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香港における商号の保護

2016年05月23日

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■概要
(本記事は、2021/7/1に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20356/

香港において、商号は、会社または法人の名称または事業の名称となり得るが、会社登記にて会社の商号は会社登記所に登記され、商業登記にて事業名は税務局に登記される。商号もしくは事業名またはその一部を商標として登録することも可能であるが、香港における商標の登録は、商標条例(第559章)および商標規則(第559章)に従い、香港知的財産局(日本の特許庁に相当する)に対してのみ出願することができる。
■詳細及び留意点

【詳細】

商号は、会社または法人の名称または事業の名称となり得る。会社の商号は会社登記の際に会社登記所に登記され、事業名は商業登記の際に税務局に登記される。外国企業が香港でビジネスを行う場合は、現地法人を設立するか外国企業の香港支店として会社登記所に登録しなければならない。また香港でのすべての事業について、その事業開始日から1カ月以内に商業登記をしなければならない(会社登記と商業登記の申請提出は別々ではなくまとめて行うことが可能である。)

 

商号登記、事業名登記および商標登録は、それぞれ異なる法律および登記および登録制度に準拠しており、異なる政府部門により管理され、異なる目的を果たしている。商号または事業名の登記は、その商号もしくは事業名またはその一部に関して商標権を付与するものではない。商標の排他的使用権を獲得するには、香港知的財産局において、登録対象となる商品または役務に関して当該商標の登録を取得する必要がある。

 

1.会社登記所に対する商号の登記(会社登記)

会社の商号は、会社条例(第622章)に基づき、会社登記所に登記しなければならない。

商号は、英語名、中国語名、または英語名と中国語名により登記することができる。ただし、英語の文字と中国語の文字との組合せによる商号は認められない。商号は、その名称が英語による場合は「Limited」という言葉で終わらなければならず、中国語による場合は「有限公司」という文字で終わらなければならない(会社条例第102条)。

商号は、既存の名称と同一であってはならず、犯罪に当たるもの、侮辱的なもの、または公益に反するものであってはならない(会社条例第100条(1)項)。省庁、政府、委員会、事務局、連盟、評議会、商工会議所、観光協会、信託、管財人などと同じ名称は、登記の前に登記官の事前承認が必要となる(会社条例第100条(2)項)。

会社の設立時における商号の登記申請に対して、会社登記所は、既存の香港の商号と同一であるかどうかを審査するが、その名称が第三者の財産権と抵触するかどうかは審査しない。言い換えると、他者の登録商標または周知商標と極めて類似の名称を用いて、香港に会社を設立できるということである。このような会社は「影の会社(shadow companies)」と呼ばれており、たいていは中華人民共和国に居住する取締役および株主を擁し、その背後には、商取引において潜在的顧客を欺くために、登録商標または多くの場合は周知商標の所有者の代表であるかのように自らを詐称する個人が存在している。

登記官は、当該名称が既存の商号と極めて類似している場合は、登記日から12ヵ月以内に(会社条例第108条(1)項(a)および(b))、また、その名称が誤解を招くものであった場合は登記日から5年以内に(会社条例第108条(1)項(c)および(d))、また、会社条例第100条(2)項(a)もしくは(b)に基づきその名称を登記すべきではなかった場合は登記日から3ヵ月以内に(会社条例第108条(1)項(e))、当該会社に商号の変更を命じることができる。これらの所定の期間は延長することができる。

登記官は、その名称が会社の営業内容に関して誤認を招き、公衆に被害が及ぶ可能性が高い場合、または会社条例第100条(1)項(c)もしくは(d)に基づきその名称を登記すべきではなかった場合には、登記されている期間の長さに関係なく、当該会社に商号の変更を命じることができる(会社条例第109条(1)項)。

商標権者は、自己が香港で取引しているものと同一または類似の商品もしくは役務に関して、商標権者の登録商標と同一または混同を生じるほど類似の商号が別会社によって使用されている場合には、詐称通用を根拠に、または、状況によっては商標権侵害を根拠に民事訴訟を提起することができる。

登記を求める商号が既存企業により既に登記されているかどうかを確認するために、会社登記所電子調査サービスを利用して、商号調査を行うことができる。

 

2.税務局に対する事業名の登記(商業登記)

事業名は、事業の運営に用いられるものであり、個人、パートナーシップまたは香港内外で設立された会社により香港で営まれているあらゆる事業とその事業名は、商業登記条例(第310章)に基づき、税務局に登記しなければならない。

下記の場合には、実際の事業が営まれていない場合でも、商業登記が要求される。

(a)香港で実際の事業が営まれているかどうかに関係なく、会社が香港において事業所を設立した場合。

(b)香港において事業所を設立したかどうかに関係なく、非香港企業が香港において駐在員事務所もしくは連絡事務所を有する、または香港において自己の財産を貸し出している場合。

なお、会社は自己の事業を営むために、複数の異なる事業名を使用および登記することができる。商号と同様に、事業名は英語名、中国語名、または英語名と中国語名により登記することができる。

■ソース
・会社登記所のウェブサイト:
http://www.cr.gov.hk ・会社登記所電子調査サービス:
http://www.icris.cr.gov.hk ・会社条例(第622章):
http://www.legislation.gov.hk/blis_pdf.nsf/6799165D2FEE3FA94825755E0033E532/707C1C4DC6BDF92848257A5500549A21/$FILE/CAP_622_e_b5.pdf ・税務局のウェブサイト:
http://www.ird.gov.hk ・商業登記サービス:
http://www.gov.hk/br ・商業登記条例(第310章):
http://www.legislation.gov.hk/blis_pdf.nsf/6799165D2FEE3FA94825755E0033E532/E2F97C5B03413D68482575EE005BB70D/$FILE/CAP_310_e_b5.pdf ・知識産権署のウェブサイト:
http://www.ipd.gov.hk ・公報:
http://www.ipd.gov.hk/eng/ip_journal.htm ・商標条例(第559章):
http://www.legislation.gov.hk/blis_pdf.nsf/6799165D2FEE3FA94825755E0033E532/C6F50B0575482F10482575EF001AFA8E/$FILE/CAP_559_e_b5.pdf
■本文書の作成者
Emily Yip & Co
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期

2015.12.28

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