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香港における指定商品もしくは指定役務に関わる留意事項

2016年05月06日

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■概要
指定商品もしくは指定役務をどのように記載するかは商標出願願書を作成する上で重要な事項となる。商標出願または商標登録によりカバーされる指定商品または指定役務は、ニース協定に基づく商品および役務の国際分類(ニース分類)に従い分類される。ニース分類のアルファベット順リストに記載された商品および役務の文言に従う必要はないが、留意すべき点がある。
■詳細及び留意点

【詳細】

1. 出願分類

 商標出願または商標登録によりカバーされる指定商品または指定役務は、ニース分類としても知られる、ニース協定に基づく商品および役務の国際分類に従い分類される。

 香港知的財産局商標登録所は、商品および役務の分類に際して、ニース分類の最新版を使用している。本稿の執筆時点において、2015年1月1日に発効した第10-2015版が使用されている。

 ニース分類に記載されていない用語は、その通常および自然の意味に従い認められる(Ofrex [1963] RPC 169-171)。したがって、ニース分類のアルファベット順リストに記載された商品および役務の文言に従う必要はない。商標登録所は、アルファベット順リストに記載されていない商品または役務の分類の判断に際して、ニース分類に定められた注釈(Explanatory Notes)と一般的注釈(General Remarks)に原則として従う。

 商標登録所は、以下のような他国の商標庁により提供される商品および役務の分類に関する情報も参照する。

(a)UK Intellectual Property Office(英国知的財産庁) http://oami.europa.eu/ec2/

(b)IP Australia(オーストラリア知財庁) http://xeno.ipaustralia.gov.au/tmgoods.htm

(c)USPTO(米国特許商標庁) http://tess2.uspto.gov/netahtml/tidm.html

 出願に際し、一区分(一分類)における商品または役務の数に制限はない。一件の商標出願に含められる区分(分類)の数にも制限はない。ただし、オフィシャルフィーは、当該出願において申請された区分(分類)の数に基づき課される。

 

2. 「全ての商品」または「全ての役務」に関する出願

 特定の区分における「全ての商品」または「全ての役務」と記載された出願、あるいは、記述が曖昧でどのような商品または役務を意図しているかがわからない出願は、商品または役務に関する記述が含まれていないとの理由で出願日が付与されず(香港商標条例第38条(2)(c))、不備通知が発行される(香港商標規則第11条(1)(b))。これに対し、2ヶ月以内に適切な商品または役務記述へ補正することによって当該不備が是正された場合にのみ、出願日が付与される(香港商標条例第39条(2))。

 一部の商品または役務について適切に記載されている一方で、「本区分に属するその他すべての商品」や「その他すべての関連する役務」、「関連役務」といった不明確な記述や、意図された商品または役務を判断することができないような曖昧な商品または役務記述を含む出願については出願日が付与されるが、2ヶ月の法定期間内に不適切な用語を削除することが要求される(香港商標規則第7条(2))。

 

3. 広範な用語および類見出し(クラスヘディング)

 商標出願の指定商品における広範な用語の使用に関する制限はないが、広範な用語は明瞭かつ正確でなければならない(香港商標規則第7条(2))。「健康製品」、「顧問サービス」「コンサルタントサービス」、「オンラインサービス」のような用語は、不正確な記述として受理されない。なお、香港知的財産局商標登録所は、ニース分類に記載された類見出しを使用して、商標出願をすることを認めている。

 香港における判例法は、香港の現地裁判所の判決とともに、欧州司法裁判所(ECJ)を含む英国における判決を考慮する。「IP Translator」(英国弁理士会 vs 商標登録局(ECJ事件番号第C-307/10号))事件に関するECJの画期的判決に従い、欧州共同体商標意匠庁(OHIM)が、共同体商標出願および登録についての商品および役務リストにおける類見出しの使用に関する長官通達第2/12号を発行したことが注目に値する。(http://oami.europa.eu/tunnel-web/secure/webdav/guest/document_library/contentPdfs/law_and_practice/communications_president/co2-12_en.pdf) この通達は、商標出願または登録における類見出しの使用が、当該区分におけるすべての商品または役務に対する保護を与えるものではないため、出願人は、すべての商品または役務に対する保護を意図する場合は、その登録出願において商品または役務を全て特定しなければならないことを明確にしている。

 したがって、出願にかかる指定商品または指定役務の作成に際しては、広範な用語または類見出しによってカバーされる場合であっても、出願人にとって重要な具体的商品または役務を含めることが重要である。なお、商標登録されている商品または役務の中に、使用されていない商品または役務がある場合には、第三者からの商標登録の取消請求により、3年間継続して不使用であることを理由として登録を取り消される可能性がある。(香港商標条例第52条(2)(a)および(6))。

 

4. 多区分における類見出しまたは広範な商品または役務に関する出願

 商標出願に、多区分における類見出しまたは多区分における広範な商品または役務が含まれる場合、香港知的財産局商標登録所は、出願人の事業内容が、そうした全般的な商品または役務を対象としたものとは考えられないとの理由で、拒絶することができる。

 このような場合、出願人は、申請された商品または役務に関連した商標の使用意図または現在の使用の正当性を示す証拠を提出することが要求される(香港商標規則第7条(4))。さらに、申請されたすべての商品または役務についてではなく、その一部についてのみしか商標の誠実な使用意図または現在の使用の正当性を示すことができない場合、当該商品または役務に限定しなければ、拒絶理由は解消できない。

 

5. 商標が明らかに記述的であり、誤認を生じるおそれがある場合における指定商品の限定

 商品または役務の特徴(例えば、性質、品質または地理的出所)を明らかに記述し、消費者が誤認を生じるおそれが高い商標は、香港商標条例第11条(4)に基づき拒絶される。

 最も一般的な例は、商品または役務について名声を有する地名、または地理的出所を示すものとして使用されるシンボルを含んだ商標である。このような場合、消費者が誤認を生じるおそれがあるとする拒絶理由を回避するために、指定商品を限定しなければならない。例えば、第33類の「シャンパン(CHAMPAGNE)」という名称を含む商標は、指定商品は「シャンパン」のみに限定されなければならない。

 

6.登録商標である言葉

 指定商品において、登録商標である言葉は使用されてはならず、通常の商業用語に置き換えなければならない。例えば、「カラオケ(Karaoke)」は、「カラオケ装置付音声および映像装置(audio and video apparatus with sing along devices)」に、「ウォークマン(Walkman)」は「携帯用オーディオテーププレーヤーおよびレコーダー(handheld audio tape players/recorders)」に、「ジャグジー(Jacuzzi)」は「渦巻き風呂(whirlpool baths)」にそれぞれ置き換えなければならない。その他、登録商標とこれに対する代替用語案のさらなる例については、以下において確認することができる。

(http://www.ipd.gov.hk/eng/intellectual_property/trademarks/specifications_e.pdf for reference.)

 

7.小売および卸売サービス

 第35類に分類される「小売サービス」は、小売される商品(例:「被服の小売)、または役務の提供方法(例:「グローバルコンピュータネットワークを介して提供される小売サービス」)を述べることにより適切に定義されなければならない。「卸売サービス」についても同様である。

 商標登録所ワークマニュアルは、商品および役務の分類についての登録所実務に関してさらに有用なガイドラインを定めている。

■ソース
・ニース協定に基づく指定商品または役務の国際分類
http://www.wipo.int/classifications/nice/en/ ・裁判判決
http://curia.europa.eu/jcms/upload/docs/application/pdf/2012-06/cp120081en.pdf ・香港商標条例
http://www.legislation.gov.hk/blis_pdf.nsf/6799165D2FEE3FA94825755E0033E532/C6F50B0575482F10482575EF001AFA8E/$FILE/CAP_559_e_b5.pdf ・香港商標規則
http://www.legislation.gov.hk/blis_pdf.nsf/6799165D2FEE3FA94825755E0033E532/A41734F6563C2EA6482575EF001B158A/$FILE/CAP_559A_e_b5.pdf ・香港商標登録所における分類に関する業務マニュアル
http://www.ipd.gov.hk/eng/intellectual_property/trademarks/registry/classification.pdf
■本文書の作成者
Emily Yip & Co
■協力
日本技術貿易株式会社
■本文書の作成時期
2015.12.28
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