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マレーシアにおける商標異議申立制度

2017年04月27日

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■概要
マレーシアでは、異議申立書は、出願の公告日から2ヵ月以内に提出できる。異議申立書の受領から2ヵ月以内に、出願人は答弁書を提出することができる。答弁書を受領した時点で、異議申立人および出願人は、各自の異議申立理由ないし出願理由を裏付ける証拠を宣誓書の形式で提出する。さらに、異議申立人は、出願人の証拠を受領した日から2ヵ月以内に、それに応答する証拠を宣誓書の形式で提出できる。登録官が新たな証拠の提出を許可しない限り、いずれの当事者もそれ以上の証拠を提出することはできない。
■詳細及び留意点

 マレーシアにおいては、商標出願に対する異議申立手続には「1975年商標法」(以下「商標法」と称する)の第28条および「1997年商標規則」(以下「商標規則」と称する)の規則37~49が適用される。商標出願が審査後に認可されると、登録官は当該出願を公報上で2ヵ月間にわたり公告することになっている。公告の目的は、当該出願に対して異議を申し立てる機会を万人に与えることである。

 

異議申立理由

 

 いかなる者も、商標法に規定された以下の理由の一ないし複数に基づき、商標出願に対して異議申立を提起することができる。

 

1.当該商標が公衆に誤認もしくは混同を生じさせる可能性があるか、法に違反するおそれがある。

2.当該商標が中傷的もしくは侮蔑的であるか、裁判所の保護を受けるに適格でない。

3.当該商標が、国益または国家の安全を害するおそれのある事項を含んでいる。

4.当該商標が、同一の商品または役務につきマレーシアにおいて周知である他の所有者の商標と同一であるか、それに極めて類似している。

5.当該商標が、出願の対象となった商品または役務と同一でない商品または役務につきマレーシアにおいて周知である他の所有者の商標と同一であるか、それに極めて類似している。

6.当該商標が、表示された地域を原産地としない商品に関する地理的表示を含んでおり、かつ、マレーシアにおいて当該商品につき当該表示を使用することが当該商品の真の原産地に関して公衆に誤認を生じさせるおそれがある。

7.当該商標が、ぶどう酒のための商標であってぶどう酒を特定する地理的表示を含んでいるか、蒸留酒のための商標であって蒸留酒を特定する地理的表示を含んでいるが、そのぶどう酒もしくは蒸留酒が当該地理的表示により表示される場所を原産地としていない。

8.同一であるか誤認もしくは混同を生ずる程度に互いに極めて類似している複数の商標につき、それぞれ別の者を所有者として登録することを求める複数の異なる出願が別個になされている。

9.同一の商品もしくは同一種類の商品またはこれらの商品に密接に関連する役務に関して、別の所有者に属する先行商標が存在し、当該商標がその先行商標と同一である。

10.当該商標に識別性がない。

11.当該商標が、特別もしくは独特な態様で表示される個人、会社または企業の名称を含んでおらず、そのような名称から構成されてもいない。

12.当該商標が、出願人の署名もしくは出願人の前事業主の署名を含んでおらず、そのような署名から構成されてもいない。

13.当該商標が、一ないし複数の造語を含んでおらず、そのような造語から構成されてもいない。

14.当該商標が、商品または役務の特徴もしくは品質に直接言及しておらず、かつ、その通常の意味では地理的名称でも人の姓でもないような言葉を含んでおらず、そのような言葉から構成されてもいない。

15.当該商標が、上記以外の識別性のある標章を含んでおらず、そのような標章から構成されてもいない。

 

異議申立手続

 

 異議申立書は、出願が公告された公報の日付から2ヵ月以内に、所定の料金の納付とともに、定められた書式を用いた書面によって提出されなければならない。問題の出願商標が既に登録されている商標または現在出願中の商標に類似しているという理由で異議申立がなされる場合には、その商標の番号および分類ならびにその商標が公告された公報の番号(当該商標がまだ公告されていない場合はこの限りではない)が異議申立書に記載されなければならない。

 

 異議申立に対して出願人が答弁しなかった場合、登録官は、異議申立人に費用の支払を命じる裁定を下すか否かを判断するにあたり、異議申立書の提出前に出願人に事前通知が送付されていたならば異議申立手続が回避しえたか否かを考慮しなければならない。したがって、異議申立人は、異議申立書の提出に先立って、自らが提起しようとしている異議申立に関する事前通知を出願人に送付することが勧められる。

 

 異議申立書の受領から2ヵ月以内に、出願人は定められた書式による答弁書を提出することができる。答弁書には、出願人が依拠する出願理由およびその事実が記載されるとともに、異議申立書において主張された事実のうち出願人が認める事実がある場合には、その自認が記載される。答弁書の提出と同時に、その写し1部が異議申立人に送付される。

 

 答弁書を受領した時点で、異議申立人および出願人は、各自の異議申立理由ないし出願理由を裏付ける証拠を宣誓書の形式で提出する。各当事者は、登録官に提出した宣誓書(添付証拠を除く)の写しを相手方に送付することを要求され、この送付を怠った場合、その当事者の異議申立もしくは出願は放棄されたものと見なされる。提出した宣誓書に証拠が添付されている場合、当該添付証拠を提出した当事者は、相手方の要求に従い、相手方の費用負担の下に、個々の添付証拠の写しを相手方に送付するものとする。いかなる場合にも、登録官に提出された証拠の原本は、相手方の自由な閲覧に供されるものとする。

 

 さらに、異議申立人は、出願人の証拠を受領した日から2ヵ月以内に、それに応答する証拠を宣誓書の形式で提出する。応答の対象は、出願人が自らの証拠に記載した事項に限定される。異議申立人の宣誓書が提出されると同時に、その写しが出願人に送付されるものとする。

 

 登録官が新たな証拠の提出を許可しない限り、いずれの当事者もそれ以上の証拠を提出することはできない。

 

 証拠の提出が終了した時点で、登録官は、両当事者に対して、追加の陳述書もしくは書類資料を登録官に送付することのできる期限を通知するものとする。陳述書もしくは書類資料の提出期限は、登録官が送付した通知を両当事者が受理する日より1月後の日でなければならない。異議申立手続が書面の提出によって進行する場合であって、出願人もしくは異議申立人は、当該異議申立に関してヒアリングを要求することができる。

 

期限延長

 

 異議申立手続について定められた上記2か月の全ての期限、つまり、異議申立書提出期限、答弁書提出期限、各当事者の証拠提出期限、異議申立人の応答証拠提出期限は、定められた書式を用いた申請書に基づき延長することが可能である。期限延長申請書の写しは、当該異議申立の当事者全員に送付されなければならない。いずれかの当事者による期限延長を認める場合、登録官は、所定の料金が納付されることを条件として、自らの判断に基づき、ヒアリングを行うことなく、その後の手続を行う際の期限について妥当な延長を認めることができる。

 

決定

 

 登録官は、当事者双方が提出した書類および証拠を検討した上で、最終書類の提出期限として定められた日から2ヵ月以内に、以下のいずれかの決定を下す。

1.当該商標の登録を拒絶する。

2.当該商標を登録する。

3.登録官が妥当と考える条件、補正、修正もしくは制限に従って当該商標を登録する。

 

上訴

 

 異議申立手続における登録官の決定に不服がある当事者は、高等裁判所に上訴を提起することができる。上訴は、当該決定の日から1ヵ月以内に、召喚状の発行を以て開始されなければならない。また、上訴請求の写しはすべての関係者に送付されなければならない。上訴は、裁判所の許可がある場合を除き、商標登録を拒絶する理由については、異議申立人および登録官の何れも、裁判所の許可を得ない限り、異議申立人によって既に主張されている理由以外のものは申し立てることができない。新たな異議申立理由が主張される場合、出願人は、裁判所に所定の届出をすることによって、異議申立人の費用を支払うことなく出願を取り下げることができる。

 

費用の担保

 

 異議申立人、出願人または上訴人がマレーシアに居住しておらず、かつ、マレーシア国内で営業を行っていない場合、登録官または裁判所は、異議申立手続の任意の段階において、異議申立手続に伴う費用ないし経費の担保を提供するよう当該当事者に請求することができる。登録官または裁判所は、担保として、その相応と考える金額をその相応と考える形式によって提供するよう求めることができる。担保が要求に従って提供されない場合、異議申立、出願もしくは上訴は放棄されたものとして処理される。

 

費用

 

 裁判所に係属する手続全般において、裁判所は、自らが合理的と判断する費用(登録官の費用を含む)をいずれかの当事者に裁定することができる。なお、登録官は、他のいずれの当事者の費用についても、その支払を要求されることはない。

 

 登録官は、合理的と思われる費用をいずれかの当事者に裁定し、それら費用をいずれの当事者がどのように支払うかを命じる権限を有する。費用の支払に関する登録官の命令は、裁判所の許可により、裁判所の判決もしくは命令と同様に執行することができる。

■ソース
・マレーシア商標法
・マレーシア商標規則
・マレーシア裁判所規則
・マレーシア法律辞典
■本文書の作成者
Tay & Partners
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2017.01.20
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