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日本とインドの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

2019年10月31日

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■概要
日本とインドの実体審査では、拒絶理由通知への応答に関する規定が異なっている。具体的には、応答期間が定まっている日本とは異なり、インドでは最初の拒絶理由通知書への応答期間は定められないが、代わりに特許付与のために整備する期間(拒絶理由解消期間)が定められる。そして、拒絶理由解消期間を過ぎると、その特許出願は放棄されたものとみなされる。

■詳細及び留意点

<日本の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長>

 

1)特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間

・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、意見書および補正書の提出期間は60日

・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、意見書および補正書の提出期間は3月

条文等根拠:特許法第50条、第17条の2第1項、方式審査便覧04.10 1(2)アa意見書、2(2)アa意見書

 

日本特許法 第50条(拒絶理由の通知)

 審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号または第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあっては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

 

日本特許法 第17条の2第1項(願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面の補正)

 特許出願人は、特許をすべき旨の査定の謄本の送達前においては、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる。ただし、第五十条の規定による通知を受けた後は、次に掲げる場合に限り、補正をすることができる。

一 第五十条(第百五十九条第二項(第百七十四条第一項において準用する場合を含む。)および第百六十三条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による通知(以下この条において「拒絶理由通知」という。)を最初に受けた場合において、第五十条の規定により指定された期間内にするとき。

二 拒絶理由通知を受けた後第四十八条の七の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするとき。

三 拒絶理由通知を受けた後更に拒絶理由通知を受けた場合において、最後に受けた拒絶理由通知に係る第五十条の規定により指定された期間内にするとき。

四 拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするとき。

 

日本特許庁 方式審査便覧 04.10 1(2)アa意見書、2(2)アa意見書

1 手続をする者が在外者でない場合

(2)指定期間

ア.次に掲げる書類等の提出についての指定期間は、特許および実用新案に関しては60日、意匠(国際意匠登録出願における拒絶の通報に応答する場合を除く。)および商標(国際商標登録出願における命令による手続補正書を提出する場合及び暫定的拒絶の通報に応答する場合を除く。)に関しては40日とする。ただし、手続をする者またはその代理人が、別表に掲げる地に居住する場合においては、特許および実用新案に関しては60日を75日と、意匠および商標に関しては40日を55日とする。

 a. 意見書(特50条*3、商15条の2*4、15条の3第1項、商附則7条*5

 

2 手続をする者が在外者である場合

(2)指定期間

ア.次に掲げる書類等の提出についての指定期間は、上記1(2)コ.の国際意匠登録出願において拒絶の通報に応答する場合の意見書の提出及び意匠法第9条第4項に基づく応答書面の提出についての指定期間、及びサ.の国際商標登録出願における命令による手続補正書の提出についての指定期間を除き、3月とする。ただし、代理人だけでこれらの書類等を作成することができると認める場合には、上記1(2)ア.の手続をする者が在外者でない場合の期間と同様とする。

 a. 意見書(特50条*3、商15条の2*4、15条の3第1項、商附則7条*5

 *3 特50条:特67条の4、意19条において準用

 *4 商15条の2:商65条の5、67条2項、商標法等の一部を改正する法律(平成8年法律第68号)附則12条において準用

 *5 商附則7条:商附則23条

 

2)特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長

・出願人が在外者でない場合(国内出願人)は、最大2月まで延長可能

・出願人が在外者である場合(外国出願人)は、最大3月まで延長可能

条文等根拠:特許法第5条第1項、方式審査便覧04.10

 

日本特許法 第5条第1項(期間の延長等)

 特許庁長官、審判長または審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求によりまたは職権で、その期間を延長することができる。

2 審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求によりまたは職権で、その期日を変更することができる。

 

日本特許庁 方式審査便覧 04.10 1(4)ア、2(4)イウ

1 手続をする者が在外者でない場合

(4)指定期間の延長(特・実・意)

 次に掲げる特許法及び実用新案法並びに特許登録令、実用新案登録令及び意匠登録令の手続の指定期間については、指定期間内又は指定期間に2月を加えた期間内の請求により、2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。

ア.上記(2)ア.の意見書(特50条の規定によるものに限る)。ただし、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項又は第3項に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。

 

2 手続をする者が在外者である場合

(4)指定期間の延長(特・実・意)

イ.特許法第67条の4の規定による意見書の提出についての指定期間は、「手続書類の翻訳のため」という理由により1月単位で3回まで期間延長請求することができる。

ウ.上記2(2)ア.a.の特許法第50条の規定による意見書の提出についての指定期間は、請求により延長することができる。延長する期間は以下のとおりとする。

 a.指定期間内の延長請求は、1回目の請求により2月延長し、2回目の請求により1月延長することができ、2回の請求により最長3月の期間延長をすることができる。

 b.指定期間経過後の延長請求は、指定期間に2月を加えた期間内の請求により2月延長することができる。ただし、指定期間内に延長請求した場合には、指定期間経過後の再度の延長請求を行うことはできない。また、当初の指定期間内に意見書を提出した場合又は特許法第17条の2第1項又は第3項に基づく補正を行った場合については、指定期間経過後の延長請求を行うことはできない。

 

 

<インドの実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間延長>

 

1)特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間

 応答期間についての規定はない。ただし、最初の拒絶理由通知の発送日から起算される所定の期間(拒絶理由解消期間)内に特許付与可能な状態とする必要がある。そのため、拒絶理由通知への応答は拒絶理由解消期間内に行う必要がある。

 拒絶理由解消期間内に答弁や補正が行われた場合、審査官は再度審査しなければならない。2回目以降の拒絶理由通知に対しても応答は拒絶理由解消期間内に行う必要がある。

 なお、出願人の居所(在外、在内)に関わらず、拒絶理由解消期間は最初の拒絶理由通知の発送日から6月である。

条文等根拠:インド特許法第21条(1)、インド特許規則24B(5)

 

インド特許法第21条(1)(出願の特許付与のために整備する期間(拒絶理由解消期間))

(1)特許出願については、長官が願書若しくは完全明細書又はそれに係る他の書類についての最初の拒絶理由通知を出願人に送付した日から所定の期間内に、出願人が当該出願に関して完全明細書関連か若しくはその他の事項かを問わず、本法により又は基づいて出願人に課された全ての要件を遵守しない限り、これを放棄したものとみなす。

説明--手続の係属中に、願書若しくは明細書又は条約出願若しくはインドを指定して特許協力条約に基づいてされる出願の場合においては出願の一部として提出された何らかの書類を長官が出願人に返還したときは、出願人がそれを再提出しない限り、かつ、再提出するまで又は出願人が自己の制御を超える理由により当該書類を再提出できなかったことを長官の納得するまで証明しない限り、かつ、証明するまで、当該要件を遵守したものとはみなさない。

 

インド特許規則24B(5)(出願の審査)

(5)第21条に基づいて出願を特許付与のために整備する期間は、要件を遵守すべき旨の最初の拒絶理由通知が出願人に発せられた日から6月とする。

 

2)特許出願に対する拒絶理由通知への応答期間の延長

 1)で記したように、応答期間についての規定がない。ただし、1)で記した拒絶理由解消期間は、1回に限り最大3月の延長が可能である。

 また、出願人は、拒絶理由解消期間内に応答書を提出し、ヒアリングの申請を行った場合、拒絶査定が行われる前にヒアリングを受ける機会が出願人に付与され、拒絶理由解消期間経過後も特許出願をインド特許庁に係属させることができる。ヒアリングの申請は拒絶理由解消期間満了の10日前までに行われなければならない。

条文等根拠:インド特許規則24B(6)、インド特許法第80条、インド特許法第14条

 

インド特許規則24B(6)(出願の審査)

(6)(5)に基づいて規定する、第21条に基づいて出願を特許付与のために整備する期間は、(5)に規定する期間満了前に様式4により所定の手数料を添えて期間延長を長官に請求することにより、3月間延長することができる。

 

インド特許法第80条(長官による裁量権の行使)

 本法に基づいて手続当事者を長官が聴聞すべき旨または当該当事者に対して聴聞を受ける機会を与えるべき旨を定めた本法の規定を害することなく、長官は、如何なる特許出願人または明細書補正の申請人(所定の期間内に請求の場合に限る。)に対しても、本法によってまたはそれに基づいて付与された長官の何らかの裁量権をその者に不利に行使する前に、聴聞を受ける機会を与えなければならない。ただし、聴聞を希望する当事者は、当該手続について指定された期限の満了の少なくとも10日前に、長官に対して当該聴聞の請求をしなければならない。

 

インド特許法第14条(審査官の報告の長官による取扱い)

 特許出願について長官の受領した審査官の報告が、出願人にとって不利であるかまたは本法もしくは本法に基づいて制定された規則の規定を遵守する上で願書、明細書もしくは他の書類の何らかの補正を必要とするときは、長官は、以下に掲げる規定にしたがって当該出願の処分に着手する前に、異論の要旨を可能な限り早期に当該出願人に通知し、かつ、所定の期間内に当該出願人の請求があるときは、その者に聴聞を受ける機会を与えなければならない。

 

 

日本とインドの特許の実体審査における拒絶理由通知への応答期間と期間の延長に関する比較

 

日本

インド

応答期間

60日(ただし在外者は3月)

(拒絶理由解消期間)

6月

応答期間の延長の可否

(拒絶理由解消期間)

延長可能期間

最大2月

(在外者は最大3月)

最大3月

また、出願人は、拒絶理由解消期間内に応答書を提出し、ヒアリングの申請を行った場合、拒絶査定が行われる前にヒアリングを受ける機会が出願人に付与され、拒絶理由解消期間経過後も特許出願をインド特許庁に係属させることができる。ヒアリングの申請は拒絶理由解消期間満了の10日前までに行われなければならない。

 

 

■本文書の作成者
株式会社サンガムIP
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期
2019.02.01
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