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日本とマレーシアにおける特許審査請求期限の比較

2020年03月26日

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■概要
(本記事は、2022/11/17に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/27109/

日本における特許の審査請求の期限は、(優先権主張の有無にかかわらず)日本出願日から3年であり、マレーシアにおける特許の審査請求の期限は、(優先権主張の有無にかかわらず)マレーシア出願日から18か月である。ただし、PCTルートの場合は、国際出願日から4年である。
■詳細及び留意点
  1. 日本における審査請求期限

日本においては、審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある(特許法第48条の2)。出願審査請求は出願の日から3年以内に行うことができ、この期限内に出願審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる(特許法第48条の3第4項)。なお、特許出願が取り下げられたものとみなされた場合でも、出願審査の請求をすることができなかったことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、出願審査の請求をすることができる(特許法第48条の3第5項、特許法施行規則第31条の2第6項)。

出願が国内優先権の主張を伴う場合や、パリ条約による優先権の主張を伴う場合においても、請求期間の起算日は実際に特許出願がされた日である。

PCTルートの場合は、国内書面を提出し、手数料の納付を行った後(外国語特許出願である場合はさらに翻訳文を提出した後)でないと、出願審査請求をすることができない(特許法第184条の17)。

なお、審査請求は出願人だけでなく、第三者も行うことができる。(特許法第48条の3第1項)。

条文等根拠:特許法第48条の2、第48条の3第1項、第4項および第5項、特許法施行規則第31条の2第6項、第184条の17

 

日本特許法 第48条の2 特許出願の審査

特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまって行なう。

日本特許法 第48条の3 出願審査の請求

特許出願があったときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。

2 第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、前項の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から三十日以内に限り、出願審査の請求をすることができる。

3 出願審査の請求は、取り下げることができない。

4 第一項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかったときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。

5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をすることができなかったことについて正当な理由があるときは、経済産業省令で定める期間内に限り、出願審査の請求をすることができる。

6 前項の規定によりされた出願審査の請求は、第一項に規定する期間が満了する時に特許庁長官にされたものとみなす。

7 前三項の規定は、第二項に規定する期間内に出願審査の請求がなかった場合に準用する。

8 第五項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により特許出願について出願審査の請求をした場合において、その特許出願について特許権の設定の登録があったときは、その特許出願が第四項(前項において準用する場合を含む。)の規定により取り下げられたものとみなされた旨が掲載された特許公報の発行後その特許出願について第五項の規定による出願審査の請求があった旨が掲載された特許公報の発行前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。

 

日本特許法施行規則 第31条の2 出願審査請求書の様式等

6 特許法第四十八条の三第五項(同条第七項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の経済産業省令で定める期間は、同条第五項に規定する正当な理由がなくなった日から二月とする。ただし、当該期間の末日が同条第一項に規定する期間(同条第七項において準用する場合にあっては、第二項に規定する期間)の経過後一年を超えるときは、同項に規定する期間の経過後一年とする。

日本特許法 第184条の17 出願審査の請求の時期の制限

国際特許出願の出願人は、日本語特許出願にあっては第百八十四条の五第一項、外国語特許出願にあっては第百八十四条の四第一項又は第四項及び第百八十四条の五第一項の規定による手続をし、かつ、第百九十五条第二項の規定により納付すべき手数料を納付した後、国際特許出願の出願人以外の者は、国内書面提出期間(第百八十四条の四第一項ただし書の外国語特許出願にあっては、翻訳文提出特例期間)の経過後でなければ、国際特許出願についての出願審査の請求をすることができない。

  1. マレーシアにおける審査請求

マレーシアにおいては、実体審査を受けるためには実体審査請求または修正審査請求を行う必要がある(特許法第29A条)。

実体審査請求および修正審査請求は、マレーシア出願の日から18か月以内に行うことができる(特許規則27(1))。ただし、PCTルートの場合は、国際出願日から4年である(特許規則27(1A))。また、修正審査請求については出願日から5年まで延長が認められる(特許規則27B)。

なお、マレーシアにおいては出願人のみが実体審査請求を行うことができる。

条文等根拠:特許法第29A条、特許規則27、特許規則27A、特許規則27B

マレーシア特許法 第29A 実体審査または修正実体審査の請求

(1)特許出願が第29条に基づく審査を受けており、かつ、取下または拒絶がされていないときは、出願人は、所定の期間内に、その出願について実体審査の請求をしなければならない。

(2)特許出願においてクレームされている発明と同一または基本的に同一の発明に関し、特許または工業所有権の保護に関するその他の権利が、マレーシア以外の所定の国においてまたは所定の条約に基づいて、その出願人または前権利者に付与されているときは、出願人は、実体審査を請求する代わりに修正実体審査を請求することができる。

(4)登録官は出願人に対し、実体審査請求書を提出するときに次に掲げるものを提出するよう要求することができる。

(a)マレーシア以外において当該出願人またはその前権利者により、国内、地域または国際の工業所有権官庁宛に提出された、特許もしくは工業所有権保護に関するその他の権利を求める出願に関する所定の情報または所定の関係書類

(b)実体審査の請求対象とされている出願においてクレームされている発明と同一または基本的に同一の発明に関し、特許協力条約に基づく国際調査機関により行われた調査または審査の結果に関する所定の情報

(5)出願人が所定の期間内に、

(a)(1)に基づく実体審査請求書もしくは(2)に基づく修正実体審査請求書の何れかを提出しなかったか、または

(b)(4)にいう情報または書類であって、登録官が要求したものを提供しなかった場合、その特許出願は、(6)に従うことを条件として、前記期間の終了時に取り下げられたものとみなす。

(6)(5)に拘らず、登録官は、出願人の申請に基づき、(1)または(2)にいう審査請求書の提出についての延期または(4)にいう情報もしくは書類の提供についての延期を承認することができるが、当該延期は、次に掲げる事由がある場合に限り承認を受けることができる。すなわち、(1)または(2)に基づく請求を行うための所定期間の満了までに、

(a)(2)にいう特許または権利が未だ付与されていないかもしくは取得可能な状態でないこと、または(b)(4)にいう情報もしくは書類が入手できていないこと。

(7)(6)に基づく延期は、当該延期請求書が(1)または(2)に基づく請求をするための所定期間の満了までに提出されなかったときは承認されないものとし、かつ、本法に基づいて制定される規則に定められている期間よりも長い期間については、延期は、求めることも、また、承認を受けることもできない。

(8)延期を承認する登録官の権限は阻害しないものとするが、本条の適用上の所定の期間は、第82条の規定に基づく延長を受けることができない。

 

マレーシア特許規則27 実体審査請求

(1)実体審査の請求は、出願日から18か月以内に、所定の手数料を納付し様式5を提出することにより登録官に対してなされなければならない。

(1A)(1)にかかわらず、 国内移行された国際出願の実体審査の請求は、国際出願提出日から4 年以内に、所定の手数料を納付し特許様式5を提出することにより登録官に対してなされなければならない。

(2)規則19Aに基づき出願の分割がなされる場合、更なる実体審査を求める請求は、出願の分割を申し立てるときになされなければならない。

 

マレーシア特許規則27A 修正実体審査請求

(1)修正実体審査請求は、出願日から18月以内に、所定の手数料を納付し様式5Aを提出することにより登録官に対してなされなければならない。

(1A)(1)にかかわらず、国内移行された国際出願の修正実体審査の請求は、国際出願提出日から4年以内に、所定の手数料を納付し特許様式5Aを提出することにより登録官に対してなされなければならない。

(2)規則19Aに基づき出願の分割がなされる場合、更なる修正実体審査を求める請求は、出願の分割を申し立てるときになされなければならない。

マレーシア特許規則27B 実体審査および修正実体審査の請求の猶予

(1)規則27 に定める実体審査もしくは規則27Aに定める修正実体審査の請求の猶予の申立、および規則27(3)に基づき要求される情報もしくは書類の提供の猶予の申立は、それぞれ、様式5Bの書面により登録官に対してなされるものとする。

(2)特許法第29A条(7)の適用上、許容される最大猶予期間は、次のとおりとする。

(a)規則27B(3)に定めに従い、27または27Aに基づく請求の申立てに関しては、出願日から5年間

(b)規則27(3)に基づき要求される情報もしくは書類の添付に関しては、出願日から5年間

(3)(2)(a)の所定の期間内に修正実体審査の請求の申立てができない場合、当該出願はかかる所定の期間満了から3か月以内に実体審査請求の申立てをすることができる。

Practice Direction No.1~3 of 2016

(1)特許出願の補正は、実体審査・修正実体審査の審査報告書発行日から2か月以内に行わなければならない。

(2)マレーシア特許規則第19A条に基づく特許出願の分割請求は、実体審査・修正実体審査の審査報告書の発行日から3か月以内に行わなければならない。

(3)特許出願の補正等により、クレームが追加された場合には、追加されたクレームに関する審査手数料が全額納付されない限り、特許法28条に基づく出願日として記録されない。

◆日本の基礎出願について優先権を主張しマレーシアに出願した場合には、以下のようになる。

日本とマレーシアにおける特許審査請求期限の比較

日本 マレーシア
提出期限 3年 18か月
基準日 日本出願の日 マレーシア出願の日
■ソース
・日本特許法
・日本特許法施行規則
・マレーシア特許法、特許規則
https://www.myipo.gov.my/en/patent-act-1983/?lang=en ・特許出願手続に関する通達(Practice Direction No.1/2016)
https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2016/08/NoticeAmendments2016.pdf ・特許出願手続に関する通達(Practice Direction No.2/2016)
https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2016/08/NoticeClearcut2016.pdf ・特許出願手続に関する通達(Practice Direction No.3/2016)
https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2016/08/NoticeAddClaims2016-3.pdf
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2019.07.04

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