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ブラジルにおけるライセンス・オブ・ライト(実施許諾用意制度)

2015年03月31日

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■概要
ブラジルでも特許を実施許諾(ライセンス)することができるが、ライセンス・オブ・ライト制度(実施許諾用意制度)を利用すれば、ブラジル特許庁に支払う登録維持年金料を半額にすることができる。ブラジルにおける実施許諾用意制度について解説する。
■詳細及び留意点

【詳細】

 ライセンス・オブ・ライト(License of Right:LOR)と呼ばれる実施許諾用意制度とは、特許権者あるいは特許出願人が、当該特許について第三者への実施許諾を拒否しないことを宣言することによって、特許料の減額を受けられる制度である。ブラジルにおいては、ブラジル産業財産法第64条から第68条に規定されており、LOR宣言を行えば登録維持年金料が半額になる。

 

(1)LORの流れ

 LORの申請は、所定のフォーマット(FQ002)に従い、ブラジル特許庁(INPI)に申請する。手数料は155レアル(~7300円)となる。現時点では電子的に受け付けられていないが、電子申請ができるようになれば、手数料は115レアル(~5400円)となる。

 

 LORの申請が出されたら、ブラジル知財庁(Instituto Nacional da Propriedade Industrial : INPI)による様式について審査が行われる。様式についての審査には、様式およびその他の要件についても確認される。たとえば、専用実施権の対象となっている特許については、LORの対象とすることはできない。既に通常実施権の対象となっている特許の場合は、当該特許はLORの対象になりえるが、登録維持年金料の減額については認められない。また、特許権者がLORの申請をする際には、以下の必須事項を明確に説明しなければならない。

(i)実施料

(ii)支払に関する時間的な条件

(iii)支払に関するその他の条件

(iv)実施権の範囲

(v)ノウハウの利用可能性

(vi)技術的支援

(vii)その他の条件

 

 様式についての審査が行われ、上記の必須情報が明確に記載され、その他の問題がなければ、INPIはLOR宣言を公告する。LOR宣言の公告は、少なくとも半年に一度行われる。公告の際に、「登録番号」、「登録人」、「存続期間」、「タイトル」、「実施許諾の期間」が記載される。公告が行われた後、公告日から最初のライセンスが結ばれるまでの期間、第66条の規定に基づき、登録維持年金料が半額になる(ブラジル産業財産法第66条)。

 

 INPIは、第三者からの要求があった場合に、特許権者が提示したLOR宣言(上記の必須事項)の書類全てをライセンス要求者に提供し、要求があった旨を特許権者に通知する。

 

(2)LORの条件について

 ライセンスの条件は当事者の合意により定められる。

 

 LORについての要求があった旨の通知から最大180日間(当初60日間、その後60日間の延長が2回可能)以内に交渉し、実施権の設定をするか否かをINPIに対して報告しなければならない。報告が無い場合には、登録維持年金料の減額を受けることができなくなる。

 

 また、特許権者は、ライセンス要求者がLORの条件を受諾するまでは、何時でもそのLOR宣言を取り下げることができる(ブラジル産業財産法第64条第4項)。取り下げた場合には、登録維持年金料の減額を受けることができなくなる。

 

 特許権者とライセンス要求者との間で、対価についての合意が成立しなかったときは,両当事者はINPIに対し、その対価の裁定を求める申請をすることができる。裁定を行うために、INPIは委員会の設置を含めて必要な調査を行い、当該委員会にはINPIに属さない専門家を含めることができる。(ブラジル産業財産法第65項)

 

 対価が設定されてから1年が経過したときは、それを改訂することができる。改訂について合意が成立しないときにはINPIに対し、その対価の裁定を求める申請をすることができる。(ブラジル産業財産法第65項第2項)

 

(3)LORの取消し

 実施権の設定について承認することを表明した場合、特許権者はLORによる実施許諾を停止することはできない。また、実施期間以内に特許権者が自発的にLORを取り消すことはできない。

 

 しかし、特許権者は実施権者がライセンス許諾日から1年以内に実施を開始しなかった場合、または実施が1年を超える期間中断された場合、または実施条件が満たされなかった場合は、ライセンスの解除を請求することができる。(ブラジル産業財産法第67項)

 

 また、当事者の合意により、ライセンス契約を終了させることも可能である。

 

ブラジル産業第8章第2節

第64条

特許の所有者は、INPI に対し、その特許の実施許諾用意を進めるよう求めることができる。

(1)INPIは、当該許諾用意を公告するものとする。

(2)特許所有者が当該許諾用意を取り下げない限り、排他的任意ライセンスはINPIに登録 することができない。

(3)排他的任意ライセンスが締結されている特許は、実施許諾用意の対象とすることができ ない。

(4)特許所有者は、関係当事者が許諾用意の条件を明示的に受諾するまでは、何時でもその 許諾用意を取り下げることができ、取り下げた場合は、第66条の規定は適用しない。

 

第65条

特許所有者と実施権者との間で合意が成立しなかったときは、両当事者はINPIに対し、その対価の裁定を求める申請をすることができる。

(1)本条の適用にあたっては、INPIは、第73条(4)の規定に従うものとする。

(2)対価が設定されてから1年が経過したときは、それを改訂することができる。

 

第66条

許諾用意の対象である特許に対しては、許諾用意の申出から最初のライセンス許諾(ライセンスの方式を問わない。)までの期間について、その年金を半額に減額する。

 

第67条

特許所有者は、実施権者が許諾日から1年以内にライセンスの有効な実施を開始しなかった場合、または実施が1年を超える期間中断された場合、または実施条件が満たされなかった場合は、ライセンスの解除を請求することができる。

 

【留意点】

  • 既に通常実施権の対象となっている特許権については、当該特許はLORの対象になりえるが、登録維持年金料の減額は認められない。
  • 特許権者は毎年LORを更新し、LOR宣言に関わる条件(必須事項)を確認しなければなない。
  • ブラジルでのLORの利用は少ない状況である。本稿作成時点で1年間で45~60件しか公告されていない。
■ソース
・2013年第17号決議
・ブラジル産業財産法
・願書:FQ0002
http://www.inpi.gov.br/images/docs/dirpa-fq002_peticao.pdf
■本文書の作成者
カラペト・ホベルト(ブラジル弁護士/日本技術貿易株式会社 IP総研 客員研究員)
■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期
2015.02.26
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