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インドネシアにおける著作権法改正による影響

2015年03月31日

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■概要
2014年9月16日、インドネシア国民議会は、著作権改正法案を可決し、2014年10月16日より施行された。この改正は、インドネシア著作権法にとって3度目の改正となり、各種定義の明確化、著作権保護期間の延長、地主責任の導入、著作権管理団体の概念の導入、商標ロゴの登録禁止、工業意匠図面の除外解除、電子出願、オンライン出願の導入等が主たる改正内容となっている。
■詳細及び留意点

【詳細】

 2014年9月16日、インドネシア国民議会は、著作権改正法案を可決し、2014年10月16日より施行された。この改正は、インドネシア著作権法にとって3度目の改正となる。改正著作権法では、概ね著作権者にとって有利に働くものとなっている。注目すべきは、改正により、これまで曖昧な部分が多かった著作権法をより明確にする道筋ができたことである。以下、改正著作権法による変更の内容を紹介する。

 

(1)各種定義の明確化

 改正著作権法は、「ロイヤルティ」、「著作権侵害(海賊行為)」、「対価」、「商業的利用」、「著作権管理団体」等の、これまで不明瞭であった用語について明確に定義している。これにより、著作権者と法執行当局との間の理解およびライセンス契約におけるライセンサーとライセンシーとの間の理解が促進されるものと考えられる。

 

(2)著作権保護期間の延長

 一部の例外を除いて著作権作品の保護期間は、著者の死後50年から70年に延長された。本や音楽等については70年と延長されたのに対し、写真や映画等について50年と規定されている。法人により所有される作品の場合は、著作権は最初の公開日から50年間有効に存続する。

 

(3)地主責任の導入

 改正著作権法によると、ショッピングモールや小売センターなどの商業施設の管理者が、他者の著作権その他関連する権利を侵害する模倣品の販売・複製を認めることを禁止した。地主が自らの商業施設における模倣品の販売・複製を意図的に悪意で認めた場合、地主は、最大約9,000ドルの罰金を科される。

 

 地主責任についての刑事罰として懲役刑は定められていないが、罰金刑の導入は、インドネシアの知的財産法制度にとって注目すべき点である。副次的な効果として、インドネシア商標法および特許法に関する法案など係属中の法案が、同様の規定を導入する可能性が高い。これは、インドネシアに氾濫する著作権侵害(海賊行為)等の知的財産権侵害に対処するための強力な支援となるであろう。

 しかしながら、潜在的で複雑な未解決の問題が残っている。それはこの規定を回避し、全責任をテナントに移転するような放棄条項を賃貸契約に含めることができるか否かという点である。

 

(4)著作権管理団体の概念の導入

 著作者を含む著作権所有者が、著作権作品の使用者からの合理的な金額の対価を管理し徴収することを支援するため、改正著作権法は、著作権管理団体の概念を導入した。著作権管理団体は、著作権所有者・著作者により承認され、法務・人権省が発行する活動許可を有することにより、非営利法人の形態で設立することができる。その活動が許可されるためには、著作権管理団体は、定められた数以上の著作権所有者・著作者を代理するという要件を満たさなければならない。例えば、音楽分野における著作権管理団体に要件として求められる最小限の数は、共通の利益を有する承認者200名である。

 

 著作権管理団体は、理論的には、すべての利害関係者により歓迎されることである。なぜなら、この制度は、政府規制の下、すべてのロイヤルティ徴収団体が法律のもとに規定されるからである。また、これは、著作権法を濫用して、レストランやカラオケクラブの所有者などの著作権使用者を脅してきた悪意のある未承認の徴収団体に対する問題を解決する方向に導くものでもある。

 

(5)商標ロゴの登録禁止

 原則として、作品は、創作時点において著作権保護を自動的に受けることができ、著作権登録の必要はない。登録は義務ではないが、インドネシア知的財産権総局(Directorate General of Information and Public Relations : DGIPR)は、著作権登録を認めており、著作権所有者または著作者が、証拠を得ることを目的として作品を登録することができる。

 

 また、改正法は、商標として使用されるロゴその他の識別力のある標識の形態を有す図画を著作権登録することができないと明確に規定している。しかし、一方で改正法は、著作権法に基づきそうした商標ロゴが保護されるか否かについては触れていない。注目すべきことに、商標として使用されるロゴの図面は、第41条に基づく著作権登録できない作品として列挙されていない。

 

(6)工業意匠図面の著作権

 旧著作権法下では、工業意匠図面は著作権保護の対象から除外されていたが、改正著作権法ではこの除外規定は削除された。これは、工業意匠図面に関して著作権保護を主張することが可能であることを示す。

 

(7)著作権登録の電子出願

 改正著作権法は、電子出願システムを通じた著作権登録を認める。これはDGIPRにより2014年4月に導入されたもので、現在試験運用中である。さらに、DGIPRへの著作権登録費用をオンラインで納付可能とする主要銀行と連携した納付システムも近いうちに導入が期待される。新たな電子出願システムは、今後、商標や特許といった他の知的財産登録にも拡大されるものと見込まれる。

 

(8)オンライン侵害への対処

 オンライン侵害に対処するため、改正著作権法は、インターネット上で発見された侵害物品に対するアクセスをブロックする権限を情報省に付与した。ただし、実務上どのようにアクセスをブロックするのかの詳細については、まだ明らかになっていない。

 

(9)権利行使

 改正著作権法は、著作権侵害罪を親告罪と定めており、原則として権利者からの被害届が必要となった。(著作権法120条)

 

インドネシアの知財状況の改善に向けて

 要約すると、この改正著作権法は、インドネシアの知財状況の改善に向けた有望なステップであり、商標法案および特許法案をはじめとする他の係属中の法案にもこの流れが引き継がれることになると期待できる。本改正法の実効性のある施行がなされるかは、省により発行される施行規則にかかっており、改正法に基づき導入されたすべての仕組みが適切に機能することが、この施行規則により達成されると思われる。

■ソース
・インドネシア改正著作権法
■本文書の作成者
Tilleke & Gibbins、コンサルタント Siriwan Phentalay
■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期
2014.12.28
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