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日本と台湾の特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

2023年09月28日

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■概要
日本と台湾の特許の実体審査においては、拒絶理由通知への応答期間が異なる。具体的には、日本では、実体審査において60日(在外者でない場合)または3か月(在外者の場合)の応答期間が設定されているのに対して、台湾の実体審査においては2か月(在外者でない場合)または3か月(在外者の場合)の応答期間が設定されている。また、日本と台湾とでは、延長可能な応答期間の長さが異なる。
■詳細及び留意点

1.日本の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長
(1) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間

・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、意見書および補正書の提出期間は60日。
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、意見書および補正書の提出期間は3か月。

条文等根拠:特許法第50条、第17条の2第1項、方式審査便覧04.10 1.(2)ア,2.(2)ア

日本国特許法第50条 拒絶理由の通知
審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号または第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあっては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

日本国特許法第17条の2 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面の補正
特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。
一 第五十条(第百五十九条第二項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)および第百六十三条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
二 拒絶理由通知を受けた後第四十八条の七の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。
三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。
四 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。

方式審査便覧04.10 法定期間及び指定期間の取扱い
1.手続をする者が在外者でない場合
(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は、特許及び実用新案に関しては60日、意匠(国際意匠登録出願における拒絶の通報に応答する場合を除く。)及び商標(国際商標登録出願における命令による手続補正書を提出する場合及び暫定的拒絶の通報に応答する場合を除く。)に関しては40日とする。ただし、手続をする者又はその代理人が、別表に掲げる地に居住する場合においては、特許及び実用新案に関しては60日を75日と、意匠及び商標に関しては40日を55日とする。
ア.意見書(特50条、商15条の2、15条の3第1項、商附則7条)
2.手続をする者が在外者である場合
(2)次に掲げる書類等の提出についての指定期間は1.(11)及び(12)を除き、3月とする。ただし、代理人だけでこれらの書類等を作成することができると認める場合には、1.(2)の期間とする。
ア.意見書(1.(2)ア.において同じ。)

(2) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長
・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、最大2か月まで延長可能。
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、最大3か月まで延長可能。
(*特許庁「出願の手続」第二章 第十八節 IV指定期間の延長、https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/document/syutugan_tetuzuki/02_18.pdf

条文等根拠:特許法第5条第1項、方式審査便覧04.10 1.(16)ア,2.(12)ア、イ

日本国特許法第5条 期間の延長等
特許庁長官、審判長または審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。
2審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。

方式審査便覧04.10 1.(16)ア、2.(12)
1.手続をする者が在外者でない場合
(16)次に掲げる特許法、実用新案法及び意匠法並びに特許登録令、実用新案登録令及び意匠登録令の手続の指定期間については、指定期間内又は指定期間に2月を加えた期間内の請求により、2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。
ア.(2)ア.の意見書(特50条及び意19条の規定によるものに限る。)ただし、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項第1号又は第3号に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。
2.手続をする者が在外者である場合
(12)特許法第50条の規定による意見書の提出についての指定期間は、請求により延長することができる。延長する期間は以下のとおりとする。
ア.指定期間内の延長請求は、1回目の請求により2月延長し、2回目の請求により1月延長することができる。
イ.指定期間経過後の延長請求は、指定期間に2月を加えた期間内の請求により2月延長することができる。
ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。
また、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項第1号又は第3号に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。

2.台湾の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間延長
(1) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間

・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、意見書および補正書の提出期間は2か月
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、意見書および補正書の提出期間は3か月

条文等根拠:台湾専利法(日本における特許法、意匠法、実用新案法に相当。)第43条第3項、第4項、第46条

台湾専利法第43条
(3)特許主務官庁が第46条第2項の規定に従い通知した後、出願人は通知された期間内にのみ補正を行うことができる。
(4)特許主務官庁は、前項の規定により通知した後、必要があると認めたとき、最終の通知書を送付することができる。最終の通知書を送付された場合、特許請求の範囲の補正につき、出願人は通知された期間内にのみ、次の各号について補正を行うことができる。
1.請求項の削除
2.特許請求の範囲の減縮
3.誤記の訂正
4.明瞭でない事項の釈明

台湾専利法第46条
(1)特許出願が第21条から第24条、第26条、第31条、第32条第1項、第3項、第33条、第34条第4項、第6項前段、第43条第2項、第44条第2項、第3項、または第108条第3項の規定に違反する場合は、特許を付与しない旨の査定を下さなければならない。
(2)特許主務官庁が前項の査定を下す前には、期限を指定して、出願人に意見書を提出するよう通知しなければならない。当該期限が過ぎても意見書を提出しなかったものは、直接に特許を付与しない旨の査定を下すものとする。

(2) 特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長
・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、最大2か月
・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、最大3か月

条文等根拠:専利法施行細則(日本における施行規則に相当。)第6条

台湾専利法施行細則規則第6条
本法及び本細則に基づいて指定された期間について、出願人は、指定期間満了前に、専利主務官庁に対して理由を説明して延期を申請することができる。

日本と台湾における特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

日本 台湾
応答期間 60日(在外者でない場合)
3か月(在外者の場合)
2か月(在外者でない場合)
3か月(在外者の場合)
応答期間の延長の可否
延長可能期間 最大2か月
(在外者でない場合)
最大3か月(在外者の場合)
最大2か月
(在外者でない場合)
最大3か月(在外者の場合)
■ソース
・日本国特許法(昭和34年法律第121号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000121_20230401_503AC0000000042&keyword=特許法 ・方式審査便覧(令和5年7月3日付改訂)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/hoshiki-shinsa-binran/index.html ・台湾専利法(民國111(2022)年05月04日修正)(中国語)
https://law.moea.gov.tw/LawContent.aspx?id=FL011249 ・台湾専利法(2022年7月1日施行)(日本語)
https://chizai.tw/wp-content/uploads/2022/07/専利法(2022年7月1日施行)-j-.pdf ・台湾専利法施行細則(民國112(2023年)年03月24日修正)(中国語)
https://law.moea.gov.tw/LawContent.aspx?id=FL011250 ・台湾専利法施行細則(2022年10月20日経済部令改正発布)(日本語)
https://chizai.tw/wp-content/uploads/2022/10/專利法施行細則(2022年10月20改正)-j.pdf
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2023.07.03

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