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ブラジルにおけるライセンスに関する法制度と実務運用の概要

2012年08月27日

  • 中南米
  • ライセンス・活用
  • 特許・実用新案
  • 商標

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■概要
 準拠法の指定を制限する法規制はない。特許、意匠及び商標のライセンスについてはブラジル特許庁(INPI)に登録されなければ第三者に対して効力を発しない。ライセンス登録しなくても契約は有効だが、ロイヤルティを海外送金できず、税控除も受けられない。INPIにおいてノウハウライセンス契約は技術移転契約として扱われる。
■詳細及び留意点

 準拠法の指定を制限する法規制はないが、特許または商標ライセンスについてはブラジル特許庁(INPI)に登録する必要がある。また、裁判地を日本とすることについて制約はないが、判決を執行するためには連邦高等裁判所一定の手続を経て、ブラジルの公共秩序に反していないか等確認する必要がある。その他仲裁条項の扱いについては、ブラジルはニューヨーク条約の加盟国であるため、仲裁地の指定を制限されることはない。

 

 ライセンスについて、INPIにライセンス登録の申請をする契約はいずれも当事者によって締結されなければならず、2人の証人が必要である。これは当事者による契約の存在を証明するために、ブラジル民法の第212条、民事手続法第585条に規定されている。添付文書を含む契約の各ページに当事者と証人のイニシャルを書かなければならない。また、外国の当事者のサインはブラジルでその法的拘束力を持たせるために、ブラジル領事館で公証を受けなければならない。さらに、契約では、署名の場所と日付だけでなく、当事者の代表者のフルネームと肩書きを記載しなければならない。代表が弁護士であるならば、それはしかるべく公証されブラジル領事館で認証を受けた委任状の写しも提示する必要がある。

 

 特許ライセンス契約は産業財産法第62条、意匠ライセンス契約は同第121条、商標ライセンス契約は産業財産法第140条に、「ライセンス契約は第三者に対して効力を生じるために登録が必要である」旨の記載がある。一方で、INPIに登録されていることが、ロイヤルティ送金要件(外資法)及びロイヤルティの損金算入要件(所得税法、財務省令)となっている。すなわち、ライセンス登録しなくても契約は有効だが、ロイヤルティを海外送金できず、税控除も受けられないことになる。

 

 産業財産権法は、特許を受けてない技術を有効なものとして取り上げていないため、INPIはノウハウを所有権の対象とはみなさない。そして、INPIは、契約終了後にライセンシーがその技術を使用できなくなるような営業秘密ライセンス契約は認めていない。つまり、契約満了後のノウハウの返還を規定したり、現地の当事者に対して技術の使用を禁じたりする条項を含む契約は、登録申請しても登録されない。ノウハウライセンス契約は、技術移転契約として扱われる(INPIが技術移転契約の登録期間として認めているのは最長10年間)。さらに、INPIはノウハウに関しては恒久的な守秘義務を認めておらず、守秘義務は特許保護より長くは継続させることはできないと考えている(INPIが認めている守秘義務維持の最長期間は情報の開示から19年未満)。

 

 特許ライセンス登録申請は特許出願さえあればライセンス登録が認められるが、商標ライセンス登録申請は、商標が登録されていなければ、ライセンス登録は認められない点が、制度上大きな違いである。また、INPIは現在、商標、特許、特許を受けてないノウハウ・営業秘密とサービスを組み合わせセットとされる契約を受け入れているが、対価の支払いは対象のうちのわずか1つに関して許されるだけである。

 

 ライセンスの登録申請から登録まで2~3か月かかる。INPIは、ライセンス登録の申請を受理した日から30日以内に回答/判断する法律上の義務があり、申請から30日~40日でINPIから回答(登録又は追加情報提出の要請)がある。要請に応じて追加情報を提出すれば、その後はほとんど遅延しない。申請に不備があれば、INPIから追加資料を要求されるので、最終的に登録されないものは少ない。

 

 ライセンス登録申請のための必要な書類についてはINPIのウェブサイトhttp://www.inpi.gov.br/index.php?option=com_content&view=article&id=60&Itemid=96に記載されている。申請書類に記載する内容はライセンスの目的、対象、対価等であり、申請の際にはポルトガル語翻訳を添付する必要がある。また、登録申請は、弁護士に依頼して行うのが一般的である。INPIへの登録申請は、期限は特になく当事者は契約締結後であればいつでも申請できる。ただし、契約の効果は申請の日からであり、例えば、2年後の生産開始の日からとすることも可能である。

 

【留意事項】

 ライセンス登録しなくても契約は有効だが、ロイヤルティを海外送金できず、税控除も受けられないということがあり、実務上ライセンス契約のINPIへの登録が必須であることに留意する必要がある。また権利の種類によってINPIにおける契約の扱いが変わってくることにも注意が必要であり、例えば、INPIは契約終了後にライセンシーがその技術を使用できなくなるような営業秘密ライセンス契約を認めていないことなどに特に注意する必要がある。

■ソース
特許庁平成23年度産業財産権制度問題調査研究
「我が国企業の新興国への事業展開に伴う知的財産権のライセンス及び秘密管理等に関する調査研究」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/zaisanken.htm#5003 http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/pdf/zaisanken/2011_17.pdf
■本文書の作成者
特許庁総務部企画調査課 和田健秀
特許庁総務部企画調査課 古田敦浩
■本文書の作成時期
2012.08.16
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