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韓国における意匠の新規性要件と新規性喪失の例外

2015年03月31日

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■概要
韓国における意匠登録出願については、韓国デザイン保護法(日本における意匠法に相当。)第33条に規定する新規性要件を満たさなければならない。ただし、デザイン保護法第36条によると、その出願前に新規性を喪失した場合、その新規性を喪失した日から6ヶ月以内に意匠出願をする場合には、その出願意匠の審査においてその公知意匠を公知でないものと見なす新規性喪失の例外規定が設けられている。原則として、意匠の新規性喪失に至った方法や理由にかかわらず、この新規性喪失の例外規定が適用される。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1)意匠の新規性要件

 韓国デザイン保護法は、出願時において新規性がある意匠に限り登録を認めている。

 

 具体的には、意匠登録要件のうち、新規性要件を規定したデザイン保護法第33条によると、(i)出願前に国内または国外において公知であり、もしくは公然に実施された意匠、(ii)出願前に国内または国外において頒布された刊行物に掲載され、もしくは電気通信回線を通じて公衆が利用できるようになった意匠、および(iii)公知である意匠に類似する意匠、は登録を受けることができないと規定している。

 

(2)新規性喪失の例外

 韓国デザイン保護法は、意匠登録要件として新規性要件を規定するとともに、一定の場合に新規性喪失の例外を認めている。

 

 具体的には、デザイン保護法第36条によると、意匠登録を受けることができる権利を有する者の意匠がその出願前に新規性を喪失した場合、その新規性を喪失した日から6ヶ月以内に意匠出願をする場合にはその出願意匠の審査においてその公知意匠を公知でないものと見なすと規定している。

 

 すなわち、意匠出願について6ヶ月の新規性を喪失せずに出願できる猶予期間(いわゆる「グレースピリオド」)を与え、その猶予期限内に出願された場合には、当該出願前の新規性喪失行為を理由として拒絶とされない。

 

デザイン保護法第36条(新規性喪失の例外)

(ⅰ)意匠登録を受けることができる権利を有する者の意匠が第33条第1項第1号または第2号に該当する場合、その意匠はその日から6ヶ月以内にその者が意匠登録出願した意匠に対して同条第1項及び第2項を適用する際には、同条第1項第1号又は第2号に該当しないものとする。但し、その意匠が条約若しくは法律によって国内又は国外で出願公開又は登録公告された場合にはこの限りでない。

(ⅱ)第1項本文の適用を受けようとする者は、次の各号のいずれか一つに該当する時にその趣旨を書いた書面とこれを証明することができる書類を特許庁長官又は特許審判院長に提出しなければならない。

 1.第37条による意匠登録出願書を提出する際、証明することができる書類は意匠登録出願日から30日以内に提出しなければならない。

 2.第63条第1項による拒絶理由通知に対する意見書を提出する時

 3.第68条第3項による意匠一部審査登録異議申立に対する答弁書を提出する時

 4.第134条第1項による審判請求(意匠登録無効審判の場合に限定)に対する答弁書を提出する時

 

(3)新規性喪失の例外が認められるための要件

(i)6ヶ月以内の出願

 新規性喪失の例外が認められるためには、新規性が喪失した日から6ヶ月以内に出願がなされなければならない。ここで、6ヶ月以内の出願とは韓国特許庁への出願(ハーグ協定に基づいて韓国を指定した国際意匠出願も含む)を意味する。

 

 この6ヶ月以内の出願要件は例外が認められない。例えば、自己の意思に反して公知となった場合(例えば、第三者による無断公表)にも6ヶ月以内に出願がなされなければならない。

 

(ii)新規性喪失の例外主張および証明書類の提出

 新規性喪失の例外に該当するためには、新規性が喪失した日から6ヶ月以内の出願と共に、新規性喪失の例外に該当する旨を記した書面および証明書類を、法が定めた所定期限までに提出しなければならない。具体的には、(a)出願時に新規性喪失の例外に該当する旨を記した書面を提出するか、または(b)拒絶理由に対する意見書の提出時、意匠一部審査登録異議申立に対する答弁書の提出時、および意匠登録無効審判における審判請求に対する答弁書の提出時等に、新規性喪失の例外に該当する旨を記した書面および証明書類を提出しなければならない。

 

 出願時に新規性喪失の例外適用を主張する場合、その証明書類は出願日から30日以内に提出しなければならない。ただし、ハーグ協定に基づく国際意匠出願の場合は、国際公開日から30日以内に証明書類を提出することができる。

 

(4)新規性喪失の例外認定の効果

 新規性喪失の例外が認められる場合、その公知意匠は、自己(またはその承継人)が出願した意匠について意匠登録要件審査において新規性および容易創作性に該当するか否かを審査する際に公知意匠と見なされない。したがって、その公知意匠と同一または類似のまたはそれから容易に創作することができる出願意匠の場合もその公知意匠を理由に登録が拒絶されない。

 

【留意事項】

(1)新規性喪失の例外が認められない場合

 原則として、意匠の新規性が喪失するに至った方法や理由に関係なく新規性喪失の例外規定が適用され得る。例えば、意匠が適用された物品の商業的販売の場合、あるいは論文や刊行物を通じて公表した場合等にも新規性喪失の例外規定が適用され得る。

 

 しかし、該当意匠が韓国または外国で発行した意匠出願の公開公報または登録公告等により公知となった場合は、韓国デザイン保護法上新規性喪失の例外に該当しないため注意が必要である。

 

(2)出願意匠が公知意匠に類似するか否かは問わない

 韓国特許庁の審査実務上、出願意匠が公知意匠に類似するか否かは問わず適用される。したがって、出願意匠と同一または類似の公知意匠にのみ新規性喪失の例外が適用されるのではなく、両意匠が非類似の場合もその公知意匠について新規性喪失の例外を認めるようにしており、これは、出願意匠と公知意匠とが非類似の場合において、出願意匠がその公知意匠から容易に創作可能なものと認められて拒絶される矛盾を避けるためである。

 

(3)出願日が遡及するわけではない

 出願前に公知であった意匠に新規性喪失の例外が適用される場合であっても、意匠登録要件審査は該当意匠出願の実際の出願日を基準に行われる。

 

 すなわち、新規性喪失の例外規定は、一定の要件を満たす場合、出願前に公知行為があっても該当公知行為によっては新規性が喪失しないものとみなすということであり、出願日自体が公知日まで遡及するわけではない。したがって、新規性喪失の例外が認められる場合であっても、その出願前の第三者の他の公知行為または出願等により登録を受けることができなくなる可能性がある。

 

 このため、出願前に意匠が公知となった場合は、6ヶ月の猶予期限内であっても、できるだけ早く意匠登録出願をすることが望ましい。

■ソース
・韓国デザイン保護法
・韓国デザイン審査基準
■本文書の作成者
中央国際法律特許事務所 弁理士 李東宰
■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期
2015.02.12
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