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ブルネイにおける特許法の概要および運用実態

2016年05月18日

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■概要
2012年1月1日まで、ブルネイにおける特許実務は「発明法」(第72章)によって規定されていた。「発明法」による旧制度では、イギリス、マレーシアおよびシンガポールで付与された特許がブルネイへ申請されると、ブルネイで「再登録」されていた。この旧制度では、ブルネイ政府による特許出願の実体審査は行われず、イギリス、マレーシアおよびシンガポールの審査結果に基づいて、ブルネイで特許が付与されていた。
2012年1月1日の「2011年特許令および特許規則」の施行により、ブルネイに、独自の特許制度が導入された。また、2011年特許令の施行に続いて、2012年7月に特許協力条約にも加盟し、ブルネイにおける特許付与に新たなルートが提供されることとなった。
以下、現在のブルネイにおける特許制度について説明する。
■詳細及び留意点

【詳細】

1.ブルネイ特許法の基本的内容

1-1.特許要件

 2011年特許令(以下、「ブルネイ特許令」、という)は、発明が特許性を持つための実体的要件を定めている。ブルネイ特許令第13条は、以下の条件を満たす発明は特許性を有すると規定している。

 (a)新規であること。すなわち、技術水準の一部を構成するものであってはならない(ブルネイ特許令第14条(1))。

 (b)進歩性を有すること。すなわち、当該技術の熟練者にとって自明でないこと(ブルネイ特許令第15条)。

 (c)産業上の利用が可能であること。第16条(1)項では、農業を含む全ての種類の産業において発明を実施もしくは使用することが可能である場合、産業上の利用可能性があるとみなす旨を規定している。ただし、外科手術もしくは治療による人体もしくは動物の体の処置方法、または人体もしくは動物の体について実施される診断方法の発明は、産業上の利用が可能であるとはみなされない(ブルネイ特許令第16条(2)項)。

 

1-2.一般的な特許手続

1-2-1.国内特許の出願

 ブルネイの特許制度は「先願主義」を採用している。特許出願に際して、優先権を主張することができる。優先権の主張は、パリ条約締約国もしくは世界貿易機関加盟国でなされた先の出願に基づいて行うことができるが、それら先の出願の出願日から12か月以内にブルネイに出願されなければならない。

 

1-2-2.イギリス、マレーシアもしくはシンガポールの特許に基づく再登録手続

 ブルネイ特許令には、旧制度で認められていたイギリス、マレーシアもしくはシンガポールの特許の再登録に関する経過措置が、規定されている(ブルネイ特許令第115条)。

 

 この経過措置では、2012年1月1日の時点でイギリス、マレーシアもしくはシンガポールで係属中の特許出願について、後にイギリス、マレーシアもしくはシンガポールで特許が登録されたときに、ブルネイに再登録の申請を行うことが認められている。この経過措置では、手続の対象となるイギリス、マレーシアもしくはシンガポールにおける特許の特許証発行日から12か月以内に、ブルネイ知的財産庁に再登録を申請する必要がある。

 

 なお、イギリス、マレーシアもしくはシンガポールにおける特許に基づくブルネイでの再登録手続は、経過規定に基づいて再登録が引き続き認められる案件の数が減少し、最終的には自然消滅することになる。

 

1-3.特許期間

 特許権が付与されると、出願日から20年間、権利が存続する(ブルネイ特許令35条)。ただし、年次更新料を支払うことが条件となる。

 

 年次更新料の支払は、最初の3年間は無料で、出願日から4年目の年が満了した時点から開始され、その後は特許が失効するまで毎年連続して支払われる(特許規則54)。

 

1-4.特許の所有権

 特許および特許出願は特許令に基づき特許権者または出願人の財産とみなされ、特許ならびに特許に関する権利は、譲渡または移転が可能である(ブルネイ特許令第42条)。特許の実施を許諾することもできる。特許の実施許諾は特許令に基づき登録が可能である(ブルネイ特許令第55条)。

 

 特許権者は、特許権の侵害を発見した場合に、救済を求める訴訟を提起することができる(ブルネイ特許令第65条)。この救済には、差止命令、侵害による利益の返還要求および特許権者が被った損害に関する損害賠償請求等が含まれる。

 

1-5.侵害行為

 特許権侵害には、特許権者の同意なしに以下の行為をなすことが含まれる(ブルネイ特許令第64条)。

 (1)発明が製品である場合、当該製品の製造、販売、販売の申し出、使用もしくは輸入を行うか、販売その他の目的で当該製品を保管すること。

 (2)発明が方法である場合、当該方法を使用することが特許権侵害に相当することを知りながら、または合理的な人間にとって前記使用が侵害に相当することが自明な状況において、ブルネイ国内で当該方法を使用し、または使用のために提供すること。

 (3)発明が方法である場合、当該方法により直接に得られた製品の販売、販売の申し出、使用もしくは輸入を行うか、販売その他の目的で当該製品を保管すること。

 

2.ASPECプログラムへの参加

 ブルネイ知的財産庁(BruIPO)は、ASEAN特許審査協力プログラム(「ASPECプログラム」)に参加している。ASPECプログラムは、参加したASEAN加盟国9か国のIP当局の間の特許業務分担プログラムであり、参加国のIP当局の間で審査の結果が共有される。

 

3.統計

 ブルネイ知的財産庁(BruIPO)のウェブサイトでは、2009~2015年のブルネイ特許の出願件数が公開されている。

http://www.bruipo.com.bn/images/pdf/references/statistics/PStatisticJan2016.pdf

 

 2012年には11件であった外国出願人による特許出願件の数が、2015年には101件に増加している。この大幅な数の増加は、PCT出願手続の利用によるものと考えられる。PCT出願により、外国の特許権者がブルネイで特許出願することが以前より容易になった。

 

 一方、国内出願人による特許出願の件数は、2012年から2015年にかけて8~26件で推移している。

■本文書の作成者
Ahmad Isa & Partners (ブルネイ法律事務所)
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2016.2.15
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