- 新興国等知財情報データバンク 公式サイト - https://www.globalipdb.inpit.go.jp -

サウジアラビアにおける商標異議申立制度

2017年05月18日

  • 中東
  • 法令等
  • 出願実務
  • 審判・訴訟実務
  • その他参考情報
  • 商標

印刷する

■概要
サウジアラビアにおいて、商標出願は、異議申立のために公告され、いかなる利害関係者も、異議申立書を提出することができる。異議申立期間は、公報における公告日から60日である。異議申立は、絶対的拒絶理由または相対的拒絶理由に基づいて提起することができる。出願人は、異議申立書を受領後、答弁書を提出できるが、答弁書を提出しない場合、出願は却下される。
■詳細及び留意点

1.異議申立の要件および異議理由

 

 サウジアラビア商標法16条の規定において、公告決定となった商標出願は、異議申立のために公告され、いかなる利害関係者も、異議理由に基づき異議申立書を提出することができる。異議申立期間は、公報における公告日から60日である。異議申立期限の延長を申請することはできない。

 

 異議申立は、商標局の審判部における行政手続である。異議申立手続での審議事項は、登録可能性の有無にほぼ限定され、書面記録に基づいて行われる。サウジアラビアは、先願主義の国であり、異議申立を審理する商標局の審判部は、異議申立人に対して異議申立の根拠である先行登録商標の使用証拠を提出するよう要求することはできない。先行登録商標の使用について論争するためには、出願人は別個に不使用取消訴訟を提起しなければならない。不使用取消訴訟において判決が出されるまでの間、異議申立手続が中断されることはなく、その逆もまた同様である。

 

 サウジアラビアにおいて先行権利が確立されていない場合でも、著名性を根拠に異議申立を提起できる。商標が著名とみなされる程度は通常、周知商標の保護に関する国際基準(パリ条約の第6条の2)に従い、さらに周知商標保護の国内基準に従い判断される。いかなる証明力のある証拠も受け入れられ、次の要因を含む証拠全体に基づいて判断が下される:(i)販売の期間および地理的範囲;(ii)売上高;(iii)広告支出および広告の見本;(iv)表彰、論評および報道;(v)国内の関連する業界および消費者団体における当該商標の評判;ならびに(vi)商標の認知度を評価するための専門家証言および調査。

 

 他に認められる異議理由として、次のものが挙げられる:絶対的拒絶理由;悪意;パリ条約第6条の7(商標所有者の代理人または他の代表者の名義による登録)に基づく権利;パリ条約第8条(商号)に基づく権利;パリ条約第6条の3(国章、公式証明印および政府間機関の紋章に関する禁制)に基づく権利;公序良俗に反するもの。ただし、これらの理由は、網羅的および確定的なものではない。

 

2.異議手続および取下

 

 サウジアラビアにおける業務処理の環境は、現在では、商標の電子出願は可能であるものの、異議申立人は電子的手段により異議申立書を提出することはできない。さらに、商標局の審判部は異議決定を電子的手段で発行することはできない。異議申立を提起するには、書面で提出すると共に、異議申立の公定料金を支払わなければならない。異議申立人は、異議対象の商標がサウジアラビア商標法第3条に基づき登録が認められない、または当該商標を保有し続けることができない理由に関して、有効な根拠があることを立証しなければならない。

 

 異議申立書には、当該商標の登録により異議申立人がどれほどの損害を受けるかについて説明する陳述を含めると共に、異議理由を添付しなければならない。異議申立は、絶対的拒絶理由または相対的拒絶理由に基づいて提起することができる。相対的拒絶理由を根拠とする場合、異議申立人は、当該商標が既存の登録商標と混同を生じるほど類似していること、または先に確立されたコモンロー上の権利と抵触することを明確に論じなければならない。相対的拒絶理由に基づく異議申立を提出できるのは、先行権利の所有者だけである。

 

 異議申立書が提出された場合、当該出願の出願人は、異議申立書を受領後、答弁書を提出できるが、答弁書を提出しない場合、当該出願は却下される。答弁は通常、異議申立書に対する複数の簡潔な否認で構成され、かかる答弁を裏づける証拠を提出する必要はない。

 

 双方の当事者は、異議対象の商標の使用に関する和解契約を締結することが一般的であるが、異議申立の取下条件について出願人または異議申立人が同意しているかどうかにかかわらず、異議申立の取下により、異議手続は自動的に終了する。異議申立手続は、どの時点であっても手続を取り下げることができるが、取下を証明する商標局の公式通知が発行されるまで、有効に存続する。

 

 各当事者により提出された証拠に基づいて、さらに特定の場合にはヒアリングに基づいて、商標局は異議対象の出願に対する異議決定を発行する。異議決定を不服とする場合は、異議決定の通知日から30日以内に行政裁判所(the Board of Grievances)に上訴できる。ただし、更なる上訴はできない。

■ソース
・サウジアラビア商標法
・工業所有権の保護に関するパリ条約
■本文書の作成者
Saba & Co.  (中東・北アフリカ諸国の知的財産権を専門に取り扱う法律事務所)
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2017.01.31
■関連キーワード
SA-dm-2300   SA-dm-3400   SA:サウジアラビア   パリ条約   ヒアリング   上訴   不使用取消   不使用取消訴訟   使用証拠   先行権利   先願主義   公告   公告決定   公序良俗   取下   司法手続   周知商標   和解契約   商号   悪意   異議決定   異議理由   異議申立   異議申立書   登録可能性   相対的拒絶理由   答弁書   絶対的拒絶理由   著名性   行政手続   行政裁判所   証拠   証明力  

Copyright National center for industrial property information and training (INPIT). All rights reserved.