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香港における特許年金制度の概要
2022年10月25日
■概要
香港における標準特許には、中国、英国または欧州特許で指定国が英国である特許権を基礎として香港国内で再登録される標準特許(R)と香港独自の付与による標準特許(O)がある。標準特許の権利期間は20年であり、標準特許(R)の期間の起算日は中国、英国または英国が指定国である欧州特許の出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)であり、標準特許(O)の権利の起算日は香港特許庁への直接出願日である。■詳細及び留意点
1.特許権
香港の特許権には標準特許(R)、標準特許(O)と短期特許の3種類が存在する。
標準特許(R)および標準特許(O)の登録後の年金は4~10年次、11年~15年次および16~20年次で累進的に増額する料金制度である(特許(一般)規則付則2-13)。
1-1.標準特許(R)
標準特許(R)とは、指定特許庁(*)の特許権を基礎として香港国内で再登録される特許権をいう(特許条例第10条)。
(*)中国国家知識産権局、英国特許庁、欧州特許庁(英国を指定国とするもの)
標準特許(R)の権利期間は20年であり、期間の起算日は特許出願のみなし出願日(中国、英国または英国が指定国である欧州特許の出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日))である。年金納付期限日の起算日も同じく、特許出願のみなし出願日である(特許条例第39条)。
標準特許(R)については、権利期間、年金納付期限日ともに起算日は香港知識產權署(知的財産局)への出願日ではないので注意が必要である。
年金は特許権が登録になったかどうかに関わらず、香港特許庁に係属中であれば納付しなければならないが、年金の発生のタイミングが登録前後で異なる点に注意しなければならない。香港特許庁に係属中の特許権に関しては、香港国内での公開日から満5年経過した後に最初に到来する出願応当日から年金が発生する。一方で、特許権が登録になった後の年金は、香港の特許登録日から満3年経過後に最初に到来する出願応当日から発生する。出願中に既に年金が発生していて香港特許庁に納付を行っており、その後に特許権が登録になった場合は、登録後3年間は年金納付が不要となる。そのため、年金納付を行わない空白期間が存在する点に留意する必要がある(特許条例第23条および第33条)。
納付期限日までに年金の納付が行われなかった場合、期限日から6か月以内であれば年金の追納が可能である。追納期間中は、所定の年金金額に加えて追徴金も同時に納付する必要がある。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合は、権利は失効もしくは出願は取り下げられたものとみなされる(特許条例第33条および第39条)。
ただし、当該特許出願が香港特許庁に係属中である場合には、追納期間の最終日から12か月であれば、手数料の納付により出願の回復を申請することができる(特許条例第34条)。
また、当該特許権が登録後である場合には、追納期間の最終日から18か月以内であれば、追加手数料の納付により権利の回復を申請することができる(特許条例第40条)。回復手続の際には、当初の年金と追徴金に加えて回復費用も納付する必要がある(特許条例第34条および第40条)。
上記のとおり、追納期間を超えて年金納付がされなかった場合に特許権は失効するが、登録官に対する書面による通知により、積極的に放棄を行うことも可能である(特許条例第48条)。
1-2.標準特許(O)
標準特許(O)は2019年に導入された、香港特許庁独自の審査により付与される特許である。
標準特許(O)の権利期間は標準特許(R)と同じく20年であるが、起算日は香港特許庁への出願日となる。また、年金納付期限日も香港特許庁への出願日が起算日となる(特許条例第39条)。
納付期限までに年金の納付が行われなかった場合の扱いについては、標準特許(R)と同様である(特許条例第39条および第40条)。
1-3.短期特許
短期特許は、香港特許庁に直接出願される。また、実用新案または発明に係る特許を求め、かつ、中華人民共和国を指定国とする国際出願が、中華人民共和国において国内段階に入った場合、国際出願の出願人は、当該出願に開示された発明の短期特許を出願することができる(特許条例第125条)。
短期特許の場合、最初に与えられる権利期間は4年であり、5年次に4年分の年金を1回納付することで計8年の権利期間を得ることができる。権利期間の延長制度は存在しない。権利期間の起算日は香港の出願日(PCT条約に基づく中国の実用新案出願の場合は、当該実用新案の国際実用新案出願日)であり、年金の納付期限日は出願応当日である(特許条例第126条)。
標準特許と同様に追納制度があり、追納期間は納付期限日から6か月である。追納期間中は、所定の年金金額に加えて追徴金も同時に納付する必要がある。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効する。ただし、追納期間の最終日から18か月以内であれば権利の回復を請求することができる。回復手続の際には、当初の年金と追徴金に加えて回復費用も納付する必要がある(特許条例第127条)。
■ソース
・香港特許条例https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/hong_kong-tokkyo_jourei.pdf
・香港特許(一般)規則
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/hong_kong-tokkyo_kisoku_gen.pdf
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2022.08.08