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香港における特許年金制度の概要
2018年05月15日
■概要
(本記事は、2022/10/25に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/26814/
香港における標準特許とは、中国、英国または欧州特許で指定国が英国である特許権を基礎として香港国内で登録されている特許権をいう。標準特許の権利期間は20年であり、期間の起算日は中国、英国または英国が指定国である欧州特許の出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)である。年金納付期限日の起算日も同じく、中国、英国または指定国が英国である欧州特許の出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)である。標準特許については、権利期間、年金納付期限日ともに起算日は香港特許庁への出願日ではないので注意が必要である。
■詳細及び留意点
- 特許権
香港の特許権には標準特許と短期特許の2種類が存在する。
標準特許とは、中国、英国または欧州特許で指定国が英国である特許権を基礎として香港国内で登録されている特許権をいう。標準特許の権利期間は20年であり、期間の起算日は中国、英国または英国が指定国である欧州特許の出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)である。年金納付期限日の起算日も同じく、中国、英国または指定国が英国である欧州特許の出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)である。標準特許については、権利期間、年金納付期限日ともに起算日は香港特許庁への出願日ではないので注意が必要である。
年金は特許権が登録になったかどうかに関わらず、香港特許庁に係属中であれば納付しなければならないが、年金の発生のタイミングが登録前後で異なる点に注意しなければならない。香港特許庁に係属中の特許権に関しては、香港国内での公開日から満5年経過した後に最初に到来する出願応当日から年金が発生する。一方で、特許権が登録になった後の年金は、香港の特許登録日から満3年経過後に最初に到来する出願応当日から発生する。出願中に既に年金が発生していて香港特許庁に納付を行っており、その後に特許権が登録になった場合は、登録後3年間は年金納付が不要となる。そのため、年金納付を行わない空白期間が存在する点に留意する必要がある。
納付期限日までに年金の納付が行われなかった場合、期限日から6ヶ月以内であれば年金の追納が可能である。追納期間中は、所定の年金金額に加えて追徴金も同時に納付する必要がある。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合は、権利は失効もしくは出願は取り下げられたものとみなされる。ただし、当該特許権が香港特許庁に係属中である場合には、追納期間の最終日から6ヶ月であれば、また、当該特許権が登録後である場合には、追納期間の最終日から12ヶ月以内であれば、出願または権利の回復を請求することができる。回復手続の際には、当初の年金と追徴金に加えて回復費用も納付する必要がある。
上記の通り、追納期間を超えて年金納付がされなかった場合に特許権は失効するが、特許庁に所定の金額を払って権利を放棄したい旨を主張することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。
短期特許は、香港特許庁に直接出願された特許、もしくはPCT条約に基づく中国の実用新案登録出願に基づいて香港で出願された特許である。短期特許の場合、最初に与えられる権利期間は4年であり、5年次に4年分の年金を1回納付することで計8年の権利期間を得ることができる。権利期間の延長制度は存在しない。権利期間の起算日は香港の出願日(PCT条約に基づく中国の実用新案登録出願の場合は、当該実用新案の国際実用新案登録出願日)であり、年金の納付期限日は出願応当日である。
標準特許と同様に追納制度があり、追納期間は納付期限日から6ヶ月である。追納期間中は、所定の年金金額に加えて追徴金も同時に納付する必要がある。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効する。ただし、追納期間の最終日から12ヶ月以内であれば権利の回復を請求することができる。回復手続の際には、当初の年金と追徴金に加えて回復費用も納付する必要がある。
- 意匠権
意匠権の権利期間は出願日から25年である。まず、意匠が登録になると、最初に出願日を起算日として5年の権利期間が与えられる。1回につき5年分の年金納付をそれぞれ6年次、11年次、16年次、21年次の4回行うことで、計25年の権利期間を得ることができる。年金の納付期限日の起算日は出願日である。
追納制度は特許権と同様である。追納期間を超えて年金納付がされなかった場合、権利は失効する。なお、意匠権に限っては年金の未納付により失効した権利の回復は不可能である。
追納期間経過までに年金を納めない場合、意匠権は自動的に消滅するが、特許庁に所定の金額を払って権利を放棄したい旨を主張することにより、積極的に放棄を行うことも可能である。
■ソース
・香港特許条例・香港意匠条例
■本文書の作成者
日本技術貿易株式会社■本文書の作成時期
2017.11.30