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日本と香港の意匠出願における実体審査制度の有無に関する比較

2015年11月20日

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■概要
日本における意匠出願の審査では、意匠登録のために方式審査と実体審査が行われる。一方、香港における意匠登録のためには、方式審査のみが行われる。
■詳細及び留意点

日本における意匠出願の審査

 日本において意匠登録を受けるためには、願書、図面を含む出願書類が所定書式を満たしているかどうかの形式的な審査(方式審査)が行われた後、方式審査を通過した出願に対しては、審査官により意匠登録要件を満たしているかどうかの審査(実体審査)が行われる。実体審査において審査される内容は以下の通りである。

  1. 物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせる意匠であること(第2条1項)
  2. 工業上利用できる意匠であること(第3条1項柱書)
  3. 新規性を有する意匠であること。(第3条1項各号)
  4. 創作非容易性を有すること(第3条2項)
  1. 先願意匠の一部と同一または類似の意匠でないこと(第3条の2)
  2. 公序良俗違反でないこと(第5条1号)
  3. 他人の業務に係る物品と混同を生じる恐れがないこと(第5条2号)
  4. 物品の機能確保のために不可欠な形状のみからなる意匠でないこと(第5条3号)
  5. 最先の出願であること(第9条)

条文等根拠:意匠法第16条、第17条

 

日本意匠法 第16条 審査官による審査

 特許庁長官は、審査官に意匠登録出願を審査させなければならない。

 

日本意匠法 第17条 拒絶の査定

 審査官は、意匠登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。

一 その意匠登録出願に係る意匠が第3条、第3条の3、第5条、第8条、第9条第1項もしくは第2項、第10条第1項から第3項まで、第15条第1項において準用する特許法第38条または第68条第3項において準用する同法第25条の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

二 その意匠登録出願に係る意匠が条約の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。

三 その意匠登録出願が第7条に規定する要件を満たしていないとき。

四 その意匠登録出願人がその意匠について意匠登録を受ける権利を有していないとき。

 

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香港における意匠出願の審査

 香港における意匠登録手続きにおいては、原則として新規性等の実体審査は行われない。願書や添付書類などが方式要件を満たしているかどうかの審査(方式審査)が行われる。ただし、新規性等の不登録事由に該当することが明らかな場合には、審査官は出願を拒絶することが可能である。

条文等根拠:意匠条例第24条、第25条、第26条

 

香港意匠条例 第24条 出願の審査

(1)意匠登録出願が第14条に基づき出願日を与えられ、かつ、取り下げられない場合は、登録官は、当該出願が方式要件を満たすか否かを決定するため審査を行うものとする。

(2)登録官が方式要件に関して不備があると決定する場合は、登録官は出願人に通知し、所定の期間内に当該不備を訂正する機会を出願人に与えるものとする。

(3)方式要件に関する不備が所定の期間内に訂正されない場合は、当該出願は取り下げられたものとみなされる。

(4)本条例において「方式要件」とは、第12条および当該条の適用上定められた規則の要件、すなわち、方式要件として規則に明記されたものをいう。

 

香港意匠条例 第25条 登録および公告

第24条に基づく登録官の審査により、意匠登録出願が方式要件を満たしていることが判明した場合は、登録官は、審査の後速やかに、第26条に従うことを条件として、

(a)登録簿に所定の詳細を記入することにより、当該意匠を登録し、

(b)出願人または出願の権原承継人の名称を、登録簿に当該意匠の所有者として記入し、

(c)当該意匠の登録時における意匠の登録所有者である者に登録証を発行し、また

(d)公報告示により当該登録の事実を公告し、かつ、当該意匠の表示を公開するものとする。

 

香港意匠条例 第26条 出願の拒絶

(1)登録官は、第24条に基づく審査の後、かつ、出願人に当該条に定める不備を補正する機会を与えた後、次の事項を決定する場合は、意匠登録出願を拒絶することができる。

 (a)出願が方式要件を満たさないこと、または

 (b)出願の文面では、当該意匠が新規でないかまたはその他の理由により登録できないこと

(2)登録官は、出願人に当該拒絶を通知するものとする。

(3)登録官が本条に基づき意匠登録出願を拒絶する場合は、次の規定が適用される。

 (a)出願人は、当該拒絶直前に享受した第16条に基づく優先権を継続して享受するものとする。また

 (b)他の如何なる権利も、当該出願に関して本条例に基づき主張することはできない。

 

 

日本

香港

実体審査

の有無

ただし、新規性等の不登録事由に該当することが明らかな場合には、審査官は出願を拒絶することができる。

 

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新興国等知財情報データバンク 調査対象国、地域における実体審査制度については、下記のとおりである。

実体審査制度に関する各国比較

実体審査の有無

実体審査における新規性審査の有無

実体審査における創作容易性審査の有無

評価書請求の有無

JP

BR

CN

HK

ID

IN

KR

MY

PH

RU

SG

TH

TW

VN

■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.03.10

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