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日本とマレーシアにおける意匠の新規性喪失の例外に関する比較
2015年08月21日
■概要
マレーシア意匠出願における新規性喪失の例外規定の適用条件としては、政府公認の博覧会の展示と他人の不法行為による意匠の公開のみが規定されている。■詳細及び留意点
日本における意匠出願の新規性喪失の例外
日本においては、新規性を喪失した意匠の救済措置として、新規性喪失の例外規定が定められている。新規性喪失の例外規定の適用要件は以下の通りである。
1 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の意に反して公開されたこと(第4条第1項)または
2 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の行為に基づいて公開されたこと(第4条第2項)
上記いずれの場合についても、以下の要件を満たす必要がある。
(1)意匠登録を受ける権利を有する者が意匠登録出願をしていること
(2)意匠が最初に公開された日から6ヶ月以内に意匠登録出願をしていること
なお第4条第2項に記載される自己の行為に基づく新規性喪失については、さらに以下の手続が必要となる。
(3)出願時に、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出、あるいは願書にその旨を記載すること(第4条第3項)。
(4)出願の日から30日以内に、公開された意匠が新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する「証明書」を証明書提出書とともに提出すること(第4条第3項)。
「証明書」には、意匠が公開された事実(公開日、公開場所、公開された意匠の内容等)とともに、その事実を客観的に証明するための署名等を記載することが必要である。上記要件を満たした場合、その意匠登録出願に限り、その公開意匠は公知の意匠ではないとみなされる。
条文等根拠:意匠法第4条
日本意匠法 第4条 意匠の新規性の喪失の例外
1 意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠は、その該当するに至った日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項および第二項の規定の適用については、同条第一項第一号または第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。
2 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠(発明、実用新案、意匠または商標に関する公報に掲載されたことにより同条第一項第一号または第二号に該当するに至ったものを除く。)も、その該当するに至った日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項および第二項の規定の適用については、前項と同様とする。
3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第三条第一項第一号または第二号に該当するに至った意匠が前項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面を意匠登録出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。
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マレーシアにおける意匠出願の新規性喪失の例外
マレーシア意匠出願における新規性喪失の例外規定は、意匠法第12条に規定されている。
適用条件としては、政府公認の博覧会の展示と他人の不法行為による意匠の公開のみが規定されている。適用申請するためには、出願人は出願に伴う陳述書において当該事実を陳述するか、または、書面で可及的速やかに登録官に通知し当該関連事実を伝えるかするものとする。
条文等根拠:意匠法第12条、意匠規則13条
マレーシア意匠法 第12条 登録可能な意匠
(1)意匠は、本法に従うことを条件として、新規性がない限り登録されないものとする。
(2)登録出願される意匠は、当該出願の優先日前に、当該意匠が、または関係する取引において一般的に使用される、重要でない細部もしくは特徴においてのみ当該意匠と異なる意匠が、次に掲げる場合に該当するときは、新規性を有しているとはみなされない。
(a)マレーシアの何れかの場所で公衆に開示されていた場合、または
(b)他の出願人によりなされたマレーシアでの出願であって、より早い優先日を有する他の意匠登録出願の内容であった場合において、その内容が当該他の出願に基づき付与された登録に含まれていたとき
(3)(2)(a)の適用上、意匠は、登録出願日前 6ヶ月以内に、次に掲げる場合に該当することのみを理由としては、公衆に開示されたとみなされない。
(a)意匠が公式または公認の博覧会に展示された場合、または
(b)意匠が、出願人または当該出願人の前権利者以外の他人により、当該他人または別人により犯された不法行為の結果として、開示された場合
マレーシア意匠規則 第13条 先の開示として認知されない開示
出願人が、関連する、先の開示につき、出願人の意匠が新規性を有するか否かの決定上本法第12条(3)に基づいて無視して差し支えない可能性のある事実を出願時に承知している場合は、出願人は出願に伴う陳述書において当該事実を陳述するか、または、書面で可及的速やかに登録官に通知し当該関連事実を伝えるかするものとする。
日本とマレーシアにおける意匠の新規性喪失の例外に関する比較
日本 |
マレーシア |
|
新規性喪失の例外の有無 |
有 |
有 |
公知行為の限定の有無 |
無 |
公式または公認の博覧会 |
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新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における意匠の新規性喪失の例外については、下記のとおりである。
意匠の新規性喪失の例外に関する各国比較
国 |
新規性例外の有無 |
例外期間 |
例外期間の起算日 |
公知行為の限定の有無 |
JP |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
無 |
BR |
有 |
180日間 |
公開日 |
無 |
CN |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
HK |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
ID |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
IN |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
KR |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
無 |
MY |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
PH |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
無 |
RU |
有 |
12ヶ月 |
公開日 |
無 |
SG |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
TH |
有 |
12ヶ月 |
公開日 |
有 |
TW |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
無 |
VN |
有 |
6ヶ月 |
公開日 |
有 |
■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社 IP総研■本文書の作成時期
2015.03.03