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日本とインドネシアの意匠出願における実体審査制度の有無に関する比較

2015年07月03日

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■概要
 日本における意匠出願の審査では、意匠登録のために方式審査と実体審査が行われる。インドネシアの審査においても方式審査と実体審査(職権審査)が行われるが、インドネシアにおいては、実体審査(職権審査)において、新規性要件、公序良俗要件、機能的要件(出願意匠が機能的な要因でのみ形成された意匠であるか否か)、が審査される。なお、インドネシアにおいて出願公開後の異議申立ての制度が設けられている。

■詳細及び留意点

日本における意匠出願の審査

 日本において意匠登録を受けるためには、願書、図面を含む出願書類が所定書式を満たしているかどうかの形式的な審査(方式審査)が行われた後、方式審査を通過した出願に対しては、審査官により意匠登録要件を満たしているかどうかの審査(実体審査)が行われる。実体審査において審査される内容は以下の通りである。

  1. 物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせる意匠であること(第2条1項)
  2. 工業上利用できる意匠であること(第3条1項柱書)
  3. 新規性を有する意匠であること。(第3条1項各号)
  4. 創作非容易性を有すること(第3条2項)
  1. 先願意匠の一部と同一または類似の意匠でないこと(第3条の2)
  2. 公序良俗違反でないこと(第5条1号)
  3. 他人の業務に係る物品と混同を生じる恐れがないこと(第5条2号)
  4. 物品の機能確保のために不可欠な形状のみからなる意匠でないこと(第5条3号)
  5. 最先の出願であること(第9条)

条文等根拠:意匠法第16条、第17条

 

日本意匠法 第16条 審査官による審査

 特許庁長官は、審査官に意匠登録出願を審査させなければならない。

 

日本意匠法 第17条 拒絶の査定

 審査官は、意匠登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。

一 その意匠登録出願に係る意匠が第3条、第3条の3、第5条、第8条、第9条第1項もしくは第2項、第10条第1項から第3項まで、第15条第1項において準用する特許法第38条または第68条第3項において準用する同法第25条の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

二 その意匠登録出願に係る意匠が条約の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

三 その意匠登録出願が第7条に規定する要件を満たしていないとき。

四 その意匠登録出願人がその意匠について意匠登録を受ける権利を有していないとき。

 

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インドネシアにおける意匠出願の審査

インドネシアにおいては、方式審査を通過した出願は公開され、公開開始から3ヶ月以内の異議申立て期間が設けられる。

異議が申し立てられた場合、出願人は異議答弁書を提出する機会を与えられる。この場合、意匠審査官は異議申立と異議答弁を考慮に入れた実体審査を行い、結論を下す。

また第三者からの異議申立がない場合、法令に明確な規定はないが、意匠の新規性要件、公序良俗要件、機能的要件(出願意匠が機能的な要因でのみ形成された意匠であるか否か)についての職権審査を行い、当該意匠出願は登録可能でないと審査官が判断する場合、オフィスアクションが発行される。なお、インドネシアの職権審査においては、創作容易性に関する審査は行われない。

条文等根拠:意匠法 第24条、26条

 

インドネシア意匠法 第24条

(1)総局は現行法規に従って出願に対する審査を行う。

(2)総局は出願人に対して、当該意匠が第4条の規定に該当するときは出願の拒絶について、または、当該出願が第20条の規定を満たさないために取り下げられたものとみなされる旨を通知する。

(3)出願人または代理人は、(2)の規定における拒絶または取り下げられたものとみなされることに対して、通知を受けた日から30日以内に不服を申し立てることができる。

(4)(3)に規定する不服を出願人が申し立てない場合は、(2)における総局による拒絶またはみなし取下の決定は確定する。

(5)総局による拒絶またはみなし取下の決定に対して、出願人または代理人は本法に規定する手続により商務裁判所に訴訟を提起することができる。

 

インドネシア意匠法 第26

(1)第25条(1)に規定する公開開始日以降、何人も実体的な事由の異議を総局に対して書面でかつ本法に規定する手数料の支払を伴い申し立てることができる。

(2)(1)の規定における異議は、公開開始日から3月以内に申し立てることができる。

(3)(2)に規定する異議は、総局から出願人に通知される。

(4)(2)に規定する異議に対して、出願人は総局からの通知送付の日から3月以内に答弁することができる。

(5)(1)に規定する異議の申立があったときは、審査官による実体審査が行われる。

(6)知的所有権総局は異議および答弁を当該出願の登録または拒絶の審査における参考資料として提供する。

(7)知的所有権総局は(1)に規定する異議を認めるか否かの決定を(2)に規定する公開の終了日から6月以内に下す。

(8)(7)に規定する総局の決定は、出願人または代理人に対して当該決定の日から30日以内に書面で通知される。

 

実体審査制度に関する各国比較

 

日本

インドネシア

実体審査

の有無

ただし、実体審査(職権審査)において創作容易性が審査されない点と出願公開後の異議申立ての制度がある点が異なる。

 

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新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における実体審査制度については、下記のとおりである。

実体審査制度に関する各国比較

実体審査の有無

実体審査における新規性審査の有無

実体審査における創作容易性審査の有無

評価書請求の有無

JP

BR

CN

HK

ID

IN

KR

MY

PH

RU

SG

TH

TW

VN

■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.03.10

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