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ベトナムの意匠における機能性および視認性

2017年06月29日

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■概要
ベトナム知的財産法に基づく意匠の定義は、形状、線、寸法、色彩またはそれらの組合せにより表現された製品の外観であるが、製品の外観であっても、製品の技術的機能によってのみ決定づけられる外観や、製品を使用する過程で視認できない外観は、登録意匠として保護されない。
■詳細及び留意点

1. 機能性

 ベトナム知的財産法(法律第50/2005/QH11号を改正した法律36/2009/QH12号)第4条によると、意匠の定義は、形状、線、寸法、色彩またはそれらの組合せにより表現された製品の外観(外的形状)である。しかし、製品の外観であっても、ベトナム知的財産法において意匠として保護されない主題がある。例として、製品の技術的機能(機能性)によってのみ決定づけられる外観(ベトナム知的財産法第64条(1))や、製品を使用する過程で視認できない外観(視認性)(ベトナム知的財産法第64条(3))が挙げられる。

 

 ベトナム意匠出願審査規則第32.1条には、意匠が製品の機能によってのみ決定づけられているか否かを判断する指針として、以下の記載がある。

 

 (1)「製品の技術的機能を実現するために類似製品に当該製品の外観を取り入れる必要がある場合、その外観は製品の技術的機能によってのみ決定づけられているとみなす」

 (2)「同じ技術的機能を実現できる異なる外観の製品を創作することができる場合、その外観は、製品の技術的機能によってのみ決定づけられているとみなされない」

 

 審査の実務においては、ある意匠が製品の技術的機能によってのみ決定づけられているか否かを判断するために意匠の審査手続の過程で適用される判断基準が存在しない。そのため、その判断は、審査官の主観もしくは第三者の異議申立の理由に依ることになる。意匠の技術的機能を理由として審査官に意匠出願が拒絶された場合、もしくは第三者による異議申立が提起された場合のみ、出願人は、その意匠と同じ技術的機能を実現できる類似製品を創作することができ、当該技術的機能を実現できる唯一の意匠ではないことを立証する必要がある。

 

 現在のところ、方式審査において、科学技術省・省令第01/2007/TT-BKHCN号の第13.2条に基づいて拒絶された例は、プリント回路基板に関する意匠出願1件のみである(ベトナム出願3-2011-01802号における2012年4月12日付拒絶理由通知10521/SHTT-KDCN号)。その拒絶理由は、当該意匠は当該分野における既知の電子部品のみから構成され、それら電子部品は製品の技術的機能によってのみ決定づけられる形状および形態であるとみなされたからである。

 

 製品の技術的機能を理由として登録意匠が無効にされた例は知られていない。しかし、原則として、意匠が製品の技術的機能によってのみ決定づけられていることを立証できれば、その登録意匠を無効にすることは可能である。

 

 意匠においては、製品に技術的機能を付与することよりも、製品に魅力もしくは訴求力を付与することが重要である。意匠の製品は、機能的特徴と美的特徴の混合物である。そのため、実務上、意匠の形状の全ての部分が実現すべき技術的機能によってのみ決定づけられる場合のみ、技術的機能を理由とした意匠出願の拒絶、または登録意匠の無効手続きは妥当である。

 

2. 視認性

 

 ベトナム知的財産法では、意匠が具体化された製品(以下、「意匠実施製品」)を使用する過程で視認できない外的形状は、意匠による保護の対象外である。一方、製品の使用過程で視認できる製品内部の形状は、意匠による保護対象である。意匠による保護対象である製品内部の形状の例として、冷蔵庫の庫内の部品(ドアの収納棚、引き出し部品、ドアの部品、庫内の棚、庫内の引き出し、庫内の部品など)が挙げられる。

 

 意匠出願審査規則は、意匠による保護が可能な形状および意匠実施製品の使用過程について、以下のように明瞭な解釈を示している。

 

 「意匠実施製品の形状であって当該製品の使用過程において視認できるものは、意匠による保護対象である。製品を分解しない限り視認できない製品内部の部品や、製品それ自体によって覆われている部品は、使用過程において視認できるとはみなされない。」

 

 意匠実施製品の使用過程とは、意匠実施製品が完成品に含まれる一部品である場合、完成品が利用される過程ではなく、登録された意匠の製品が独立した存在として利用されることと解釈される。使用過程とは、製造者、販売者、購入者を含む直接使用者によって実行される意匠実施製品の製造、流通、購入、組立のプロセスとして理解され、保守および修理の作業は使用過程には含まれないものとする(意匠出願審査規則第32.3条)。下着の意匠は、使用過程において視認できる物品の一例である。それらは直接使用者による製造、取引、購入の過程で視認できるからである。一部の装置の内部構造は、それだけが単体として流通・交換されることがなく、使用過程において視認することは不可能であるため、視認性の要件を満たさないと解釈され、ベトナム知的財産法における意匠により保護されない。

 

 意匠出願審査規則第10.1条b)、および第10.2条はさらに、視認できず、かつ裸眼で見ることや認識できない製品の外的形状は意匠による保護の対象外であると規定している。裸眼で見ることができない製品の例としては、粉末、精製糖、塩、粉せっけん等が挙げられる。ただし、これらの製品が一定の形状に成型された場合はこの限りではない。

 

 使用過程における視認性に関する意匠出願審査規則の解釈からすると、上述のように使用の過程で目視できるため、単体として流通もしくは交換されうる製品、またはその部品の意匠はすべて視認性を有するとみなされる。実務上、視認性の欠如を理由として意匠出願が拒絶されたり、登録意匠が無効にされた例は知られていない。それゆえ、視認性のない登録意匠であったとしても、視認性の欠如という無効理由を含むという認識に基づいて権原なしに実施することにはリスクがある。第3者は、そのような登録意匠を実施する前に、当該視認性のない登録意匠に対して無効化手続を検討すべきである。

■ソース
・ベトナム知的財産法(法律第50/2005/QH11号を改正した法律36/2009/QH12号)
・意匠出願審査規則(2009年12月8日付けの決定2381/QD-SHTT号に基づき公布)
・2012年4月12日付拒絶理由通知10521/SHTT-KDCN号(2011年12月21日出願のベトナム出願3-2011-01802号)
■本文書の作成者
Ambys Hanoi Law Firm(ベトナム特許事務所)
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2017.02.16
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