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南アフリカにおける特許出願の補正の制限

2016年06月09日

  • アフリカ
  • 法令等
  • 出願実務
  • 特許・実用新案

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■概要
南アフリカ特許出願において、補正は、係属中の特許出願または付与された特許に対して行うことができる。しかし、特許の付与後に行われる補正には、より厳しい制限が課せられる。また、付与された特許に対する補正の申請は公告され、その後二ヶ月間が異議申立期間となる。したがって、出願が特許付与される前に明細書を補正することが望ましい。
■詳細及び留意点

【詳細】

1.関連条項

 南アフリカ特許出願において、特許明細書の補正(amendment)および訂正(correction)は、特許の存続期間中いつでも自発的に行うことができる。南アフリカ特許法(以下、「特許法」)の第50条および第51条は、係属中の出願または付与後の特許に対して可能な補正および訂正(以下、広義の意味で「補正」として取り扱う)について規定している。

 

1-1.南アフリカ特許法第50条(1)項

 特許法第50条(1)項(a)は、あらゆる出願書類における誤記は、出願係属中または特許付与後に訂正可能なことを規定している。裁判所の判断では、記載または複写する際に、故意ではなく不注意により生じた誤りは、誤記であるとしている。

 

 特許法第50条(1)項(b)は、特許法に明確な規定のないあらゆる文書の補正について定めている。この条項では、例えば出願の提出時に省かれてしまった発明者の名前、南アフリカ出願時には入手できなかった二番目もしくはそれ以降の優先権基礎出願の詳細情報が含まれており、補正によって追加することができる。

 

1-2.南アフリカ特許法第51条

 特許法第51条は、特許出願の係属中および特許付与後の双方における、特許明細書の補正、または誤記以外の誤りの訂正(広義の補正)について規定している。出願係属中、明細書およびクレームは、下記を条件として、補正することができる。

 (a)新規事項を追加するものではないこと。

 (b)補正後の各クレームが、補正前の明細書に含まれていた事項に適正に基づいていること。

 

 特許が付与された後の明細書およびクレームは、上記(a)および(b)に加え、下記(c)が満たされることを条件として、補正することができる。

 (c)補正後の各クレームが、補正前の明細書に含まれていたクレームの範囲内に完全に含まれていること。

 

 また、付与された特許に対する補正の申請は公告され、その後二ヶ月間が異議申立期間となる。一方、出願係属中の補正申請については公告されることはない。

 

2.新規事項の追加

 補正を通して新規事項を追加することはできないが、特許法第51条(8)項は、出願当初の明細書に記載された事項と適正に関連づけられる新規事項は、その出願係属中であれば、補足開示(出願時の明細書およびクレームを補足するために、発明の更なる説明を加えた書面)により提出することができると規定している。なお、特許の付与後は、補足開示を提出することはできない。補足開示にのみ記載される事項については、その新規性判断の基準日は当該補足開示の提出日として取り扱われる。すなわち、あるクレームの根拠となる記載が、補足開示にしかない場合、そのクレームの新規性は、補足開示の提出日を基準として判断されることとなる。

 

3.補正の手続

 特許法第51条の要件として、補正、または誤記以外の誤りの訂正の申請は、その補正または訂正の「十分な理由」を明記しなければならない。最高裁判所の最近の判決によれば、第三者および登録官に、その補正または訂正の理由が明らかになるように、補正の申請において十分な情報を提示しなければならない。

 

 特許明細書の補正の申請には、下記(1)~(3)がなければならない。

 (1)特許代理人により署名され、補正の十分な理由が明記された所定の申請書式。

 (2)明細書のうち補正を要求するページのコピーであって、必要な補正を赤で示したコピー。

 (3)補正が組み込まれた、補正ページの清書または再入力された写し。

 

4.無効なクレームを含む特許の扱い

 南アフリカ特許のいずれかのクレームに無効理由が含まれる場合、その無効理由を含むクレームを補正して無効理由が解消されるまでは、その特許権全体を無効かつ権利行使不可と取り扱われる。特許権者が補正を行う場合でも、特許法第51条(10)項に基づき、提出された補正が、特許法第51条の規定に反する明細書の補正にあたると特許庁長官が判断する場合、その補正を無効とすることができる。したがって、このような場合、特許権者は、補正が適法に受け入れられるまで無効とされる可能性のある特許を有することになる。明細書の補正がなされた場合、その補正の結果、新たに侵害と認められる行為が生じた際には、特許庁長官は自己の裁量で、補正が行われる前の当該行為に関して損害賠償の認定を拒否することができる。さらに、その裁量による判断を下すにあたり、明細書の作成過程とこれまで補正がなされなかったことに関して特許権者の対応が適切であったか否かを考慮ことができる。

 

5.自発補正のすすめ

 南アフリカの特許出願制度には、特許庁による先行例調査、実体審査、付与前異議申立はない。したがって方式審査で要件が満たされると、その特許出願はその時点で南アフリカ特許庁に係属している明細書およびクレームの通り自動的に特許付与段階へ進むことになる。それゆえ南アフリカにおける特許出願人は、他の審査主義国において、対応する出願の手続中に知った先行技術を考慮して、南アフリカ出願の明細書またはクレームを補正する必要がある。

 

 特許存続期間中のあらゆる時点で、第三者は新規性の欠如および自明性を含む様々な理由により、特許の取消を特許庁長官に請求することができる。これに関して、南アフリカ特許法は英国特許法およびヨーロッパ特許法と同様、公知(文献公知を含む)、公用の事実に基づく新規性の喪失の基準として、特に南アフリカ国内外を問わないとする絶対新規性要件を採用している。それゆえ出願人が他の審査主義国において、対応する出願をしており、引用された先行技術による新規性欠如の結果として当該外国出願のクレーム補正が必要になった場合には、かかる新規性欠如を避けるために南アフリカ出願のクレームも補正する必要がある。南アフリカにおける新規性要件を満たすには、発明は当該発明の優先日前の時点における技術水準の一部を構成するか否かで判断され、新規性を判断する目的上、このような技術水準としては、当該発明の優先日の時点で未公開の南アフリカ出願に開示される事項も含まれる。

 

 したがって、ある出願が、特許性を備えた1つ以上のクレームを含む一方、他のクレームは無効になる可能性がある場合には、これらのクレームの削除や補正(可能な場合)、または分割出願を提出することが望ましい。分割出願は、親出願の特許査定より以前に提出しなければならない。南アフリカ出願では通常、方式要件が満たされている場合、出願からおよそ9~12か月ほどで特許査定がおりる。

 

6.まとめ

 南アフリカ特許出願において、自発的補正は、係属中の特許出願または付与された特許に対して行うことができるが、特許の付与後に行われる補正には、より厳しい制限が課せられる。

 南アフリカ特許において、一つの無効クレームはその特許全体を無効にし、補正によって無効理由が解消されるまで権利行使できない。

 第三者は特許存続期間中のあらゆる時点で、特許の取消を特許庁長官に請求することができる。

 南アフリカでは、先行技術調査、実体審査、ならびに付与前異議申立制度はない。したがって方式審査を通過すると、その特許出願は特許査定がおりる。

 

【留意事項】

 南アフリカ特許は特許の存続期間中いつでも補正できるものの、付与後補正は付与前補正より厳しい制限が課せられるので、瑕疵により特許が無効とされないために、また、既に認識している関連先行技術を回避して特許性を担保するため、特許付与前に補正することが望ましい。

■ソース
1978年第57号南アフリカ特許法 第50条,第51条
■本文書の作成者
Adams & Adams (南アフリカ法律事務所)
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2015.12.09
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