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シンガポールにおける特許、意匠年金制度の概要

2022年11月15日

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■概要
シンガポールにおける特許権の権利期間は、出願日(国際出願日)から20年である。年金は出願日(国際出願日)を起算日として5年次に発生するが、出願が特許査定を受けた場合のみ納付が求められる。出願から特許査定まで4年以上を要した場合は、特許登録手続の際に累積年金を納付する必要がある。意匠権の権利期間は出願日から15年である。シンガポールの意匠は出願日が登録日とみなされ、出願日(登録日)を起算日として5年の権利期間が与えられ、その後、6年次と11年次に年金の納付を行うことで、15年の権利期間を得ることができる。
■詳細及び留意点

1.特許権
 シンガポールにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際出願日)から20年である。年金は出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際出願日)を起算日として5年次に発生するが、出願が特許査定を受けた場合のみ納付が求められる。したがって、出願から4年以上経過した案件であっても、審査中には年金は発生しない。出願から特許査定まで4年以上を要した場合は、特許登録手続の際に5年次から査定を受けた年までの年金を納付する必要がある。これを累積年金(*)という。その後の年金納付期限日は、出願応当日である。
 特許権の存続期間の延長制度として、特許が認可になるまでにシンガポール知的財産庁(IPOS)側に不合理な遅延があった場合、特許権者の申請により存続期間の延長を認める制度がある。
 また、特許出願に係る発明が市場売買にあたって承認を要する医薬品であり、当該承認を得るまでに不合理な遅延があった場合には、権利期間の延長申請を行うことが可能である。
(特許法第36条、第36A条、第85条、特許規則51、51A)

 シンガポール特許法第29条(1)(d)に規定される他国特許庁の出願の審査結果に基づくシンガポール特許出願(補充審査、外国ルート)の審査手続オプションについても存続期間の延長を認める制度があるが、本オプションによる出願は2020年1月1日以降の出願には適用されない。
(特許法第29条、特許規則43)

 納付期限日までに年金が納付されなかった場合、年金納付期限日から6か月以内であれば年金の追納が可能である。その場合、所定の年金金額に加えて追徴金を同時に納付しなければならない。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、納付期限日から18か月以内であれば回復の申請を行うことができる。回復の申請の際には、年金の未納付が特許権者の意図しないものであることを示す必要がある。
(特許法第36条、第39条、特許規則51、53)

 また、追納期間経過までに年金を納めない場合、特許権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をシンガポール知的財産庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。
(特許法第40条、特許規則54)

(*) 累積年金とは、年金納付義務が特許査定前から存在し、かつ特許査定が下されてから納付が開始される場合において、登録の手続の際に納付すべき年金のことを指す。指定された年次から査定された年次までをカバーする年金をまとめて納付し、それ以降は年払いに移行する。なお、査定された時期と年金納付日の関係によっては、指定された年次から査定された年次の次の年次の分までを納付することになる場合もある。

2.意匠権
 意匠権の権利期間は出願日から15年である。シンガポールの意匠は出願日が登録日とみなされるため、登録日も出願日と同日として取り扱われる。まず、意匠が登録になると出願日(登録日)を起算日として5年の権利期間が与えられる、その後、6年次と11年次に年金の納付を行うことで、計15年の権利期間を得ることができる。年金納付期限日は出願応当日(登録応答日)である。
(意匠法第21条、意匠規則35)

 追納制度は特許と同様である。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効するが、納付期限日から12か月以内であれば回復の申請を行うことができる。
(意匠法第21条、意匠規則35C)

 また、追納期間経過までに年金を納めない場合、意匠権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をシンガポール知的財産庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。
(意匠法第26条、意匠規則39)

3.年金の納付者
 年金の納付は、国籍は居住地によらず、だれでも可能であるが、シンガポール居住者ではない場合、シンガポール知的財産庁からの通信を受け取れるシンガポール国内の住所の提供が必要である。また、支払いにはシンガポール知的財産庁に登録されたアカウントが必要である。
 年金を誤納付した場合、返金の申請を行うことができる。

■ソース
・シンガポール特許法
https://sso.agc.gov.sg/Act/PA1994?ViewType=Pdf&_=20220811161630
・シンガポール特許規則
https://sso.agc.gov.sg/SL/PA1994-R1?DocDate=20220428&ViewType=Pdf&_=20220714231649
・シンガポール意匠法
https://sso.agc.gov.sg/Act/RDA2000?ViewType=Pdf&_=20220712210623
・シンガポール意匠規則
https://sso.agc.gov.sg/SL/RDA2000-R1?DocDate=20220523&ViewType=Pdf&_=20220811200827
・返金制度の変更について(Changes in Refund Policy)
https://www.ipos.gov.sg/docs/default-source/resources-library/trade-marks/circulars/2013/2013-circular-4---changes-in-refund-policy.pdf
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2022.08.17

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