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インドネシアにおける特許年金制度の概要

2018年10月16日

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■概要
インドネシアにおける特許の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である。権利期間の延長制度は存在しない。年金は出願の審査中には発生せず、特許査定が発行された場合に発生し、特許発行日から6ヶ月以内に累積年金を納付しなければならない。登録後、納付期限日までに年金が納付されなかった場合、権利は失効する。追納には、納付期限経過前に追納の申請手続行わなければならず、失効した特許権に対する権利回復の制度はない。
■詳細及び留意点
  1. 特許権

 

 インドネシアにおける特許権の権利期間は、出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である。権利期間の延長制度は存在しない。年金は出願の審査中には発生せず、特許査定が発行された場合に発生する。出願に対して特許査定が発行されると、出願年から特許査定発行の翌年次までの年金を特許発行日から6ヶ月以内に納付しなければならない。この特許発行時の納付年金を累積年金と言う(*下記参照)。累積年金の納付後の各年の年金は、出願応当日の1ヶ月前までに納付しなければならない。

 

 累積年金の納付期限は、旧法では登録日(特許証発行日)から1年であったが、2016年のインドネシア特許法の改正により、登録日(特許証発行日)から6ヶ月以内に変更された。

 

 年金の納付金額は請求項数により変動する。年金の納付は特許権者もしくはインドネシア国内の法曹資格を有する者であれば可能である。意図しない特許権に対して年金を誤って納付してしまった場合や、所定の納付金額以上の額を誤って納付した場合にも、一度納付した年金は返金されない。

 

 納付期限日までに年金が納付されなかった場合、権利は失効する。追納が認められるのは、年金納付期限日から遅くとも7日前までにインドネシア特許庁に所定の書面をあらかじめ提出した場合にのみである。納付期限日から最長12ヶ月の追納期間が認められる。

 

 追納の申請手続は納付期限経過前に行わなければならない点には注意が必要である。さらに、インドネシアには失効した特許権に対する権利回復の制度はない。

 

 追納は、認められた期間内に所定の納付年金に加えて、追徴金も同時に納付する必要がある。

 

 上記の通り、年金納付期限日もしくは追納期間経過までに年金が納付されない場合、特許権は失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をインドネシア特許庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。書面提出による権利放棄の場合も、特許権の権利回復の制度はない。

 

 登録後の年金は、旧法においては、連続して3年間納付しなかった場合に初めて権利が消滅し、その間の年金は負債として残るという制度であったが、2016年のインドネシア特許法の改正により、納付されなかった場合には権利が消滅する制度となった。

 

  1. 実用新案権

 

 実用新案権(インドネシア特許法第104条に規定される小特許、以下単に実用新案権という)の権利期間は、出願日から10年である。権利期間の延長制度は存在しない。年金は出願の審査中には発生せず、登録査定を受けてから発生する。出願が登録査定を受けると、出願された年から査定を受けた年の翌年までの年金を登録証発行日から6ヶ月以内に納付する必要がある。これを累積年金と言う(*下記参照)。累積年金の納付後の各年の年金は、出願応当日の1ヶ月前までに納付しなければならない。

 

 年金の金額は請求項数により変動する。年金の納付は実用新案権者もしくはインドネシア国内の法曹資格を有する者であれば可能である。意図しない実用新案権に対して年金を誤って納付してしまった場合や、所定の納付金額以上の額を誤って納付した場合にも、一度納付した年金は返金されない。

 

 追納の申請手続は納付期限前に行わなければならない点は、特許権と同様に注意が必要である。特許権と同様、失効した実用新案権に対する権利回復の制度はない。

 

 上記の通り、年金納付期限日もしくは追納期間経過までに年金を納めない場合、実用新案権は自動的に失効するが、権利を放棄したい旨を記した書面をインドネシア特許庁に提出することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。書面提出による権利放棄の場合も、実用新案権の権利回復の制度はない。

 

  1. 意匠権

 

 意匠権の権利期間は、出願日から10年である。権利期間の延長制度は存在しない。インドネシアの意匠を維持するにあたっては、年金の納付は必要ない。

 

 権利を放棄したい場合は、その旨を記した書面をインドネシア特許庁に提出することにより積極的な放棄が可能である。特許権や実用新案権と同様、放棄された意匠権も権利回復の制度はない。

 

*累積年金とは、年金納付義務が特許査定前から存在し、かつ特許査定が下されてから納付が開始される国において、登録の手続の際に納付すべき年金のことを指す。指定された年次から査定された年次までをカバーする年金をまとめて納付し、それ以降は年払いに移行する。なお、査定された時期と年金納付日の関係によっては、指定された年次から査定された年次の次の年次の分までを納付することになる場合もある。

 

【留意事項】

 本稿において、特許権及び実用新案権についての年金制度の説明は、インドネシア特許法(法律第13号 2016年新特許法)下での年金制度についての説明である。2016年8月26日以降、年金納付期限が新法に基づき設定されることとなった。

■ソース
・インドネシア特許法(法律第13号 2016年新特許法)
・インドネシア意匠法
■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2018.01.31

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