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日本とフィリピンの意匠出願における実体審査制度の有無に関する比較

2015年08月28日

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■概要
日本における意匠出願の審査では、意匠登録のために方式審査と実体審査が行われる。一方、フィリピンにおける意匠登録手続きにおいては、方式審査のみが行われる。ただし、出願人または利害関係者は、登録後に登録に関する調査報告書を請求することが可能である。
■詳細及び留意点

日本における意匠出願の審査

 日本において意匠登録を受けるためには、願書、図面を含む出願書類が所定書式を満たしているかどうかの形式的な審査(方式審査)が行われた後、方式審査を通過した出願に対しては、審査官により意匠登録要件を満たしているかどうかの審査(実体審査)が行われる。実体審査において審査される内容は以下の通りである。

  1. 物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせる意匠であること(第2条1項)
  2. 工業上利用できる意匠であること(第3条1項柱書)
  3. 新規性を有する意匠であること。(第3条1項各号)
  4. 創作非容易性を有すること(第3条2項)
  1. 先願意匠の一部と同一または類似の意匠でないこと(第3条の2)
  2. 公序良俗違反でないこと(第5条1号)
  3. 他人の業務に係る物品と混同を生じる恐れがないこと(第5条2号)
  4. 物品の機能確保のために不可欠な形状のみからなる意匠でないこと(第5条3号)
  5. 最先の出願であること(第9条)

条文等根拠:意匠法第16条、第17条

 

日本意匠法 第16条 審査官による審査

 特許庁長官は、審査官に意匠登録出願を審査させなければならない。

 

日本意匠法 第17条 拒絶の査定

 審査官は、意匠登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。

一 その意匠登録出願に係る意匠が第3条、第3条の3、第5条、第8条、第9条第1項もしくは第2項、第10条第1項から第3項まで、第15条第1項において準用する特許法第38条または第68条第3項において準用する同法第25条の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

二 その意匠登録出願に係る意匠が条約の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

三 その意匠登録出願が第7条に規定する要件を満たしていないとき。

四 その意匠登録出願人がその意匠について意匠登録を受ける権利を有していないとき。

 

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フィリピンにおける意匠出願の審査

フィリピンにおける意匠登録手続きにおいては、新規性、創作性等に関する実体審査は行われず、方式審査が行われるだけである。

条文等根拠:フィリピン知的財産法第116条および第117条

方式審査を通過した後、意匠出願は公告され、30日間の公告期間中に第三者からの異議申立てがない場合に登録される。なお、出願人または利害関係者は、登録後に登録意匠に関する調査報告書を請求することができる。

 

フィリピン知的財産法 第116条 審査

116.1 庁は、出願人を特定することができる表示および意匠または回路配置を具現化した物品の表示または絵による物品の表示を含む出願の受理の日を出願日として付与する。

116.2 出願がそれらの要件を満たしていない場合は、出願日は、第114条に定める要素のすべてが提出されるかまたはそれらにおける誤りが訂正された日とする。所定の期間内に要件を満たさなかった場合は、出願は取り下げたものとみなす。

116.3 出願に出願日が付与され、かつ、所定の手数料が所定の期間内に納付された後、出願人は、所定の期間内に第114条に規定する要件を満たさなければならない。満たさなかった場合は、出願は、取り下げたものとみなす。

116.4 庁は、意匠または回路配置が第112条(定義)、113条(保護のための実体的条件)に規定する要件を満たしているか否かについて審査する。

 

フィリピン知的財産法 第117条 登録

117.1 庁は、第113条に規定する条件が満たされていると認めた場合は、意匠または回路配置登録簿に登録することを命じ、かつ、意匠または回路配置登録証を発行する。その他の場合は、庁は出願を拒絶する。

117.2 意匠または回路配置登録証の様式および内容については、規則に定める。ただし、創作者の名称および住所は、常に記載する。

117.3 登録は、規則に定める様式で規則に定める期間内に公示する。

117.4 庁は、証拠が提出されたときには意匠または回路配置の権利者またはその代表者の特定における変更を登録簿に記録する。権利者の特定における変更を記録することを請求する場合は、手数料を納付しなければならない。手数料を納付しなかった場合は、請求がなされなかったものとみなす。その場合は、前の権利者および前の代表者が本法に規定する権利および義務に引き続き従うものとする。

117.5 何人も、登録簿および取消手続の書類を含む登録意匠または回路配置のファイル・ラッパーを閲覧することができる。

 

 

日本

フィリピン

実体審査

の有無

ただし、出願人または利害関係者は、登録後に、登録に関する調査報告書を請求することができる。

なお利害関係人とは当該意匠に関して訴訟が係属している場合は、司法および準司法機関を含む。

 

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 新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における実体審査制度については、下記のとおりである。

              実体審査制度に関する各国比較

実体審査の有無

実体審査における新規性審査の有無

実体審査における創作容易性審査の有無

評価書請求の有無

JP

BR

CN

HK

ID

IN

KR

MY

PH

RU

SG

TH

TW

VN

■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.03.10

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