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ブラジルにおける意匠法と意匠国際登録制度の相違点

2015年03月31日

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■概要
ブラジルにおける意匠の保護制度には様々な特徴がある。日本は「意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定(以下「ジュネーブ改正協定」)」に加入(2015年5月13日)することになったが、ブラジルは2015年3月現在、「意匠の国際登録に関するハーグ協定」に加入していない。意匠の国際登録制度とブラジル意匠制度の相違点について説明している。
■詳細及び留意点

【詳細】

 「意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定(以下「ジュネーブ改正協定」)」に日本と米国が新たに加入することになり、日米とも2015年5月13日から発効し、意匠の国際登録制度を利用できるようになる。ブラジルは「意匠の国際登録に関するハーグ協定」に加入する予定はないが、意匠の国際登録制度とブラジル意匠制度の相違点を取り上げる。

 

(1)多意匠一出願制度 (ジュネーブ改正協定 第5条(4)、規則7(3)(v)、(7))

 ジュネーブ改正協定では、国際意匠分類(ロカルノ分類)の同一メインクラスに属する意匠であれば、一つの出願に100図までの意匠を含めることが可能である。一方、ブラジル意匠制度では、各出願には同一用途に係るものであり、かつ同一の顕著な識別性を有していることを条件として、20を限度とする関連意匠を含めることができる(産業財産法第104条)。

 

(2)公開繰延制度 (ジュネーブ改正協定 第11条、第16規則)

 ジュネーブ改正協定では、指定締約国の法令が出願の公開日の繰延を規定している場合、国際出願時に出願人が申請することにより、出願日または(優先権が主張されている場合は)優先日から最大30か月まで公開を繰り延べることが可能である。一方、ブラジル意匠制度では、出願時に出願人からの要請があれば、出願日から起算して180日間まで公開を繰り延べることが可能である(産業財産法第106条(1))。

 

(3)国際登録にかかる意匠保護の拒絶に関する通報期間 (ジュネーブ改正協定 第12条、第18規則)

 ジュネーブ改正協定では、締約国が当該国を指定する国際登録にかかる意匠保護の拒絶を国際事務局へ通報できる期間は、原則として国際登録から6ヶ月間である。一方、ブラジル意匠制度では、意匠出願の実体審査は行われない(産業財産法第106条)。拒絶の通報期間に関する公式のデータは公開されていないものの、現地事務所によると、出願から登録までの平均期間は約1年半である。

 

(4)図面等の提出要件 (ジュネーブ改正協定 第9規則)

 ジュネーブ改正協定において締約国は、その出願が二次元の意匠または意匠が使用される製品の場合、図の数は1以上、三次元の意匠または意匠が使用される製品の場合、図の数は6以上出願人に要求することはできない。一方、ブラジル意匠制度では、様式しか規定されていない(たとえば、300mpx以上でなければ図面が認められない)。また二次元の意匠については特段の規定はない。三次元の意匠の場合には、常に斜視図を含めなければならず、かつ、対象物の完全な外形を示すための正面図、側面図、上面図及び下面図を含める(規範命令13/2013号 26条(VII)§ 4º )。

 

(5)保護を求めない範囲 (ジュネーブ改正協定 共通規則9(2)(b)、実施細則第403節)

 ジュネーブ改正協定では、意匠の複製物には示されているが保護を求めない事項を説明、点線または破線により示すことが可能であり、部分意匠について保護を受けることができる。一方、ブラジルには、部分意匠制度はなく保護を求めない事項を説明、点線または破線により示すことは認められない。

 

(6)権利存続期間 (ジュネーブ改正協定 第17条)

 ジュネーブ改正協定では、存続期間を国際登録日から15年または各指定締約国の国内法が規定する存続期間がこれを超える場合は、その最長の存続期間と規定している。一方、ブラジル意匠制度では、登録は出願日から10年間効力を有するが、5年を単位として3回の延長を受けることができ、最長25年の保護を受けることが可能である。(産業財産法第108条)。

■ソース
・意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定
・ブラジル産業財産法
■本文書の作成者
カラペト・ホベルト(ブラジル弁護士/日本技術貿易株式会社 IP総研 客員研究員)
■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.02.25

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