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日本と韓国における意匠の新規性喪失の例外に関する比較

2019年10月01日

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■概要
(本記事は、2023/11/14に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/37680/

韓国における意匠の新規性喪失の例外規定の要件は、日本と類似している。例えば、公知日から1年以内に出願する時期的要件や、公開を証明する書類の提出に関する要件が韓国にも存在する。
■詳細及び留意点

<日本における意匠出願の新規性喪失の例外>

 

日本においては、新規性を喪失した意匠の救済措置として、新規性喪失の例外規定が定められている。新規性喪失の例外規定の適用要件は以下のとおりである。

1 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の意に反して公開されたこと(第4条第1項)または

2 出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の行為に基づいて公開されたこと(第4条第2項)

上記いずれの場合についても、以下の要件を満たす必要がある*)

(1)権利者の行為に起因して公開された意匠の公開日から1年以内に意匠登録出願すること

(2)意匠登録出願時に意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする旨を記載した

書面を提出すること(願書に【特記事項】の欄を加え、当該規定を受けようとする出願である旨を明記することで代用可能。)

(3)意匠登録出願の日から30日以内に、意匠の新規性喪失の例外規定の適用の要件を満たすことを証明する書面(証明書)を提出すること

*)意匠の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集(https://www.jpo.go.jp/system/design/shutugan/tetuzuki/ishou-reigai-tetsuduki/document/index/ishou-reigai-qa.pdf

「証明書」には、意匠が公開された事実(公開日、公開場所、公開者、公開意匠の内容等)とともに、その事実を証明する者の署名、捺印等を記載することが必要である。なお。第三者によらず、出願人自身が署名・捺印したものであっても一定の証明力があるものとして許容される**)

**)「意匠審査基準の改訂」、p115脚注(https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/text/document/isho_text_h29/shiryou_02.pdf

条文等根拠:意匠法第4条

 

日本意匠法第4条(意匠の新規性の喪失の例外)

1 意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至った意匠は、その該当するに至った日から一年以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同項及び同条第二項の規定の適用については、同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかったものとみなす。

2 意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至った意匠(発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されたことにより同項第一号又は第二号に該当するに至ったものを除く。)も、その該当するに至った日から一年以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同項及び同条第二項の規定の適用については、前項と同様とする。

3 前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至った意匠が前項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面(次項において「証明書」という。)を意匠登録出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。

4 証明書を提出する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に証明書を提出することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなった日から十四日(在外者にあっては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその証明書を特許庁長官に提出することができる。

 

 

<韓国における意匠出願の新規性喪失の例外>

 

韓国デザイン保護法(日本における意匠法に相当。)には、新規性喪失の例外規定として以下の規定が存在する。韓国における意匠の新規性喪失の例外規定の要件は、日本と類似している。例えば、公知日から12か月以内に出願する時期的要件や、公開を証明する書類の提出に関する要件が韓国にも存在する。しかし、日本と異なるのは、新規性喪失の例外規定の適用の主張が、出願時だけでなく、出願補正期間内や意匠登録後に異議申立または無効審判が提起された場合でもできることである。

条文等根拠:デザイン保護法第36条、デザイン保護法施行規則第34条

 

韓国デザイン保護法第36条(新規性喪失の例外)

①意匠登録を受けることができる権利を有する者の意匠が、(意匠登録要件に関する)韓国デザイン保護法第33条第1項第1号または第2号に該当するようになった場合、その日(公知日または公然実施された日)から12ヶ月以内にその者が意匠登録出願した意匠に対しては、同条第1項および第2項を適用する時には同条第1項第1号または第2号に該当しないものと見る。但し、その意匠が条約もしくは法律によって国内または国外で出願公開または登録公告された場合にはこの限りでない。

②第1項本文の適用を受けようとする者は、次の各号のいずれか一つに該当する時にその趣旨を書いた書面とこれを証明することができる書類を特許庁長または特許審判院長に提出しなければならない。

1 第37条による意匠登録出願書を提出する時。この場合証明することができる書類は意匠登録出願日から30日以内に提出しなければならない。

2 第62条によるデザイン登録拒絶決定又は第65条によるデザイン登録決定(以下、‘デザイン登録可否決定’という)の通知書が発送されるまで。この場合、証明することができる書類は趣旨を書いた書面の提出日から30日以内で、デザイン登録可否決定までに提出しなければならない。

3 第68条第3項による意匠一部審査登録異議申立に対する答弁書を提出する時

4 第134条第1項による審判請求(意匠登録無効審判の場合に限定する)に対する答弁書を提出する時

 

韓国デザイン保護法施行規則第34条(新規性喪失の例外適用対象証明書類の提出)

デザイン保護法第36条第2項により、新規性が喪失していないものとして適用を受けようとする者が、その証明書類を提出する時には、「特許法施行規則」別紙第13号書式の書類提出書による。ただし、意匠登録出願と同時にその証明書類を提出する時には、出願書に証明書類提出の趣旨を書くことでその提出書に代えることができる。

 

 

日本と韓国における意匠の新規性喪失の例外に関する比較

  日本 韓国
新規性喪失の例外の有無
例外期間 公開日から1年 公知日から12か月
公知行為の限定有無
公知行為とは見做されない公開 1.出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の意に反して公開されたこと

2.出願に係る意匠が、意匠登録を受ける権利を有する者(創作者または承継人)の行為に基づいて公開されたこと

意匠登録を受けることができる権利を有する者の意匠が公開された場合
証明する書面(証明書) 公開の事実等を記載した証明書を提出する必要がある 新規性喪失の例外規定を受けようとするものは、その趣旨を書いた書面とこれを証明することができる証明書を提出する必要がある

 

 

■ソース
・意匠法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=334AC0000000125 ・韓国デザイン保護法
http://www.choipat.com/menu31.php?id=23&category=0&keyword= ・韓国デザイン保護法施行規則
http://www.choipat.com/menu31.php?id=25&category=0&keyword=
■本文書の作成者
宋眞旿(韓国弁理士)
■協力
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2018.11.01

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