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ブラジルにおけるロイヤルティ送金及び営業秘密に関する法制度と実務運用の概要

2012年08月27日

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■概要
ライセンス契約においてはブラジル特許庁(INPI)への登録が第三者への対抗要件であり、ロイヤルティの海外送金及び損金算入の要件でもある。企業秘密及びノウハウを含む秘密情報は、産業財産法、刑法等により保護されている。
■詳細及び留意点

 ライセンス契約についてはブラジル特許庁(INPI)に登録されていないと第三者に対抗できず、INPIへの登録がロイヤルティ送金の要件(外資法第3条)にもなっている。例えば、関連会社との商標ライセンス契約に基づくロイヤルティ海外送金の上限は売上高の1%であり、関連会社との特許ライセンス契約または技術移転契約に基づくロイヤルティ海外送金の上限は5%であり、更に、業種により細かく上限が設定されている。資本関係がない会社との契約の場合は、ロイヤルティ料率は5%以上でも良いが、法人所得税法の制限によりロイヤルティ支払いによる控除の上限は5%である。

 

 また、INPIに登録されていることがロイヤルティの損金算入要件(所得税法、財務省令)になっている。例えば、商標ライセンス契約に基づくロイヤルティ支払いによる控除の上限は売上高の1%であり特許ライセンス及び技術移転のロイヤルティ支払いによる控除の上限は5%であり、更に、業種により細かく上限が設定されている。資本関係に拘わらず、法人所得税法の制限によりロイヤルティ支払いによる控除の上限は5%である。

 

 企業秘密及びノウハウを含む秘密情報は、産業財産法、法律第10.603/2002号、及び刑法により保護されている。産業財産法は、営業秘密に関する不当競争行為と(産業財産法第195 条(XI)及び(XII))その罰則を規定している。

 

 営業秘密の概念はブラジル国内法で規定されていない。しかし、営業秘密の侵害は、不正競争の実行を成すので、産業財産法第195 条(XI)にある「契約関係又は雇用関係により知得した秘密の知識、情報又は資料であって、公知のもの又は当該分野の熟練者にとって自明のものを除き、工業、商業又はサービス提供において使用し得たもの」が営業秘密の概念に該当すると考えられる。また、知的財産法第206条には裁判手続を非公開で行える旨の規定が設けられている。

 

 現地の企業・法律事務所へのヒアリング(ソースの報告書参照)では以下のような声があり、退職後の秘密保持契約は問題ないが、競業避止義務は問題となる可能性があるようである。

  • 秘密保持契約に退職後の秘密保持義務を設定させたり、競業避止義務や社内情報のアクセスの注意を記載した社内ガイドラインを設けたりしている
  • 委託や派遣社員にも秘密保持契約を締結させている。期間は特許期間を超えない範囲程度まで可能である
  • 秘密管理方法としては、全体を見える人を作らないようにしている
  • 離職する会社員の同業他社への移動が認められるか否かは、議論されている。違法になりつつある。司法で議論されている。

 

【留意事項】

 ライセンス契約のINPIへの登録がロイヤルティの送金及び損金算入の要件になっていること、ロイヤルティの海外送金及び支払いによる控除の上限が細かく定められていることに注意を要する。また、ブラジルに限った話ではないが、営業秘密は契約含め各種の方法によりきちんと管理する必要がある。

■ソース
特許庁平成23年度産業財産権制度問題調査研究
「我が国企業の新興国への事業展開に伴う知的財産権のライセンス及び秘密管理等に関する調査研究」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/zaisanken.htm#5003 http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/pdf/zaisanken/2011_17.pdf
■本文書の作成者
特許庁総務部企画調査課 和田健秀
特許庁総務部企画調査課 古田敦浩
■本文書の作成時期

2012.08.22

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