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中国における特許年金制度の概要
2022年07月14日
■概要
(本記事は、2024/9/26に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/40028/
中国における専利権(特許権、実用新案権、意匠権)のうち、特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際出願日)から20年である。年金は出願が特許査定を受けた時点から発生し、特許登録後の各年の納付期限日は出願応当日である。実用新案権および意匠権の年金制度はいずれも、権利期間を除き特許権とほぼ同様である。実用新案権の権利期間は出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際出願日)から10年であり、意匠権の権利期間は出願日から15年である。
■詳細及び留意点
1.特許権
中国における特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年(専利法第42条)*1である。年金は出願が特許査定を受けた時点から発生し、特許登録後の各年の納付期限日は出願応当日である。特許査定が下されると、特許権を登録するための要件として初回の年金納付が求められる。具体的には、初回年金は中国知識産権局が設定する期限内(専利権付与通知書および登録手続実行通知書の受領日から2か月以内)に登録料および特許証の印刷料とともに納付しなければならず(専利審査指南 第五部分 第九章 専利権の付与と終了 1.1.2登記手続実行通知、1.1.3登記手続、2.2.1年金)、当該期限内に登録料、印刷料、初回年金を遅滞なく納付した後に公告される(専利審査指南 第五部分 第八章 専利公報と単行本の編集 1.2.1.2発明専利権の付与)。当該年金は、登録時、すなわち特許権が成立した年の出願応当日から翌年の出願応当日までの1年分の年金として扱われる。なお、出願応当日と特許査定の発行日との関係により、登録時の納付から次回の納付までの期間が異なるが、何年次の年金を登録時に納付するかは特許査定(登記手続実行通知書)で指定されるため、これに従う必要がある(専利審査指南 第五部分 第九章 専利権の付与と終了 1.1.3登記手続)。原則として特許の認可通知発行日が含まれる年次の年金の納付が求められる。
*1:国務院専利行政部門は専利権者の請求に応じて、発明専利の権利付与過程における不合理的な遅延について専利権の期間に補償を与える。ただし、出願人に起因する不合理的な遅延は除外する。また、中国で発売許可を得られた新薬に関連する発明専利(特許)について、国務院専利行政部門は専利権者の請求に応じて専利権の存続期間の補償を与える。補償の期間は5年を超えず、新薬発売承認後の専利権の合計存続期間は14年を超えないものとする(専利法第42条第3項)。
なお、2回目以降の年金は前年度の期限満了前に納付する(専利法実施細則 第98条)。権利期間を延長できる制度は存在しない。
年金の金額は年次が上がるにしたがって増加する(専利費用、集積回路レイアウト設計料)。中国に常駐住所または営業場所を持たない外国人、外国企業またはその他外国組織が年金納付する場合、法に基づき設立された専利代理機関に委託して処理する必要がある。(専利法第18条)。
登録後、年金納付期限日までに年金納付がされない場合や納付金額に不足がある場合、中国知識産権局よりその旨を知らせる通知が発行される。どちらの場合でも、納付期限日から6か月以内であれば追納が可能である。追納期間中は、所定の年金金額や不足分の金額に加えて、追徴金も同時に納付する必要がある。追徴金は納付期限日から時間が経過するにしたがって増額する(専利審査指南 第五部分 第九章 専利権の付与と終了 2.2.1.3滞納金)。6か月の追納期間を超えて年金納付がされない場合や、追徴金の納付漏れがあった場合、権利は納付すべき期間の最終日から失効とされ、知識産権局から権利喪失確認通知が発行される。ただし、当該通知書の受領日から2か月以内であれば、権利の回復が可能である。権利回復の際には、当初の年金と追徴金に加え、回復費用も納付する必要がある(専利審査指南 第五部分 第二章 専利に係わる費用 1.費用の納付期限(4))。
上記のとおり、追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、特許権は年金を納付すべき期限の満了日に終了する((専利審査指南 第五部分 第九章 専利権の付与と終了 2.2.2終了)が、権利を放棄したい旨を記した宣誓書を知識産権局に提出することにより積極的に放棄する手続もある(専利審査指南 第五部分 第九章 専利権の付与と終了 2.3専利権者の専利権放棄)。
2.実用新案権
実用新案権の年金制度は、権利期間を除き特許権とほぼ同様である。権利期間は出願日(PCT条約に基づく実用新案登録特許出願の場合は国際実用新案登録出願日)から10年(専利法第42条)、年金の納付期限日は出願応当日である。年金は実用新案権が査定になってから発生し、登録手続の際に初回の年金納付を行う。特許権と同様に、この初回年金は実用新案権が登録になった年の出願応当日から翌年の出願応当日までの1年分の年金である。当該年金は、中国知識産権局が指定する納付期限日までに登録料や実用新案登録証の印刷料と共に納付しなければならない(専利審査指南 第五部分 第八章 専利公報と単行本の編集 1.2.2.1実用新案権の付与)。2回目以降の年金は前年度の期限満了前に納付し、権利の延長期間は存在しない。
年金は年次が上がるにしたがって増額し(専利費用、集積回路レイアウト設計料)、中国国内に在住する者または事業を行う場所を有する者のみが納付することができる(専利法第18条)。追納制度、回復制度ともに特許権の場合と同様である。
3.意匠権
意匠権の権利期間は出願日から15年である(専利法第42条)。年金制度は特許権のそれとほぼ同様であり、年金の納付期限日は出願応当日である。年金は意匠の登録査定時に発生し、意匠登録手続の際に初回の年金を納付する。特許権と同様に、この初回の年金は意匠権が登録された年の出願応当日から翌年の出願応当日までの1年分の年金であり、登録料と意匠登録証の印刷料とともに中国知識産権局が指定する納付期限日までに納付しなければならない(専利審査指南 第五部分 第八章 専利公報と単行本の編集 1.2.3.1意匠権の付与)。2回目以降の年金は前年度の期限満了前に納付し、権利の延長期間は存在しない。
年金は年次が上がるにしたがって増額し(専利費用、集積回路レイアウト設計料)、中国に常駐住所または営業場所を持たない外国人、外国企業またはその他外国組織が年金納付する場合、法に基づき設立された専利代理機関に委託して処理する必要がある。(専利法第18条)。追納制度、回復制度ともに特許権と同様である。
■ソース
1.中国専利法(2020年改正)https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/regulation/20210601_jp.pdf
2.中華人民共和国専利法実施細則(2010年2月1日改正)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/admin/20100201.pdf
3.専利審査指南2010(2010年2月1日改正)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/section/20100201.pdf
4.料金表(専利、集積回路レイアウト設計)
https://www.cnipa.gov.cn/module/download/down.jsp?i_ID=155983&colID=1518
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会■本文書の作成時期
2022.03.04