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日本とブラジルの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

2023年11月30日

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■概要
日本とブラジルの実体審査においては、拒絶理由通知への応答期間が異なる。具体的には、実体審査において60日(在外者でない場合)または3か月(在外者の場合)の応答期間が設定されている日本とは異なり、ブラジルでは拒絶理由通知への応答期間は90日であり、応答期間の延長は、正当な事由があれば認められる。
■詳細及び留意点

1.日本の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長

(1) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間
・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、意見書および補正書の提出期間は60日
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、意見書および補正書の提出期間は3か月

条文等根拠:特許法第50条、第17条の2第1項、方式審査便覧04.10 1.(2)ア、2.(2)ア

日本国特許法 第50条 拒絶理由の通知
審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあっては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

日本国特許法 第17条の2 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面の補正
特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
一 第五十条(第百五十九条第二項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)および第百六十三条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
二 拒絶理由通知を受けた後第四十八条の七の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。
三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
四 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。

方式審査便覧04.10 法定期間及び指定期間の取扱い
1.手続をする者が在外者でない場合
(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は、特許及び実用新案に関しては60日、意匠(国際意匠登録出願における拒絶の通報に応答する場合を除く。)及び商標(国際商標登録出願における命令による手続補正書を提出する場合及び暫定的拒絶の通報に応答する場合を除く。)に関しては40日とする。ただし、手続をする者又はその代理人が、別表に掲げる地に居住する場合においては、特許及び実用新案に関しては60日を75日と、意匠及び商標に関しては40日を55日とする。
ア.意見書(特50条、商15条の2、15条の3第1項、商附則7条)
2.手続をする者が在外者である場合
(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は1.(11)及び(12)を除き、3月とする。ただし、代理人だけでこれらの書類等を作成することができると認める場合には、1.(2)の期間とする。
ア.意見書(1.(2)ア.において同じ。)

(2) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長
・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、最大2か月まで延長可能
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、最大3か月まで延長可能
 (*特許庁「出願の手続」第二章 第十八節 IV指定期間の延長、https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_18.pdf

条文等根拠:特許法第5条第1項、方式審査便覧04.10 1.(16)ア、2.(12)ア、イ

日本国特許法 第5条 期間の延長等
特許庁長官、審判長または審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。
2審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。

方式審査便覧 04.10 1.(16)ア、2.(12)
1 手続をする者が在外者でない場合
(16) 次に掲げる特許法、実用新案法及び意匠法並びに特許登録令、実用新案登録令及び意匠登録令の手続の指定期間については、指定期間内又は指定期間に2月を加えた期間内の請求により、2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。
ア.(2)ア.の意見書(特50条及び意19条の規定によるものに限る。)ただし、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項第1号又は第3号に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。
2 手続をする者が在外者である場合
(12) 特許法第50条の規定による意見書の提出についての指定期間は、請求により延長することができる。延長する期間は以下のとおりとする。
ア.指定期間内の延長請求は、1回目の請求により2月延長し、2回目の請求により1月延長することができる。
イ.指定期間経過後の延長請求は、指定期間に2月を加えた期間内の請求により2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。
また、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項第1号又は第3号に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。

2.ブラジルの実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間延長

(1) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間
・拒絶理由通知書への応答期間は90日

条文等根拠:産業財産法第36条

ブラジル産業財産法 第36条
前記の見解書が,出願の非特許性,クレームの内容に対する出願の不適応性を確認するものであるか又は何らかの要求が設定されて場合は,出願人は,90日の期間内に意見書を提出するよう通知を受けるものとする。
要求に対する応答が提出されなかったときは,出願は最終的に却下される。
要求に対する応答が提出されたときは,要求が満たされていない場合又は要求の設定に異論がある場合,特許性又は妥当性に関して提出されている議論があるか否かに拘らず,審査は継続されるものとする。

(2) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長
・拒絶理由通知書への応答期間の延長は、原則、不可。ただし、正当な事由が認められた時は、認められた期間について延長可能。

条文等根拠:産業財産法第221条

ブラジル産業財産法 第221条
本法に定める期限は継続するものとし,それが経過したとき,手続をする権利は自動的に消滅する。ただし,当事者が,手続をしなかったことについて正当な事由があることを証明したときは,この限りでない。
(1) 正当な事由とは,当事者が手続をすることを妨げた,当事者の制御外にある不測の事態とみなされる。
(2) 正当な事由が認められたときは,当事者は,INPIによって当事者に認められた期間内に,手続をしなければならない。

日本とブラジルの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

日本 ブラジル
応答期間 60日(在外者でない場合)
3か月(在外者の場合)
90日
応答期間の延長の可否 原則不可、条件付きで可となる場合もあり
延長可能期間 最大2か月(在外者でない場合)
最大3か月(在外者の場合)
認められた期間
■ソース
・日本国特許法(昭和34年法律第121号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000121_20230401_503AC0000000042&keyword=特許法 ・方式審査便覧(令和5年7月3日付改訂)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/hoshiki-shinsa-binran/index.html ・ブラジル産業財産法
http://www.planalto.gov.br/ccivil_03/leis/l9279.htm (ポルトガル語)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/brazil-sanzai.pdf(日本語)
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2023.09.13

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