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韓国における指定商品役務に関わる留意事項

2016年05月24日

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■概要
(本記事は、2024/3/5に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/38424/

韓国は「標章の登録のための商品およびサービスの国際分類に関するニース協定」を導入し、それに基づき指定商品および指定役務の区分を分類したニース分類の第10版を採用している。商標権の権利範囲は指定された商品や役務の内容によって決まるため、指定商品および指定役務を具体的かつ明確に記載しなければならない。
■詳細及び留意点

【詳細】

 韓国は1998年3月1日から、「標章の登録のための商品およびサービスの国際分類に関するニース協定」(以下、ニース協定)を導入し、それに基づき指定商品および指定役務の区分を分類した、ニース分類の第10版を採用している。商標権の権利範囲は指定された商品や役務の内容によって決まるため、指定商品および指定役務を具体的かつ明確に記載しなければならない。特許庁では、「商品および役務の記述と類区分に関する告示」(以下「商品告示」)に記載されている商品役務記述を活用することを推奨している。また1出願で多区分を指定した出願が可能である。

 

 指定商品および指定役務が明確か否かは、「商品告示」に記載された名称を基準として、「商品告示」に記載された名称以外の商品および役務の場合には、複数の区分に該当しないことが明確なほどに、その商品役務が具体的に記載されていることが要求される。同じニース分類を採用している日本と韓国でも、各商品役務でカバーされる権利範囲が異なることがあるため注意が必要である。例えば、日本では「被服」には帽子が含まれるとみなすが、韓国では「被服」という商品名称自体が「商品告示」に記載されていない。韓国では「衣類」には帽子、靴が含まれないので、日本における「被服」のような権利範囲を希望する場合には、韓国では「衣類、帽子、靴」を指定して出願する必要がある。

 

1.指定商品および指定役務記載時の留意点

 指定商品および指定役務の記載には、商品名ごとにコンマ(,)で仕切る必要がある。また、「他区分に属しない…」、「その他…」、「各種…」のような表現は認められない。「商品告示」に記載されている名称以外には、「…部品」、「…付属品」のような記載方法は認められない。そのため、具体的な部品名および付属品名を記載しなければならない。指定商品および指定役務の名称に他人の登録商標が用いられた場合は、商品や役務の範囲が不明瞭、もしくは指定商品および指定役務の記載が不明瞭とみなされる。例えば、指定商品を「iPhone用コンピュータプログラム」との記載では不明確とされ、「携帯電話用コンピュータプログラム」と記載しなければならない。。

 

2.ニース分類上の類見出し(クラスヘディング)および包括名称

 ニース分類上の類見出し(クラスヘディング)またはニース分類上の具体的な商品リスト(アルファベット順リスト)に記載された商品や役務の韓国語表記に該当する名称であっても、「商品告示」の名称と同一でない場合や、分類される区分が「商品告示」とは相違する他の類に該当する場合には認められない。狭義の包括的名称および広義の包括的名称は商品告示に明記されているもののみが認められる。

 

3.指定商品および指定役務の補正可能範囲

 出願人は願書に記載された指定商品および指定役務を自発補正することができるが、補正を通して指定商品および指定役務を削除または不明瞭とさた記載を具体的記載に補正することは可能でも、出願時の権利範囲を超える指定商品および指定役務を追加することは認められない。商品役務補正に関する要旨変更の判断基準は、願書に記載された指定商品および指定役務を基準とする。ただし、2016年改正審査基準施行後の出願からは、出願時の権利範囲内で指定商品および指定役務を追加する補正は認められることになり、これにより包括的名称はそのまま残しつつ、細分化された名称を追加することが可能になった。例えば、「衣類」を、「衣類、下着、ズボン」へ補正することが可能となった。

 

4.指定商品および指定役務の外国語併記が可能

 指定商品および指定役務は、韓国語表記が原則であり、韓国語表記された指定商品および指定役務の名称を明確にしたり、具体的に説明したりする必要がある場合には、括弧書きで漢字または英語を併記することができる。この場合、審査官は韓国語で表記された商品の名称を基準として権利範囲を解釈する。

 

5.指定商品および指定役務の追加出願が可能

 出願中の商標または登録商標に指定商品および指定役務を追加して登録を受ける、「指定商品および指定役務追加登録出願」が可能であり、追加される商品および役務の範囲には制限がない。これにより出願時に指定商品および指定役務に抜け落ちがあり、登録後に指定商品および指定役務の範囲を拡大する必要性が生じた場合でも、新規出願の必要なしに既存の商標登録と合体させて追加登録を受けることができる。指定商品追加登録出願が登録された場合、新しい登録証は発行されず、原出願又は原登録に合体される。指定商品追加登録の存続期間は、原登録の存続期間と同一であるため、効率的に商標権を管理できるという利点がある。

 

6.出願手数料および登録料

 分類の1区分ごとに出願料62,000ウォン、登録料211, 000ウォンが発生する。「商品告示」に記載された商品名や役務名のみを使用して出願する場合には、出願料が1区分につき6,000ウォン減額される。

 

7.指定商品および指定役務数が20個を超える場合、加算金が発生

 出願、登録、更新時に分類の1区分内の指定商品および指定役務の記載数が20個を超える場合、超過する記載数ごとに2000ウォンの加算金が追加される。補正によって指定商品および指定役務の記載数が増加して20個を超える場合にも同様である。ただしマドリッド出願の場合は加算金はない。

 

8.使用意思確認制度

 指定商品および指定役務の中に出願人に使用の意思がないと疑われるものが含まれている場合や、法令等によって客観的に使用することができないと合理的に疑われる場合、審査官は拒絶理由通知にて確認することができる。出願人が使用することができないと合理的に疑われる例としては、以下が挙げられる。

 

(1)個人が、大規模な資本および施設などにとって必要な商品名や役務名を記載した場合(例:デパート業、大型割引店業、銀行業など)

(2)関連性のない非類似の商品名や役務名を多数記載した場合(関連性のない類似商品群を3個以上指定した場合等)

(3)個人が資格等の必要となる役務に関し、関連性のない役務名2個以上を指定した場合(例:病院業、法務サービス業、建築設計業)

■ソース
・韓国商標法
・韓国商標法施行規則
・商標審査基準
・類似商品・役務審査基準
■本文書の作成者
金・張法律事務所 
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2015.12.28

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