプロバイダが行うべき措置は、下記が定められている(同第90条の5から第90条の8)。

 

(A)接続・サービス・プロバイダ(第90条の5第1号から第2号)

①  送信された情報が利用者による発動または請求されたものであること。

②  情報の送信、リンクまたは保存が自動化技術により実行され、かつ接続サービス・プロバイダにより如何なる選択または変更もなされないこと。

(B)快速アクセス・サービス・プロバイダ(第90条の6第1号から第3号)

①  アクセスされた情報を変更しないこと。

②  情報提供者がその自動アクセスされた一次情報を修正・削除または遮断する際、自動化技術を通じて同一の処理を行うこと。

③  著作権者または製版権者がその利用者が権利侵害行為に係ることを通知した後、迅速にその権利侵害に係る内容若しくは関連情報を除去し、または他人がアクセスできないようにすること。

(C)情報ストレージ・サービス・プロバイダ(第90条の7第1号から第3号)

①  利用者が権利侵害行為に係ることを知らないこと。

②  利用者の権利侵害行為により直接財産上の利益を得ないこと。

③  著作権者または製版権者がその利用者が権利侵害行為に係ることを通知した後、迅速にその権利侵害に係る内容若しくは関連情報を除去し、または他人がアクセスできないようにすること。

(D)検索サービス・プロバイダ(第90条の8第1号から第3号)

①  サーチまたはリンクされた情報が権利侵害に係ると知らないこと。

②  利用者の権利侵害行為により直接財産上の利益を得ないこと。

③  著作権者または製版権者がその利用者が権利侵害行為に係ることを通知した後、即時にその権利侵害に係る内容若しくは関連情報を除去し、または他人がアクセスできないようにすること。

 

(vi)利用者に対する免責要件

 次に掲げる状況のいずれかがある場合、プロバイダは権利侵害に係る利用者に対し賠償責任を負わないものとする(同第90条の10)。

 

①  プロバイダが、上記(v)(即ち第90条の5から第90条の8)によりその権利侵害に係る内容若しくは関連情報を除去し、または他人がアクセスできないようにする。

②  プロバイダが、利用者の行為が権利侵害の事情に係ることを知った後、善意に基づき権利侵害に係る内容若しくは関連情報を除去し、または他人がアクセスできないようにする。

 

(vii)その他の規定

 その他のノーティス・アンド・テイクダウンに関連する規定を下記にまとめる。

情報ストレージ・サービス・プロバイダに関する規定

(第90条の9)

①  情報ストレージ・サービス・プロバイダは、利用者と約定した連絡方式または利用者が残した連絡先情報により、第90条の7第3号(即ち上記の(v)(C)③)の処理の状況を権利侵害に係る利用者に転送しなければならない。ただし、提供される役務の性質により通知できない場合は、この限りでない。

②  利用者がその権利侵害の状況がないと考える場合、返答通知の書類を提出する上で、除去され若しくは他人がアクセスできないようにされた内容または関連情報を回復するよう情報ストレージ・サービス・プロバイダに要求することができる。

③  情報ストレージ・サービス・プロバイダが上記の返答通知を受け取った後、直ちに返答通知の書類を著作権者または製版権者に転送しなければならない。

④  著作権者または製版権者が情報ストレージ・サービス・プロバイダから上記の通知を受け取った翌日から10営業日以内に、既にその利用者に対し訴訟を起こした証明を情報ストレージ・サービス・プロバイダに提出する場合、情報ストレージ・サービス・プロバイダは回復する義務を負わないものとする。

⑤  著作権者または製版権者が前項の規定により訴訟を起こした証明を提出しない場合、情報ストレージ・サービス・プロバイダは遅くとも返答通知を転送した翌日の14営業日以内に除去されまたは他人がアクセスできないようにされた内容若しくは関連情報を回復しなければならない。ただし、回復できない場合、事前に利用者に告知し、または他の適宜な方式を提供した上で使用者に回復させなければならない。

利用者に関する規定

(第90条の11)

利用者は、故意または過失により、プロバイダに対して不実な通知(例えば、著作権者の名を騙り、プロバイダに通知する場合)または回復請求(例えば、他人の著作物を自分の著作物と偽って回復を請求する場合)を提出し、他のインターネット利用者、プロバイダ、著作権または製版権者に損害を受けさせた場合、損害賠償責任を負う。

 

(2)ノーティス・アンド・テイクダウンの流れ

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ノーティス・アンド・テイクダウンの流れ

 

 インターネット上の著作権侵害行為を発見した場合、損害証拠を保存する上で、プロバイダに対し、著作権者または製版権者の氏名、連絡先、侵害された著作物のタイトルなどの情報を通知し(インターネット・プロバイダ民事免責に係る施行規則を参照願)、権利侵害物を削除することを要請できる。プロバイダは侵害物を削除すれば、著作権侵害の責任を追及されないが、削除しなければ著作権侵害の責任を免除されない。

 また、接続サービス・プロバイダは接続サービスのみを提供し、権利侵害物の削除または遮断する立場にないので、権利者はプロバイダに情報を削除することを要請できない。

 

 

【留意事項】

・インターネット上の著作権侵害行為について、訴訟の準備を整えるため、公証人にウェブページの公証を依頼することが考えられる。

・著作権者はプロバイダにインターネット上の侵害物を削除させるために、ノーティス・アンド・テイクダウンに関する手続きを求められる他、民事訴訟法に基づいて仮処分を申立て、侵害行為の差止めを求めることもできる。

■ソース
•台湾著作権法
https://www.tipo.gov.tw/public/Attachment/71417515051.pdf ・台湾著作権法(英文)
https://www.tipo.gov.tw/lp.asp?CtNode=7113&CtUnit=3316&BaseDSD=7&mp=2 ・台湾著作権法(台湾知的財産権情報サイト-日本台湾交流協会による参考和訳)http://www.chizai.tw/uploads/20110406_77064663_%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E6%B3%9520100210.pdf?PHPSESSID=001efce8f382a20097743a8c0c5d6f02
•Regulations Governing Implementation of ISP Civil Liability Exemption(インターネット・プロバイダ民事免責に係る施行規則)https://law.moj.gov.tw/Eng/LawClass/LawAll.aspx?PCode=J0070042
•台湾民法
https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?PCode=B0000001 •台湾刑法
https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?PCode=C0000001
■本文書の作成者
聖島国際特許法律事務所
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期
2018.7.24
■関連キーワード
4300   Notice & Takedown   TW-fq-4300   TW-fq-9999   TW:台湾   インターネット   ノーティス・アンド・テイクダウン   プロバイダ   実務者向け   権利侵害   著作権  

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