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日本とベトナムの意匠出願における実体審査制度の有無に関する比較

2015年11月06日

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■概要
日本における意匠出願の審査では、意匠登録のために方式審査と実体審査が行われる。ベトナムにおいても、意匠出願の審査では方式審査と実体審査が行われる。ただし、ベトナムにおいては出願公開制度が設けられており、異議申立て期間が設定されている。
■詳細及び留意点

日本における意匠出願の審査

 日本において意匠登録を受けるためには、願書、図面を含む出願書類が所定書式を満たしているかどうかの形式的な審査(方式審査)が行われた後、方式審査を通過した出願に対しては、審査官により意匠登録要件を満たしているかどうかの審査(実体審査)が行われる。実体審査において審査される内容は以下の通りである。

  1. 物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせる意匠であること(第2条1項)
  2. 工業上利用できる意匠であること(第3条1項柱書)
  3. 新規性を有する意匠であること。(第3条1項各号)
  4. 創作非容易性を有すること(第3条2項)
  1. 先願意匠の一部と同一または類似の意匠でないこと(第3条の2)
  2. 公序良俗違反でないこと(第5条1号)
  3. 他人の業務に係る物品と混同を生じる恐れがないこと(第5条2号)
  4. 物品の機能確保のために不可欠な形状のみからなる意匠でないこと(第5条3号)
  5. 最先の出願であること(第9条)

条文等根拠:意匠法第16条、第17条

 

日本意匠法 第16条 審査官による審査

 特許庁長官は、審査官に意匠登録出願を審査させなければならない。

 

日本意匠法 第17条 拒絶の査定

 審査官は、意匠登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。

一 その意匠登録出願に係る意匠が第3条、第3条の3、第5条、第8条、第9条第1項もしくは第2項、第10条第1項から第3項まで、第15条第1項において準用する特許法第38条または第68条第3項において準用する同法第25条の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

二 その意匠登録出願に係る意匠が条約の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

三 その意匠登録出願が第7条に規定する要件を満たしていないとき。

四 その意匠登録出願人がその意匠について意匠登録を受ける権利を有していないとき。

 

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ベトナムにおける意匠出願の審査

ベトナムにおいては、方式審査を通過した出願は公開される。出願公開後、特許性(新規性、創作性、工業上の利用可能性等)に関する実体審査が行われる。

条文等根拠:知的財産法第109条、第110条、第114条

 

なお、何人も出願公開期間内および実体審査期間内に、異議申立てを行うことが可能である。

条文等根拠:知的財産法第112条

 

ベトナム知的財産法 第109条 工業所有権登録出願の方式審査

(1)工業所有権登録出願は、それらの方式上の有効性を証明するために方式について審査される。

(2)工業所有権登録出願は、次の状況では方式上有効とはみなされない。

 (a)出願が方式要件を満たさないこと

 (b)出願の主題が保護に適格でないこと

 (c)出願人が登録を受ける権利を有していないこと。当該権利が複数の者に属するが、そのうちの1 人または複数の者が出願の遂行に同意しない場合を含む。

 (d)出願が第89 条に規定する出願方法に反して行われたこと

 (dd)出願人が手数料および料金を納付していないこと

(3)(2)に該当する工業所有権登録出願に関して、国家工業所有権庁は、次の手続を行う。

 (a)方式上有効なものとして出願を受理することを拒絶する意図の通知を送達すること。当該通知には、その理由と共に、出願人が欠陥を是正し、または意図された拒絶に異論を唱える期限が明確に記載される。

 (b)(a)の規定に従い出願人が欠陥を是正せず、かつ、意図された拒絶に正当な異論を有さないときは、方式上有効なものとして当該出願を受理することを拒絶する通知を送達すること

 (c)集積回路登録出願の場合は、半導体集積回路の回路配置の登録証付与の拒絶通知を送達すること

 (d)出願人が、(a)の規定に従い欠陥の是正に成功し、または意図された拒絶に正当な異論を唱えたときは、(4)に規定する手続を実行すること

(4)(2)に規定する場合に該当せず、または(3)(d)にも該当しない工業所有権登録出願に関しては、国家工業所有権庁は、方式上有効な出願に係る受理の通知を送達し、または回路配置出願の場合は保護証書を付与し、かつ、第118 条に規定する工業所有権の国家登録簿に登録する。

(5)(3)に基づいて拒絶された標章登録出願は、優先権主張の根拠として役立つ場合を除き、出願されなかったものとみなす。

 

ベトナム知的財産法 第110条 工業所有権登録出願の公開

(1)国家工業所有権庁により有効であるとして受理された工業所有権登録出願は、本条の規定に従い工業所有権公報により公開されるものとする。

(2)発明登録出願は、出願日または該当する場合は優先日から19 月目に、または出願人の請求があったときは、より早期に公開されるものとする。

(3)工業意匠登録出願、標章登録出願または地理的表示登録出願は、当該出願が方式上有効であるとして受理された日から2 月以内に公開されるものとする。

(4)回路配置登録出願は、複製が一切許可されない場合は、国家工業所有権庁において直接の閲覧の許可を与えることにより公開されるものとする。出願書類に含まれた秘密情報に関しては、当該閲覧は、保護証書の無効手続の完了、または権利侵害を取り扱う手続の完了に関係する当局および当事者対してのみ許可されるものとする。回路配置登録出願および回路配置に係る保護証書に関する根拠的情報は、保護証書の付与の日から2 月以内に公開されるものとする。

 

ベトナム知的財産法 第112条 保護証書付与に関する第三者意見

工業所有権出願が工業所有権公報に公開された日から保護証書付与に関する決定の日までは、如何なる第三者も、当該出願に関する保護証書の付与または拒絶に関して国家工業所有権庁に意見を提示する権利を有する。当該意見は、書面様式で提示し、かつ、資料を添付しなければならず、または立証に使用する情報の出所を明示しなければならない。

 

ベトナム知的財産法 第114条 工業所有権登録出願の実体審査

(1)次の工業所有権登録出願は、当該出願において求められた主題の保護要件に関して保護に係る適格性を評価し、かつ、それぞれの保護範囲を決定するため、実体について審査されるものとする。

 (a)方式上有効として受理された発明登録出願であって、その実体審査請求が所定の通り提出されているもの

 (b)方式上有効として受理された工業意匠登録出願、標章登録出願および地理的表示登録出願

(2)回路配置登録出願は、実体について審査されないものとする。

 

 

日本

ベトナム

 実体審査

の有無

ただし、出願公開制度が設けられ、

異議申立て期間が設定されている。

 

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 新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における実体審査制度については、下記のとおりである。

              実体審査制度に関する各国比較

実体審査の有無

実体審査における新規性審査の有無

実体審査における創作容易性審査の有無

評価書請求の有無

JP

BR

CN

HK

ID

IN

KR

MY

PH

RU

SG

TH

TW

VN

■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.03.10

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