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シンガポールにおける第一国出願制度

2015年03月31日

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■概要
(2022年4月28日訂正:
本記事の「第34条申請様式」と「シンガポール知的財産権庁ウェブサイト(国家セキュリティクリアランス)」のURLが、リンク切れとなっていたため、修正いたしました。
また、2022年5月4日からオンラインシステムがIP2SGからIP4SGに変更されます。)

シンガポール特許法第34条に基づき、「シンガポールに居住する発明者または出願人は、(i)シンガポール国外で出願する2ヶ月以上前に、シンガポールにおいて特許出願すること、または(ii)シンガポール知的財産権庁(Intellectual Property Office of Singapore : IPOS)から書面による許可を取得すること」を満たさない限り、シンガポール国外で特許を出願できない。留意すべきは、特許法第34条は、発明が着想された場所とは無関係であり、(シンガポール国外で出願する、または出願させる人の)市民権も無関係である。あくまでシンガポールにおける「居住」が基準となる。
■詳細及び留意点

【詳細】

1.第一国出願の関連規定

シンガポール特許法第34条 シンガポール居住者の外国出願に対する制限

(1)本条に従うことを条件として、シンガポールの居住者は、登録官の書面による許可なしに発明についての特許出願を、シンガポール国外で行ってはならない。ただし、次の場合は、この限りでない。

 (a)シンガポール国外での出願の2ヶ月以上前に、同一の発明についての特許出願がシンガポール知的財産権庁特許登録局に行われている場合

 (b)シンガポールにおける当該出願に関して第33条に基づく指示が与えられていないかまたはそのような指示がすべて取り消されている場合

(2)(1)は、発明についての特許出願が最初にシンガポール以外の国で、シンガポール国外居住者により行われている場合は、適用しない。

(3)本条に違反して特許権付与を求める出願を行うかまたは行わせる者は、犯罪となり、有罪と決定すれば5,000ドル以下の罰金もしくは2年以下の拘禁に処し、またはそれらを併科する。

(4)本条において、

 (a)特許出願には、発明について他の保護を求める出願が含まれ、

 (b)出願の種類を問わず、出願というときは、本法に基づく出願、シンガポール以外の何れかの国の法律に基づく出願、またはシンガポールが締約国である条約に基づく出願をいい、かつ

 (c)「シンガポールの居住者」には、何らかの目的をもってシンガポールに入国し滞在するために、移民法(Cap. 133)に基づき有効な滞在許可証を合法的に交付され、重要な時期にシンガポールに居住している者を含む。

 

 要約すると、シンガポール国外で出願する、または出願させることを希望する出願人または発明者など、シンガポールのあらゆる居住者は、下記のいずれかの一方を遵守しなければならない。

 

(i)シンガポール国外で出願する2ヶ月以上前に、シンガポールにおいて特許出願すること

(ii)IPOSから書面による許可を取得すること

 

2.書面許可申請

 上記の書面による許可を希望する者は、知的財産権の出願等に関するオンラインシステムIP2SG(以下、IP2SGという)を通して電子形式で、または書面形式で特許登録官に申請しなければならない。第34条申請様式は、特許登録局または以下のウェブサイトにおいて入手可能である。

https://www.ipos.gov.sg/docs/default-source/resources-library/patents/patent-forms-and-fees/form-section-34-otc81d91977c2d0635fa1cdff0000abd271.pdf

 

 申請書には、下記の情報を記載しなければならない。

 

(i)全ての発明者の名前および住所

(ii)全ての出願人の名前および住所

(iii)発明の名称

(iv)発明の簡単な説明(例えば、要約、発明開示)

 

 書面による許可を求める全ての申請は、書面形式の場合は、ファクシミリ送信、手渡しまたは郵送により登録局に提出することができ、電子形式の場合は、IP2SGを通して提出できる。

 

 シンガポールの防衛または公衆の安全を損なう恐れのある情報が含まれていないと登録官が判断する発明については、申請の提出から24時間以内に書面による許可を取得することができる。

 

 申請が緊急を要する場合、申請人は、電話番号+65 6339 8616(日本から電話する際には頭に国際電話である001を付ける。なお+65はシンガポールの国番号)にてIPOSに報告し、同時に申請を行うことができる。

 

3.第34条違反

 第34条に違反した場合、遡及的許可は認められない。寛大な措置を求めて登録官に具申するのが一般的実務である。

 

 過去の実務から判断して、登録官は事件の事実を考慮した後、初回違反者の場合は100~1,000シンガポールドルの金額の支払いにより違反を示談にすることができ、当該違反者に対する以後の法的手続は取られない。

 

4.基準は「居住」

 注意すべき重要な点として、特許法第34条は、発明が着想された場所とは無関係である。また、(シンガポール国外で出願する、または出願させる人の)市民権も、無関係である。シンガポールにおける「居住」が基準となる。特許法は単に、シンガポールの「居住」者は許可なしにシンガポール国外で「出願して」はならず、「出願させて」もならないと定めている。

■ソース
・シンガポール特許法
・シンガポール知的財産権庁ウェブサイト(国家セキュリティクリアランス)
https://www.ipos.gov.sg/about-ip/patents/how-to-register/national-security-clearance
■本文書の作成者
Drew & Napier LLC
■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.01.05

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