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シンガポールにおける証明標章制度
2016年04月11日
■概要
証明標章は、それが付されている商品またはサービスの性質または出所を証明するものである。そのような対象として、地域、場所もしくは原産地、製造もしくは提供の方法もしくは方式、品質保証、商品もしくはサービスの精度、または商品もしくはサービスの定義可能な特性が含まれる。また、組合その他の組織のメンバーによる製造またはサービスの提供が一定の水準であるという証明にもなる。■詳細及び留意点
【詳細】
○証明標章の目的
証明標章の目的は、証明標章を付した商品またはサービスが一定の水準を満たしている、または独自の特性を有しているという保証の役割を果たすことである。製造業者にとっては、自己の製品が許容可能な水準を満たしているという主張を裏づけるものであり、これにより自己の競争力および市場性を向上させることができる。購入者としては、有効な品質管理システムの下で生産され、許容可能な水準の要件を満たすことを第三者により証明された製品を購入することができる。。
○証明標章の特徴
・当該標章が用いられる商品またはサービスの取引に従事していない団体または人により所有される。
・当該標章が用いられる商品またはサービスについて、次の一つ以上の特性を証明する。出所、材料、製造方式、品質、精度または他の特徴(スピードなど)。
・登録官の同意がない限り、譲渡その他の移転は効力を生じない。
○登録基準
・証明標章はまず、商標法の規定に基づき通常の標章と同様に審査される。
・基本的に、通常の標章に対して登録局が適用する基準に従って登録される。
○出願手続
(1)様式TM4を提出する(商標規則の規則62(1))。
(2)様式TM4の提出日から9ヶ月以内に、様式TM10および当該標章の使用条件を定めた規約の写しを提出する(商標規則の規則63)。規約は下記の情報を示すものでなければならない(商標法附則2第6項(2))。
・当該標章の使用を許可された者
・証明すべき特性
・認証機関が当該特性を試験する方法および当該標章の使用を監督する方法
・当該標章の使用に関連して支払うべき料金(ある場合)
・紛争解決手続
(3)商標法附則2第7項(1)(b)に従い出願人が標章が登録される商品またはサービスを証明する能力を有する旨の宣言書を提出する。
○証明標章に関する特別規定(シンガポール商標法附則2パラグラフ3、4、及び5)
シンガポール商標法附則2(第61条)証明標章の一部抜粋
原産地表示
3.(1)商標法第7条(1)(c)にかかわらず、商品またはサービスの原産地を指定するために取引で使用する標識または表示で構成される証明標章は、登録することができる。
(2)ただし、当該標章の所有者は、(特に、地名を使用する権利を有する者による)工業または商業上の事項における誠実な慣行に基づいて標章または表示を使用することを禁じる権利を有さない。
標章所有者の事業の性質
4.証明標章は、その所有者が証明された種類の商品またはサービスの供給に関わる事業を営んでいる場合は、登録されない。
標章は特徴または意味に関して誤認を生じてはならないこと
5.(1)証明標章は,公衆が標章の特徴または意味に関して誤認するおそれのある場合は、特に証明標章以外の何物かとみなされるおそれのある場合は、登録されない。
(2)従って、登録官は登録出願がなされている標章には、証明標章である旨の表示を含むよう要求することができる。
(3)第14条(3)にかかわらず、当該要求を満たすように出願を補正させることができる。
○証明標章と通常の標章の違い
下記の表は、通常の標章と証明標章との主な違いを示している。
証明標章 |
通常の標章 |
取引において商品もしくは役務の地理的原産地を指定するために使用される標識または表示で構成されていてもよい。
(商標法附則2第3項(1)) |
取引において商品もしくは役務の地理的原産地を指定するために使用される標識または表示だけで構成される標章は、登録されない。 (商標法第7条(1)(c)) |
証明標章の所有者は、証明される商品の取引またはサービスの提供に従事してはならない。
(商標法附則2第4項) |
所有者は、登録手続の完了日から5年以内に当該標章を使用しなければならず、使用しない場合、不使用に基づく取消手続のリスクが生じる。 当該標章の使用が連続する5年間にわたり中断されており、不使用の正当な理由がない場合にも、当該標章の登録が取り消される可能性がある。 ただし上記に定められた5年間の満了後に使用が開始または再開された場合、かかる使用が取消請求の提出日より3か月前に行われている限り、商標登録は取り消されない。
(商標法第22条(1)(a)、第22条(1)(b)、第 22条(3)および第22条(4)) |
登録官の同意がない限り、譲渡できない。 (商標法附則2第12項) |
登録官の同意を必要とせずに、譲渡できる。 (商標法第38条) |
標章の登録前に、規約を提出し、登録官の承認を受けなければならない。 (商標法附則2第6項) |
同様の要件はない。 |
■ソース
・シンガポール商標法・シンガポール商標規則
・シンガポール知的財産権庁ウェブサイト(商標とは何か?)
http://www.ipos.gov.sg/AboutIP/TypesofIPWhatisIntellectualProperty/Whatisatrademark.aspx
■本文書の作成者
Drew & Napier LLC■協力
日本技術貿易株式会社■本文書の作成時期
2015.02.03