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日本とシンガポールにおける特許審査請求期限の比較

2020年04月30日

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■概要
日本における特許審査請求の請求期限は、日本出願日(優先権主張の有無にかかわらず)から3年である。シンガポールにおける特許審査請求には4つのオプションがあり、それぞれ審査請求の期限が異なる。なお、2017年10月30日付けで改正された特許法により、2020年1月1日以降の出願から4つのオプションのうち「対応国の審査結果に基づく補充審査」が選択できなくなる。費用の支払いにより期限の延長も可能である。審査請求期限の起算日はいずれのオプションも出願日(優先権主張を伴う場合には優先日)である。
■詳細及び留意点

1.日本における審査請求期限

 日本においては、審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある。出願審査請求は出願の日から3年以内に行うことができ、この期限内に出願審査請求がされない場合は、正当な理由があるものを除き、その特許出願は取り下げられたものとみなされる。

 出願が国内優先権の主張を伴う場合や、パリ条約による優先権の主張を伴う場合においても、請求期間の起算日は実際に特許出願がされた日である。

 PCTルートの場合は、国内書面を提出し、手数料の納付を行った後(外国語特許出願である場合はさらに翻訳文を提出した後)でないと、出願審査請求をすることができない(特許法第184条の17)。

 なお、審査請求は出願人だけでなく、第三者も行うことができる。(特許法第48条の3第1項)。

 条文等根拠:特許法第48条の2、第48条の3第4項、特許法施行規則第31条の2第6項、第184条の17

 

日本特許法 第48条の2 特許出願の審査

 特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまって行なう。

 

日本特許法 第48条の3 出願審査の請求

 特許出願があったときは、何人も、その日から3年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。

2 第44条第1項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第46条第1項もしくは第2項の規定による出願の変更に係る特許出願または第46条の2第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更または実用新案登録に基づく特許出願の日から30日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。

3 出願審査の請求は、取り下げることができない。

4 第1項または第2項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかったときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。

5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第1項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をすることができなかったことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、出願審査の請求をすることができる。

 

日本特許法施行規則 第31条の2第6項

6 特許法第48条の3第5項(同条第7項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の経済産業省令で定める期間は、同条第5項に規定する正当な理由がなくなった日から2月とする。ただし、当該期間の末日が同条第1項に規定する期間(同条第7項において準用する場合にあっては、第2項に規定する期間)の経過後1年を超えるときは、同項に規定する期間の経過後1年とする。

 

日本特許法 第184条の17 出願審査の請求の時期の制限

 国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあっては第184条の5第1項、外国語特許出願にあっては第184条の4第1項または第4項および第184条の5第1項の規定による手続をし、かつ、第195条第2項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間(第184条の4第1項ただし書の外国語特許出願にあっては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。

 

2.シンガポールにおける審査請求期限

 改正特許法が施行された2014年2月14日以降になされた、シンガポール出願、シンガポール国内移行および分割出願を前提として以下に説明する。

 シンガポールにおいては、審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある。シンガポールでは調査および審査請求の内容およびタイミングにより、以下の(i)~(ⅳ)の4つの審査請求オプションがあり、それぞれについての審査請求期間を以下に示す(特許法第29条(1)(b)~(d)、(3)、特許規則38(1)、43(1)~(3))。

 

<シンガポールにおける審査請求オプションと審査請求期限>

(i)シンガポールで調査請求を行い、その後審査請求→優先日から36か月(特許法第29条(3)、特許規則43(1))(調査請求は優先日から13か月、特許法第29条(1)(a)、特許規則38(1))

 ただし、審査請求期限前1月以内に登録官が出願人に調査報告を送付した場合には、同調査報告を伴った登録官の通知の日から1月を特許法第29条(3)に基づく審査請求期間とする(特許規則43(2))。

(ⅱ)シンガポールで調査と審査を同時に請求→優先日から36か月(特許法第29条(1)(b)、特許規則43(1))

(ⅲ)他国の調査結果に基づきシンガポールで審査→優先日から36か月(特許法第29条(1)(c)、特許規則43(1))

(ⅳ)対応国の審査結果に基づく補充審査*1→優先日から54か月(特許法第29条(1)(d)、特許規則43(3))

 

 ここで、審査請求期間の起算日は、優先権主張を伴う場合には優先日、優先権主張を伴わない場合にはシンガポール出願日である(特許規則38(1)、43(1)および(3))。また、分割出願の場合には、優先権主張を伴う場合には優先日、優先権主張を伴わない場合にはその分割出願の出願日である(特許規則43(3)(b))。上記前提の下、日本の読者の便宜のため、ここでは「優先日」を起算日として記載した。優先権主張を伴わない場合には、「出願日」と読み替えてください。

 また、延長費用の支払いにより(i)~(ⅳ)全てについて審査請求期限の延長が可能である(特許規則108(4)(a)、同(7))。

 期間内に審査の請求がなかったときは、特許出願は放棄されたものとみなす(特許法第29条(12)、(13))。

 また、実体審査請求を行うことができるのは、出願人のみである(特許法第29条(1)、(3))。

 条文等根拠:特許法第29条(1)(a)~(d)、(3)、(12)、(13)、特許規則38(1)、43(1)~(3)、108(4)、(7)

 

シンガポール特許法 第29条 調査および審査

(1)特許出願(本項において「当該出願」という)に係る出願人は、所定の期間内に、以下の項のうちの1つに従うこと。

 (a)調査報告書を求める所定の様式の請求書を提出する。

 (b)調査および審査報告を求める所定の様式の請求書を提出する。

 (c)出願人が下記に示す最終的な結果を依拠する場合、所定の様式で審査報告を求める所定の書類と請求書を提出する。

  (i)対応出願、対応する国際出願または関連する国内段階出願における調査、若しくは

  (ii)国際段階の当該出願の調査

   (当該出願が第86条(3)に基づいてシンガポールで国内段階に移行した国際出願である場合)

 (d)(11A)に従うことを条件として、所定の様式で補充審査報告を求める所定の文書と請求書を提出する。ただし

  (i)出願人が以下の最終的な報告に依拠する場合、特許出願がすべての方式要件を満たしている場合は、登録官は、出願人に通知する。

   (A)対応する出願、対応する国際出願または関連国内段階出願の実体の調査および審査、若しくは

   (B)国際段階における当該出願の実体の調査および審査(当該出願が第86条(3)に基づいて国内段階に移行した国際特許出願(シンガポール)である場合)

  (ii)当該出願における各クレームが、少なくとも対応する出願、対応する国際出願または関連する国内段階出願若しくは国際段階における当該出願におけるクレームの1つに関連する。

および

  (iii)これらの結果により、当該出願における各クレームが新規性、進歩性(または非自明性)、産業上の利用可能性(または有用性)の要件を満足する。

 

(3)登録官は(2)(b)に基づき調査報告を受領したとき、審査報告を求める所定の様式の請求書を提出する。

 

(略)

 

(12)以下の場合、出願は放棄されたものとして扱われる。

 (a)(13)に従うことを条件として、出願人が次の1つを行わなかった場合、

  (i)(1)の(b)、(c)もしくは(d)における所定の期間内に従うこと。

  (ii)(3)が適用される場合、その項に従うこと。

 (b)(10)が適用される場合において、出願人が(10)(b)に規定する所定の期間内に、(1)(d)に基づく補充審査の請求を行わなかった場合、または

 (c)(11)が適用される場合において、出願人が(1)(b)に基づく調査および審査報告の請求、または(11)(b)に規定する所定の期間内に(1)(c)に基づく審査報告の請求を行わなかった場合。

 

(13)(a)登録官から(2)(b)に基づき調査報告を受け取った後、出願人が(3)に従いその項に規定する期間内に審査報告を求める請求を行わなかった後、および

 (b)改正特許法2017の第3(f)条の開始日前、若しくは開始後3か月以内に、(3)に規定する期間延長の請求を提出する期間が満了する時、

出願人が、その日から6月以内に(3)に基づく審査報告の請求を行わなかった場合、出願は、放棄されたものとして扱われる。

 

シンガポール特許規則38 調査報告請求書の提出に係る期間

(1)第2条(1)(a)に基づく請求提出の所定の期間は、次のとおりとする。

 (a)当該出願に宣言された優先日が記載されていない場合は、出願日から13月、または

 (b)当該出願に宣言された優先日が記載されている場合は、当該宣言された優先日から13月

 

シンガポール特許規則43 調査および審査報告の請求、審査報告の請求または補充審査報告の請求*1の提出期間

(1)(2)に従うことを条件として、第29条(1)(b)に基づく調査および審査報告の請求または第29条(1)(c)若しくは(3)に基づく審査報告の請求の提出についての所定の期間は、

 (a)(b)に従うことを条件として、

  (i)出願の宣言された優先日、若しくは

  (ii)宣言された優先日が存在しない場合は当該出願の出願日、

から36月、または

 (b)第20条(3)、第26条(11)または第47条(4)に基づいて新規出願が行われる場合は、当該新規出願が実際に出願された日から36月とする。

 

(2)(1)(a)または場合により(b)にいう所定の期間の満了前1月以後に、登録官により第29条(2)(b)に基づいて調査報告の写しが出願人に送付される場合は、第29条(3)に基づく審査報告の請求の提出についての所定の期間は、第29条(2)(b)に基づく調査報告の写しを送付する登録官書簡の日付から1月とする。

(3)第2条(1)(d)に基づく補充審査報告の請求の提出についての所定の期間は、次のとおりとする。

 (a)(b)に従うことを条件として、

  (i)当該出願の宣言された優先日、若しくは

  (ii)宣言された優先日が存在しない場合は当該出願の出願日、

から54月、または

 (b)第20条(3)、第26条(11)または第47条(4)に基づいて新規出願が行われた場合は、新規出願が実際に出願された日から54月

 

シンガポール特許規則108 期限の延長一般

(4)次の何れかの規則に定める期日または期間については、延長の求められる期日または期間の最初の満了後18月以内に特許様式45の提出があった場合は、延長の求められる期日または期間の最初の満了直後に始まる計18月を超えない期間で延長される。

 (a)規則18(1)、規則19(11)、規則26(2)、規則28(f)、規則34(1A)、規則38、規則42(3)、規則43、規則47(1)、規則86(1)、(6)、(8)若しくは(8A)、または

 (b)規則26(3)(規則26(4)(a)および(b)に定める書類の提出に関する場合に限る)

 

(7)(a)登録官から第29(2)条(b)に基づく調査報告を受け取った後、審査請求するための規則43(1)もしくは(2)(どちらか適用可能な方)に規定する期間内に、第29条(3)に基づく審査報告の請求を出願人が行わなかった後、および

 (b)2017年10月30日より前もしくは3月以内に満了する期間延長の様式45の提出に対する(4)に規定する期間、

その日から6月、様式提出に関する(4)の期間は延長される。

 

◆日本の基礎出願に基づく優先権を主張しシンガポールに出願した場合には、以下のようになる。

 

日本とシンガポールにおける特許審査請求期限の比較

 

日本

シンガポール

提出期限

3年

・シンガポールで審査

 (36か月)

・補充審査(54か月)*1

基準日

日本の出願日

優先権を伴う場合には、

シンガポール出願日では

なく、日本の基礎出願日

審査請求できる者

出願人または第三者

出願人のみ

 

*1: 2017年10月30日付けで改正された特許法により、2020年1月1日以降の出願から補充審査は利用できなくなる。(シンガポール特許法第29条(11A)、およびシンガポール特許規則43(4))。

 

■本文書の作成者
ナガトアンドパートナーズ
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2019.08.22

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