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日本とフィリピンにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

2015年09月04日

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■概要
(本記事は、2024/2/29に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/38406/

日本およびフィリピンにおいては、それぞれ所定の期間、特許出願について分割出願を行うことができる。フィリピンにおいては、出願係属中単一性違反の指令後の非選択発明についての分割は、その指令書発行から4ヶ月以内または4ヶ月を超えない範囲で認められる追加の期間内に分割出願を行うことができる。
■詳細及び留意点

日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件

 平成19年3月31日以前に出願された特許出願であるか、平成19年4月1日以降に出願された特許出願であるかによって、時期的要件が異なる。

 平成19年3月31日以前に出願された特許出願については、下記の(1)の時または期間内であれば分割出願することができる。

 平成19年4月1日以降に出願された特許出願については、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば分割出願することができる。

(1)願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内(第44条第1項第1号)

なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。

 (i)出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)

 (ii)審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)

 (iii)拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号

 (iv)拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)

 

(2)特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)

 (i)前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)

 (ii)審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定

 

 なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。

 

(3)最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内(第44条第1項第3号)

 (3)に規定する3ヶ月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。

条文等根拠:特許法第44条

 

日本特許法 第44条 特許出願の分割

特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一または二以上の新たな特許出願とすることができる。

 一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内にするとき。

 二 特許をすべき旨の査定(第163条第3項において準用する第51条の規定による特許をすべき旨の査定および第160条第1項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から30日以内にするとき。

 三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から3月以内にするとき。

2~4(略)

5 第1項第2号に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により同条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

6 第1項第3号に規定する3月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

 

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フィリピンにおける特許出願の分割出願の時期的要件

【時期的要件】

・親出願が取り下げられ、放棄されまたは特許を付与される前である係属中の出願について、いつでも分割出願を行う事ができる。

・単一性違反の指令後の非選択発明についての分割は、その指令書発行から4ヶ月以内または4ヶ月を超えない範囲で認められる追加の期間内

条文等根拠:知的財産法第38条、発明に関する規則604、611

 

フィリピン知的財産法 第38条 発明の単一性

38.1 出願は、1の発明または単一の包括的発明概念を形成する一群の発明についてのみ行う。

38.2 単一の包括的発明概念を形成しない複数の独立した発明が1の出願において請求されている場合は、局長は当該出願を単一の発明に限定することを要求することができる。分割する発明についてされる後の出願は、最初の出願と同一の日に出願されたものとみなす。ただし、分割の要求が最終となった後4月以内または4月を超えない範囲で認められる追加の期間内に後の出願がなされることを条件とする。分割出願は、当初の出願における開示を超えてはならない。

38.3 発明の単一性を満たさない出願に特許が付与されたという事実は、特許を取り消す理由とはならない。

 

発明に関する規則 604 発明の単一性

(a)出願は、1の発明または単一の発明概念を形成する1群の発明についてのみ行う。(IP法第38条(38.1))

(b)単一の発明概念を形成しない複数の独立した発明が1の出願においてクレームされている場合は、局長は、当該出願を単一の発明に限定するよう要求することができる。分割した発明についてなされる後の出願は、最初の出願と同一の日に出願されたものとみなす。ただし、分割の要求が最終となった後4月以内または4月を超えない範囲で認められる追加期間内に後の出願がなされることを条件とする。更に、各分割出願が当初の出願における開示の範囲を超えないことを条件とする。(IP法第38条(38.2))

 

発明に関する規則611

出願人は、親出願が取り下げられ、放棄されまたは特許を付与される前に係属出願について分割出願を行うことができる。ただし、その内容が親出願の内容を超えないことを条件とする。

分割出願は、親出願と同一の出願日が付与され、優先権の利益を得る。

 

日本とフィリピンにおける特許分割出願に関する時期的要件の比較

 

日本

フィリピン

分割出願の時期的要件(注)

補正ができる期間

出願係属中

単一性違反の指令後の非選択発明についての分割は、その指令書発行から4ヶ月以内または4ヶ月を超えない範囲で認められる追加の期間内

(注)査定(特許査定または拒絶査定)前の時期的要件の比較

 

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新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における分割出願の要件については、下記のとおりである。

 

分割出願の時期的要件および出願人による自発的な分割可否に関する各国比較

分割出願の可否(出願から審査請求まで)

分割出願の可否(審査請求から最初の指令書(拒絶理由通知などの通知)まで)

分割出願の可否(最初の指令書~査定まで)

出願人による自発的な分割の可否

JP

指令書応答期間のみ

BR

CN

HK

○*

ID

IN

KR

指令書応答期間のみ

MY

審査報告書郵送から3ヶ月

PH

○**

RU

SG

TH

×

×

分割指令発行から120日

×

TW

VN

 (*)香港の標準特許出願に対応する指定特許出願の分割についての可否

(**)単一性違反の指令後の非選択発明についての分割は、その指令書発行から4ヶ月以内または4ヶ月を超えない範囲で認められる追加の期間内

■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.03.03

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