韓国における特許明細書等の補正ができる時期
韓国においては、特許出願後、特許査定書が送達される前までは、明細書、特許請求の範囲、図面を補正することができる。ただし、拒絶理由通知書を受けた後は、補正をすることができる時期は下記のとおり制限される(特許法第47条第1項)。
(1) 審査請求後、審査が着手され、拒絶理由通知書を受けた場合は、意見書を提出することができる期間内(2か月の指定期間)に補正書を提出することができる(特許法第47条第1項第1号、特許法施行規則(以下「施行規則」という。)第16条第1項)。補正は、願書に最初に添付した明細書または図面に記載された事項の範囲内においてしなければならない(特許法第47条第2項)。
(2) 拒絶理由通知書を受け、意見書と補正書を提出した後、審査官が当該補正書による補正の中に拒絶理由を発見した場合には、最後の拒絶理由通知書を送付する。このときにも意見書を提出することができる期間(2か月の指定期間)内に補正書を提出することができる(特許法第47条第1項第2号、施行規則第16条第1項)。ただし、この場合に特許請求の範囲についてする補正は、請求項の限定または削除等による請求範囲減縮、誤記の訂正、不明確な部分の明確化等のみ可能である(特許法第47条第3項)。
(3) 特許査定の謄本の送達日から設定登録までの期間、または拒絶査定の謄本の送達日から3か月以内に明細書等の補正とともに再審査を請求することができる。なお、再審査請求時には、明細書または図面を補正しなくてはならない(特許法第67条の2第1項)。
(4) 上記(1)、(2)での意見書を提出できる期間は、1か月ずつ4回、最長で4か月まで延長が可能であり(特許・実用新案審査事務取扱規定第23条第3項)、(3)の査定を受けた後の再審査の請求期間は、30日の延長を1回行うことができる(特許法第67条の2第1項、第15条第1項)。ただし、遠隔または交通不便の地域の場合は、追加でさらに30日の延長が可能となる(特許法第15条第1項、施行規則第16条第4条)。また、補正書提出期間も、請求期間が延長された期間だけ延長されるが、再審査請求の場合は、再審査請求期間およびその延長期間が残っていても、補正ができるのは請求時とされているので(特許法第47条第1項第3号)、再審査請求日に補正できる期間は終了する。
(5) 既に再審査による特許可否の決定がある場合は、再審査を請求することができないので(特許法第67条の2第1項第1号)、再度査定を受けた後には明細書等の補正の機会はない。
【留意事項】
(1) 特許出願後(審査請求までの間)に補正が必要であることに気づいた場合、補正すべき事項を見つける度に補正書を提出すれば、そのたびに費用がかかるので、費用節減のためにも、補正すべき事項を別途整理しておいて、審査請求と同時に一度にまとめて補正書を提出することが望ましい。
(2) 意見書提出期間に複数回の補正書を提出する場合、最後の補正前にした全ての補正は、取下げされたものとみなされるので、補正する度に前回の補正までを全て補正しなければならない(特許法第47条第4項)。
インドにおいて特許を受けることができない発明
インド特許法第3条および第4条は、特許を受けることができない発明として、以下を規定する。
1. 取るに足らない発明
取るに足らない発明、または確立された自然法則に明らかに反する事項を発明としてクレームしても特許を受けることができない(特許法第3条(a))。
例えば、次の発明がこれらに該当する(インド特許庁実務及び手続マニュアル(以下「マニュアル」という。)09.03.05.01)。
・永久運動を目的とした機械
・インプットなしにアウトプットするとされる機械
・100%の効率性を提供するとされる機械
2. 公序良俗違反
その主たる用途もしくはその意図された用途または商業的な実施が公序良俗に反し、または人、動物、植物の生命もしくは健康または環境に深刻な悪影響を及ぼす発明をクレームしても、特許を受けることができない(特許法第3条(b))。
例えば、次の発明がこれらに該当する(マニュアル09.03.05.02)。
・窃盗、強盗を行うための装置、器具、機械、または方法
・紙幣を偽造するための装置または方法
・賭博のための装置または方法
・その使用が、人間、動植物に重大な損害を与える可能性のある発明
・その主たる用途もしくはその意図された用途または商業的実施が、人、動物または植物の生命、または健康に害を及ぼすことが認められる発明(例えば、食品の品質低下の方法)
・その主たる用途もしくはその意図された用途または商業的実施が、十分に受け入れられ、定着している社会的、文化的および法的道徳規範に反するおそれがある発明(例えば、人間のクローン作成のための方法)
・その主たる用途もしくはその意図された用途が、公の秩序を乱すものである発明(例えば、家宅侵入のための装置)
しかし、クレームされた発明のその主たる目的もしくはその意図された目的、または商業的実施が、人間、動物もしくは植物の生命、健康、または環境に対して重大な損害を及ぼさない場合には、そのような主題は発明であるとみなされ、特許を受けられる可能性がある。例えば、農薬などがその一例である。
3. 単なる発見
科学的原理の単なる発見、抽象的理論の形成、または現存する生物もしくは非生物的な物質の発見をクレームしても特許を受けることができない。(特許法第3条(c))
ただし、次のように、特許を受けることができる発明とされる場合がある(マニュアル09.03.05.03)。
・科学的原理の発見に関するクレームは発明とみなされないが、このような原理を製造プロセスに利用して、何らかの物質または物品が生じた場合には、そのような原理は発明とみなされる。
・科学理論は自然界に関するものである。これらの理論はそれ自体では、いかに抜本的または革新的な見解を提供したとしても、製品または製造を生ずるものではないことから、発明とはみなされない。しかしながら、理論が、物質または物品の製造の過程において利用可能な実用性を導き出す場合には、特許を受けることができる。
・既知である特定の部材が、機械的衝撃に耐えることができることを見出すことは発見であり、したがって、特許は受けることはできない。しかしながら、その部材から作られた鉄道枕木に関するクレームは、これの例外に反するものではなく、新規性および進歩性が認められた場合には特許が与えられる。同様に、自然界に存在する新しい物質や微生物の単なる発見も、発明ではない(マニュアル09.03.05.03)。
4. 既知の物質についての新たな形態
以下のカテゴリーは特許を受けることができない(特許法第3条(d))。
・既知の物質について何らかの新規な形態の単なる発見であって当該物質の既知の効能の増大にならないもの
・既知の物質の新規な特性または用途の単なる発見
・既知の方法、機械、または装置の単なる用途の単なる発見
また、既知物質の塩、エステル、エーテル、多形体、代謝物質、純形態、粒径、異性体、異性体混合物、錯体、配合物、および他の誘導体は、それらが効能に関する特性上実質的に異ならない限り、同一物質とみなされる(特許法第3条(d)「説明」)
ただし、このような既知の方法によって新規な製品を作り出すことになるか、または少なくとも一つの新規な反応物を使用することになる場合は、特許を受けることができる可能性がある(特許法第3条(d))。
5. 混合
物質成分の諸性質についての集合に過ぎない「単なる」混合によって得られる物質は、特許を受けることができる発明から除外される(特許法第3条(e))。
特徴の単なる集合体は、組み合わせ発明とは区別しなければならない。組み合わせ発明は、各特徴または各特徴の集合体が機能的に相互に高めあう関係にある、または、その個々の技術的効果の総和を上回ることを示すことが求められている。組み合わせ発明の特徴であるように、各特徴は機能的に相互に結合していなければならない。したがって、石鹸、洗剤、潤滑油およびポリマー製品等、相乗効果をもたらす混合は、単なる混合とはみなされず、特許を受けることができるとみなすことができる(マニュアル09.03.05.05)。
6. 再配置
既知の装置の「単なる」配置もしくは再配置または複製であり、これを構成する各装置が既知の方法によって相互に独立して機能するものを発明としてクレームしても特許を受けることができない(特許法第3条(f))。
特許を受けるには、既知のものに対する改良または既知である複数の異なる事項の結合は、単なる現場における改良以上のものでなければならず、個々に、発明または進歩性の要件を満たさなければならない。特許を受けるには、その改良または結合は、新しい結果もしくは新しい物質、または以前より優れているか、もしくは安価にできる物質を生み出さなければならない(マニュアル09.03.05.06)。
7. 農業についての方法
農業または園芸についての方法は、特許を受けることができない(特許法第3条(h))。
例えば、次の発明がこれらに該当する(マニュアル09.03.05.07)。
・例えばグリーンハウスなど、自然現象がその必然的な過程をたどる諸条件の変更を伴う場合を含む、植物の生産方法
・特別なリン酸化合物を含む調合剤を土壌に与えることにより、線虫を含む土壌から改良土を産出する方法
・キノコを生産する方法
・藻類の養殖方法
・雑草を除去する方法
8. 治療的または診断的な方法
人の内科的、外科的、治療的、予防的、診断的、療法的もしくはその他の処置方法、または動物の類似の処置方法であって、動物を疾病から解放し、またはそれらの経済的価値もしくはそれらの製品の経済的価値を増進させるものは、特許を受けることができない(特許法第3条(i))。
例えば、次の方法がこれらに該当する(マニュアル09.03.05.08)。
・内科的方法:薬剤の経口投与、注射投与、局所投与、または皮膚パッチによる投与の方法
・外科的方法:白内障手術における無縫合切開
・治療的方法:歯垢のクリーニング方法
・予防方法:予防接種の方法
・診断的方法:診断は、内科的疾患の種類を特定するもので、通常、病歴および症状の調査、ならびに検査をすることにより行われる。健康診断など、個人の身体的情報に関する判断は診断とされる。
・療法的方法:「療法」という語には、疾病の予防および、処置または治療という意味が含まれる。したがって、療法に関する方法は処置の方法であり、特許性がないとみなされる。
・動物を疾病から解放し、またはそれらの経済的価値もしくはそれらの製品の経済的価値を増進させる方法。例えば、羊の羊毛の生産増大を図る方法および家禽の体重増加を人工的に行う方法。
・本規定により特許される主題から除外されるその他のものには、次のものが挙げられる。外科医の技能および知識を必要とする人体への手術で、美容整形、妊娠中絶、精巣の摘出、避妊手術、人工授精、胚移植、生態ドナーの臓器、皮膚または骨髄に対する試験および研究目的の処置またはその除去、および、人体または動物に対して行われる治療または診断、ならびに、堕胎、分娩の誘導、発情期のコントロール、あるいは月経の調整等の方法を含むもの。
美容目的に過ぎない人体への物質の投与は、治療ではない。
外科的、療法的、または診断的器械または装置については、特許を受けることができる。また、人工器官および義肢の製造ならびにそれらの人体への適用に係る措置については、特許を受けることができる。
9. 植物および動物
植物、動物、種子、変種および種の全部または一部は、特許を受けることができない。これには、植物および動物の生産または繁殖のための純粋な生物学的プロセスが含まれる(特許法第3条(j))。
ただし、自然界から発見されたもの以外の微生物は、特許を受けることができる。例えば、遺伝子操作のされた微生物は、特許に関するその他の要件を満たすことを条件として、特許を受けることができる(マニュアル09.03.05.09)。
10. コンピュータプログラムおよびビジネス方法
数学的もしくは営業の方法、またはコンピュータプログラムそれ自体もしくはアルゴリズムは、特許を受けることができない(特許法第3条(k))。
例えば、次の発明がこれらに該当する(マニュアル09.03.05.10)。
・「数学的方法」とは、知的技能による行為であるとみなされている。計算方法、方程式の公式化、平方根および立方根の解明、ならびにその他の数学的方法を直接伴う方法は、特許されない。コンピュータテクノロジーの発展により、数学的方法は、アルゴリズムおよび多様なアプリケーション用のコンピュータプログラムを書き込むために使用されており、特許されたクレームは、数学的方法それ自体ではなく技術的発展に関連するものとして偽装される場合がある。これらの方法は、いかなる方法によってクレームされようとも、特許性がないとみなされている。
・「ビジネス・モデル」は、いかなる方法によってクレームされようとも、特許されない。「ビジネス・モデル」という語句には、商品または役務の取引に関連した営利事業または企業における活動全般が含まれる。クレームが、直接ビジネス・モデルとしてではなく、一見したところインターネット、ネットワーク、人工衛星および電気通信等の一部の技術的特徴により作成されている場合がある。しかし、本除外規定は、全てのビジネス・モデルに適用されるため、クレームが実質的にビジネス・モデルに関連する場合には、技術の活用がある場合にも、かかるクレームは特許を受けることができる主題とはみなされない。
・次に掲げるすべての形態によるアルゴリズムは、これに限定されることなく特許されない。一連の規則、手続もしくは手順またはその他定式化された命令の制限的リストにより示されるその他の方法で、問題の解決に向けられたものであるかどうかを問わず、また、論理的、算術的または計算的方法を採用しているか、あるいは、反復して利用されるものであるか否かを問わず、特許されることはない。
・コンピュータプログラムそれ自体を対象とする以下の発明は、特許を受けることができない。
a) コンピュータプログラム、命令のセット、ルーチンおよび/またはサブルーチンを対象とするクレーム
b) コンピュータプログラム製品を対象とするクレーム、命令を含む記憶媒体、コンピュータ読み取り可能な媒体に格納された命令を含むデータベースコンピュータメモリ
11. 文学および芸術作品
文学、演劇、音楽もしくは芸術作品、または映画作品およびテレビ制作品を含む他の何らかの審美的創作物は、特許を受けることができない(特許法第3条(l))。
例えば、次の創作物がこれらに該当する(マニュアル09.03.05.11)。
文学作品、音楽、美術品、絵画、彫刻、コンピュータプログラム、電子データベース、書物、パンフレット、講義、演説、説教、演劇および音楽作品、舞踏、映画、図面、建築、版画、石版術、写真、応用美術、イラスト、地図、平面図、スケッチ、地形に係る立体作品、地勢図、翻訳物、翻案は、特許されない。このような創作物は、1957年著作権法によって保護される。
12. 精神的行為をなすための方法、またはゲームをする方法
精神的行為をなすための「単なる」計画もしくは規則もしくは方法、またはゲームをするための方法は、単なる精神的なプロセスの結果であり、特許を受けることができない(特許法第3条(m))。
例えば、次の方法がこれらに該当する(マニュアル09.03.05.12)。
・チェスの遊び方
・教育方法
・勉強方法
13. 情報の提示
情報の提示に関する発明は特許を受けることができない(特許法第3条(n))。
言語、信号、記号、図またはその他の表示方法による視覚、聴覚または理解が可能な情報の表示方法、手段または方式は、特許を受けることができない。例えば、スピーチの印刷原稿において下線で強調部分を示し、縦のラインでスピーチをリズミカルにするといった、スピーチを教示する手段は、特許を受けることができない。また、電車の時刻表や100年カレンダーなども特許されない(マニュアル09.03.05.13)。
14. 集積回路
集積回路の回路配置をクレームする発明は特許を受けることができない(特許法第3条(o))。
例えば、マイクロチップや半導体チップで使用される電子回路の3次元構成は特許を受けることができない。半導体の配置に関しては、2000年半導体集積回路配置法により保護される(マニュアル09.03.05.14)。
15. 伝統的知識
事実上、古来の知識である発明、または古来知られた物質の既知の特性の集合もしくは複製である発明は、すでに存在する知識であるため、特許を受けることができない(特許法第3条(p))。
例えば、創傷治癒のためのターメリックの殺菌性が挙げられる。また、インドゼンダンの農薬および殺虫剤作用も同様である(マニュアル09.03.05.15)。
16. 原子力に関する発明
1962年原子力法(Atomic Energy Act, 1962)第20条(1)に該当する原子力に関する発明には、特許が付与されない(特許法第4条)。1962年原子力法第20条(1)の規定では、「原子力の生産、制御、利用もしくは処分、または指定物質もしくは放射性物質の探査、採鉱、抽出、生産、物理的もしくは化学的処理、加工、濃縮、被覆もしくは利用、または原子力操業の安全性確保のために有用な、またはそれらに関係する発明」に対して、特許の付与を禁止している。発明がこのようなカテゴリーに属するかどうかを判断する権限は、中央政府(インド原子力省、Department of Atomic Energy, Government of India)に与えられている(「インド特許法第4条に関する調査報告書」JETRO 2015年7月)。
日本と中国における特許分割出願に関する時期的要件の比較
1. 日本における特許出願の分割出願に係る時期的要件
日本国特許法第44条は、下記の(1)~(3)のいずれかの時または期間内であれば、2以上の発明を包含する特許出願の一部を1または2以上の新たな特許出願とすること(分割出願すること)ができることを規定している。
(1) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について補正をすることができる時または期間内(第44条第1項第1号)
なお、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面について、補正をすることができる時または期間は、次の(i)~(iv)である。
(i) 出願から特許査定の謄本送達前(拒絶理由通知を最初に受けた後を除く)(第17条の2第1項本文)
(ii) 審査官(審判請求後は審判官も含む。)から拒絶理由通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第1号、第3号)
(iii) 拒絶理由通知を受けた後第48条の7の規定による通知を受けた場合の、指定応答期間内(第17条の2第1項第2号)
(iv) 拒絶査定不服審判請求と同時(第17条の2第1項第4号)
(2) 特許査定(次の(i)および(ii)の特許査定を除く)の謄本送達後30日以内(第44条第1項第2号)
(i) 前置審査における特許査定(第163条第3項において準用する第51条)
(ii) 審決により、さらに審査に付された場合(第160条第1項)における特許査定
なお、特許「審決」後は分割出願することはできない。また、上記特許査定の謄本送達後30日以内であっても、特許権の設定登録後は、分割出願することはできない。また、(2)に規定する30日の期間は、第4条または第108条第3項の規定により第108条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第5項)。
(3) 最初の拒絶査定の謄本送達後3月以内(第44条第1項第3号)
第44条第1項第3号に規定する3か月の期間は、第4条の規定により第121条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間に限り、延長されたものとみなされる(第44条第6項)。
日本国特許法第44条(特許出願の分割) 特許出願人は、次に掲げる場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。 一 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる時又は期間内にするとき。 二 特許をすべき旨の査定(第百六十三条第三項において準用する第五十一条の規定による特許をすべき旨の査定及び第百六十条第一項に規定する審査に付された特許出願についての特許をすべき旨の査定を除く。)の謄本の送達があつた日から三十日以内にするとき。 三 拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月以内にするとき。 (第2項以下省略) |
2. 中国における特許出願の分割出願の時期的要件
(1) 出願人が特許査定通知を受領した日から2か月(すなわち登録手続きの期限)を期限として、出願後この期限までいつでも分割出願をすることができる(専利法実施細則第48条第1項、専利法実施細則第60条第1項)。したがって、予備審査中または実体審査中でも分割出願は可能である。ただし、出願が既に拒絶され、取り下げされた、または取り下げられたものとみなされた場合は、分割出願をすることができない。
(2) 拒絶査定通知を受領した日から3か月以内であれば、復審(日本の拒絶査定不服審判に相当。)請求の有無にかかわらず分割出願を提出することができる(専利審査指南第1部第1章5.1.1.(3))。
(3) 復審請求の提出後の復審係属期間、復審決定の日から3か月以内、および復審決定に対して不服を申し立てる行政訴訟期間でも、出願人は分割出願を提出することができる(専利審査指南第1部第1章5.1.1.(3))。
(4) 既に出願された分割出願(一次分割出願)について、出願人が更に分割出願(二次分割出願)をする場合、二次分割出願は、原出願に基づいて分割出願ができる期間にしなければならない(専利審査指南第1部第1章5.1.1.(3))。
ただし、一次分割出願の単一性の欠陥を審査意見通知書(日本の拒絶理由通知に相当。)で指摘されて分割出願をする場合は(専利審査指南第2部第6章3.1(2))、二次分割出願は、一次分割出願に基づいて分割出願ができる期間にすることができる(専利審査指南第1部第1章5.1.1.(3))。よって、一次分割出願の単一性の欠陥を指摘した審査意見通知書を受領後、一次分割出願について専利権を付与する旨の通知書を受領した日から2か月の期限まで、二次分割出願をすることができる。
専利法実施細則第48条 一つの専利出願に二つ以上の発明、実用新案又は意匠が含まれる場合、出願人は本細則第六十条第一項に規定する期限が満了するまでに、国務院専利行政部門に分割出願を申し出ることができる。ただし、専利出願が既に拒絶され、取り下げられた又はみなし取下げとされた場合、分割出願を申し出ることはできない。 (第2項以下省略) |
専利法実施細則第60条 国務院専利行政部門が専利権を付与する旨の通知を出した後、出願人は通知を受領した日から起算して2か月以内に登録手続を取らなければならない。出願人が期限内に登録手続を取った場合、国務院専利行政部門は専利権を付与し、専利証を交付し、公告しなければならない。 (第2項省略) |
専利審査指南第1部第1章5.1.1.(3) 出願人は、専利局から原出願に対して専利権を付与する旨の通知書を受領した日から2か月の期限(即ち処理手続の期限)までに分割出願を提出しなければならない。前記期限が満了した場合、又は原出願が拒絶された場合、又は原出願が取り下げられた場合、又は原出願が取り下げられたものとみなされかつその権利が回復しなかった場合は、一般的に分割出願を再び提出することができない。 審査官により拒絶査定がなされた原出願に対して、出願人は拒絶査定を受領した日から3か月以内に、復審請求の有無に拘わらず分割出願を提出することができる。復審請求の提出後の復審期間、復審決定の日から3か月以内及び復審決定に対して不服を申し立てる行政訴訟期間でも、出願人は分割出願を提出することができる。 (中略) 提出済みの分割出願について、出願人が当該分割出願に対して更に分割出願を提出する場合、再度提出する分割出願の提出日は、原出願に基づいて確認しなければならない。再分割出願の提出日が上記の規定に合致しない場合、分割出願をすることができない。 ただし、審査官が分割出願に単一性の欠陥が存在することを指摘した分割出願通知書又は審査意見通知書を発行したことにより、出願人が審査官の審査意見に基づいて分割出願を再度提出した場合、分割出願を再度提出した提出日は単一性の欠陥が存在する当該分割出願を基礎として確認しなければならない。 (以下省略) |
日本と中国における特許分割出願に関する時期的要件の比較
日本 | 中国 | |
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分割出願の時期的要件 | 1. 補正ができる期間 2. 特許査定の謄本送達後30日以内 3. 最初の拒絶査定の謄本送達後3か月以内 | 1. 出願後、専利権を付与する旨の通知書を受領した日から2か月の期限まで 2. 拒絶査定を受領した日から3か月以内 3. 復審請求の提出後の復審係属期間、復審決定の日から3か月以内、および復審決定に対して不服を申し立てる行政訴訟期間 |
中国における特許・実用新案の分割出願
1. 分割出願(中国語「分案申请」)の時期についての要件
(条文等根拠:専利法実施細則(以下「実施細則」という。)第48条第1項、専利審査指南(以下「審査指南」という。)第1部第1章5.1.1(3)、第1部第2章10.)
(1) 特許権、実用新案権を付与する旨の通知書を受領した日から2か月(登録手続期間)を期限として、出願後この期限まで、出願人はいつでも分割出願をすることができる。したがって、審査中でも分割出願は可能である。ただし、出願が既に拒絶され、取り下げされた、または取り下げられたものとみなされた場合は、分割出願をすることができない。
(2) 拒絶査定を受けた出願については、不服審判請求の有無を問わず、拒絶査定の通知書を受領してから3か月以内であれば、分割出願を行うことができる。また、不服審判の係属中、審決日から3か月以内、および不服審判の審決に対する審決取消訴訟係属中においても、分割出願を行うことができる。
(3) 既に出願された分割出願(一次分割出願)について、出願人が更に分割出願(二次分割出願)する場合、二次分割出願は、原出願に基づいて分割出願ができる期間にしなければならない(審査指南第1部分第1章5.1.1.(3))。
ただし、一次分割出願の単一性の欠陥を審査意見通知書(日本の拒絶理由通知に相当。)で指摘されて分割出願をする場合は(審査指南第2部第6章3.1(2))、二次分割出願は、一次分割出願に基づいて分割出願ができる期間にすることができる(審査指南第1部分第1章5.1.1.(3))。よって、一次分割出願の単一性の欠陥を指摘した審査意見通知書を受領後、一次分割出願について専利権を付与する旨の通知書を受領した日から2か月の期限まで、二次分割出願をすることができる。
2. 分割出願の内容についての要件
(条文等根拠:実施細則第48条、第49条、審査指南第1部第1章5.1.1)
2-1. 必要な書類
(1) 分割出願の願書、特許請求の範囲、明細書、図面、要約など。分割出願は、「専利法および実施細則の規定に基づいて関係手続を取らなければならない」とされているので、通常の特許・実用新案出願に必要な書類を提出しなければならない。
(2) 従前は、分割出願の際に、原出願書類の謄本、原出願の優先権書類の謄本等を提出しなければならないとされていたが、2023年の実施細則の改正によりこれらの要件が削除された(実施細則第49条第3項)。
したがって、優先権出願書類の謄本、生物材料寄託証明書および生存証明書など、原出願で既に提出された分割出願に関連する各種の証明書類は、既に提出されたものとみなされる。
2-2. 記載事項
分割出願は原出願に基づき行わなければならない。すなわち、原出願に記載された範囲を超えてはならない。
(1) 分割出願は、原出願の種別(特許/実用新案)を変更してはならない。
(2) 分割出願の願書には、原出願の出願番号と出願日を記載しなければならない。
(3) 二次分割出願を提出する場合は、一次分割出願の出願番号も記載しなければならない。
(4) 分割出願の出願人は、原出願を提出した際の原出願の出願人と同一でなければならない。また、一次分割出願に対して二次分割出願を提出する出願人は、一次分割出願の出願人と同一でなければならない。
(5) 分割出願の発明者は、原出願の発明者、またはそのメンバーの一部でなければならない。また、一次分割出願に対して提出する二次分割出願の発明者は、一次分割出願の発明者、またはそのメンバーの一部でなければならない。
3. 分割出願の効果
(条文等根拠:実施細則第49条)
分割出願は、原出願の出願日を維持し、優先権を有するものについては、優先日を維持することができる。
4. 分割出願の審査
(条文等根拠:実施細則第48条、第49条、審査指南第1部第1章5.1.1、第2部第6章3.)
4-1. 初歩審査
審査官は、分割出願について、主に上記「2. 分割出願の内容についての要件」に記載した事項に関し、法令に従って出願書類およびその他の書類を審査する他にも、特に、原出願に基づいて下記の内容を確認する。
(1) 願書に記載された原出願の出願日
原出願の出願日の記載に誤りがあった場合、審査官は補正通知書を発行し、出願人に補正するよう通知する。期間内に補正しなかった場合、審査官は分割出願を取り下げられたものとみなす通知書を発行する。補正が規定に適合する場合、審査官は出願日再確定通知書を発行する。
(2) 願書に記載された原出願の出願番号
原出願の出願番号が正確に記載されていない場合、審査官は補正通知書を発行し、出願人に補正するよう通知する。期間内に補正しなかった場合、審査官は分割出願が取り下げられたものとみなす通知書を発行する。
(3) 分割出願の提出日
初歩審査において、分割出願の提出日が上記「1. 分割出願(中国語「分案申请」)の時期についての要件」を満たさない場合、審査官は分割出願が行われていないものとみなす通知書を発行し、終了処理をする。
(4) 分割出願の出願人と発明者
分割出願の出願人が、上記「2-2. 記載事項(4)」の要件を満たしていない場合、審査官は分割出願が行われていないものとみなす通知書を発行する。
分割出願の発明者が、上記「2-2. 記載事項(5)」の要件を満たしていない場合、審査官は補正通知書を発行し、出願人に補正するよう通知する。期限内に補正が行われない場合、審査官は分割出願を取下げたものとみなす通知書を発行する。
4-2. 実体審査
特許(発明専利)に関する分割出願については、実体審査が行われる(専利法第39条)。
分割の適否に関する審査は、実施細則第48条および第49条に規定される下記(1)、(2)について行わなければならない。また、それ以外の審査は、一般の出願審査と同じである。
(1) 分割出願の内容が、原出願の記載範囲を超えているときは、審査官は出願人に補正するよう要求する。出願人が補正を行わない場合、または補正した内容が原出願の明細書と請求の範囲の記載範囲を超えている場合は、審査官はその分割出願を拒絶することができる。
(2) 1つの特許出願が、単一性の要件を満たしていない場合、審査官は、出願人に出願書類を補正(分割出願を含む)することで、単一性の要件に適合させるように要求する。
例えば、当初に提出した請求の範囲に、一体的な発明の概念に属さない2つ以上の発明が含まれている場合、出願人に当該請求の範囲をその中の1つの発明、または一体的な発明の概念に属する2つ以上の発明に制限するよう要求しなければならず、残りの発明について、出願人は分割出願を行うことができる※。
※ 出願の単一性違反に関する審査およびその対応についてではあるが、分割出願について規定する実施細則第48条第2項、および審査指南第2部第6章3.1(2)にこの記述があるので「実体審査」の項目で解説した。
5. 分割出願の期限と費用
(条文等根拠:審査指南第1部第1章5.1.2)
(1) 分割出願に適用する各種の法定期限、例えば、実体審査請求を提出する期限は、原出願日から起算しなければならない。既に満了した期限については、出願人は、分割出願の提出日から2か月以内、または受理通知書の受領日から15日以内に、各種の手続を補足することができる。
(2) 分割出願に対しては、新規出願とみなして、各種の費用を納付しなければならない。既に納付期限が満了した各種費用について、出願人は分割出願の提出日から2か月以内、または受理通知書の受取日から15日以内に、納付することができる。
6. 留意事項
「分割出願は原出願に記載された範囲を超えてはならない(実施細則第49条第1項)」との基準は、日本と同じく、新規事項の判断と同様に行なわれている。しかし、中国の審査実務において、新規事項に該当するかどうかの判断は、日本と比較して厳しい。たとえば、原出願の明細書に記載された実施例を概念化するようなクレーム(具体例+自明事項)を新たに分割出願として出願することは難しい。中国の実務上、原出願で削除されたクレームを分割出願として出願することが多く、その意味では、原出願の出願時に必要と思われる概念をできるだけクレームしておくべきであろう。
韓国の判例の調べ方
(1) 総合法律情報のウェブサイト(https://glaw.scourt.go.kr/wsjo/intesrch/sjo022.do)にアクセスする。総合法律情報のウェブサイトを開くと、下記のトップ画面(図1)が表示される。
(2) 次に、トップ画面(図1)の上部にある「검색(検索)」ボックス(図2)に、キーワード、事件名、法令名、条文番号、事件番号、当事者名等を数字または韓国語で入力し、検索ボックスの上の左から2番目のチェックボックス「판례(判例)」にチェックを入れて右側の「검색(検索)」ボタンをクリックする。(初期画面では「☑전체(全体)」が選択されている。)
なお、チェックボックス欄は左から順に、「검색대상(検索対象)」、「전체(全体)」、「판례(判例)」、「법령(法令)」、「조약(条約)」、「문헌(文献)」、「규칙/예규/선례(規則/例規/先例)」となっているので、判例以外について絞り込み検索をすることも可能である。
また、この画面で、総合検索以外の検索も可能である。トップ画面(図1)最上部(図3.)の「통합검색(統合検索)」、「판례(判例)」、「법령(法令)」、「조약(条約)」、「문헌(文献)」、「규칙/예규/선례(規則/例規/先例)」のうち、左から2番目の「판례(判例)」にマウスポインタを合わせると、下方に「단순검색(単純検索)」、「상세검색(詳細検索)」、「디렉토리검색(ディレクトリ検索)」が表示される。
(3) まず、「단순검색(単純検索)」から説明する。図3の「단순검색(単純検索)」をクリックして、検索ボックスにキーワード等を入力してから、「검색(検索)」ボタンをクリックすると、該当する判例を見ることができる。例えば、「大法院2007年10月11日付言渡2007フ1422拒絶決定(特)」の原文詳細を確認したい場合、事件番号部分を韓国語に翻訳し、「2007후1442」と入力して検索ボタンをクリックすると、下記の検索結果が表示され(図4)、表示されている番号をクリックすると判決全文を見ることができる(図5)※1。
※1 使用しているブラウザによっては、新しいタブで判決全文画面(図5)が自動的に開くことがある。
なお、韓国総合法律情報ウェブサイト検索結果の判決全文は、印刷および保存することができ、判決全文を印刷する場合は、以下の要領で行う。
まず、図5の画面右上にある「본문출력(本文出力)」(図6)をクリックすると、印刷範囲を指定するウィンドウ(図7)が表示されるので、「본문(本文)」(すべて印刷の場合)、「일부출력(一部出力)」(部分的に印刷したい場合)、「판시사항(判示事項)」、「판결요지(判決要旨)」、「참조조문(参照条文)」、「참조판례(参照判例)」、「전문(全文)」、「관련자료(関係資料)」、「옵션(オプション)」の「□큰글씨출력(大きい文字で出力)」を適宜チェックして、その下の「출력하기(出力する)」をクリックし、必要な範囲を印刷する。
また、判決全文の保存をしたい場合は、以下の要領で行う。
まず、図5の画面右上の「본문저장(本文保存)」(図6)をクリックすると、ファイル形式の選択および保存範囲を指定するウィンドウ(図8)が表示されるので、「파일형식(ファイル形式)」でPDFを選択し※2、下にある「저장(保存)」をクリックすることで、必要な範囲をPDFファイルとして保存することができる。
※2 図8.の「HWP」とは、韓国の代表的なワープロソフトのドキュメントファイルである。
(4) 次に、「상세검색(詳細検索)」について説明する。
図3で表示された「상세검색(詳細検索)」をクリックすると、下記の図9が表示されるので、各々の検索ボックスにキーワードを入力したり、チェックボックスに✔(チェック)を入れたりして、検索することができる。
(5) 最後に、「디렉토리검색(ディレクトリ検索)」を説明する。図3で表示された「디렉토리검색(ディレクトリ検索)」をクリックすると、下記の図10が表示される。ここでは判例を法条文別または法律名別に検索することができる。
左段の該当する分野別ディレクトリ(図10の青枠内)で希望の項目を選択すると、結果が表示される。例えば、図11のように法分野別ディレクトリで「제30편 공업소유권(第30編 工業所有権)」を選択するとその下に、「제1장 행정조직·통칙(第1章 行政組織・通則)」、「제2장 특허·실용신안(第2章 特許・実用新案)」、「제3장 의장·상표(第3章 意匠・商標)」の項目が表示され、関連する判例等を法条文別または法律名別で検索することができる。
さらに、図11の検索結果の中から希望の法律名等を選択すると別ウィンドウが開くので、左段から希望の項目を選択すると、図12のように判例リストが表示される。
判例リストの中から表示されている件名(図12の黄色枠)をクリックすると、図5のような判決全文を確認することができる。
日本とインドにおける特許審査請求期限の比較
1. 日本における審査請求期限
1-1. 審査請求
日本において特許出願の審査を受けるためには、出願審査の請求を行う必要がある。出願審査の請求は、出願日から3年以内に行うことができ(日本特許法(以下「特許法」という。)第48条の3第1項)、この期限内に出願審査の請求がされない場合は、その特許出願は取下げられたものとみなされる(特許法 第48条の3第4項)。ただし、所定の期間内に出願審査の請求がなされなかったことにより特許出願が取り下げられたものとみなされた場合であっても、その期間を徒過したことについて「故意によるものでない」ときは、出願審査の請求をすることができるようになった日から2か月以内であって、期間経過後1年以内に限り、出願審査の請求を行うことができる(特許法 第48条の3第5項)。
出願が、国内優先権の主張を伴う場合や、パリ条約による優先権の主張を伴う場合においても、請求期間の起算日は、優先日(先の出願の出願日)ではなく、優先権主張を伴う出願(後の出願)の実際の出願日である(工業所有権法逐条解説 特許法 第48条の3趣旨)。
PCTルートの場合は、国内書面を提出し、手数料の納付を行った後(外国語特許出願である場合はさらに翻訳文を提出した後)でなければ、出願審査の請求をすることができない(特許法 第184条の17)。この場合、国際出願は国際出願日に出願された特許出願とみなされるので(特許法 第184条の3第1項)、審査請求期限は国際出願日から3年である。
また、特許出願の分割に係る新たな特許出願、意匠登録出願または実用新案登録出願の変更に係る特許出願、実用新案登録に基づく特許出願については、原出願から3年の期間経過後であっても、分割または変更による特許出願の日から30日以内に限り、出願審査の請求をすることができる(特許法第48条の3第2項)。
なお、出願審査の請求は、出願人だけでなく、第三者も行うことができる(特許法第48条の3第1項)。
日本特許法 第48条の2 特許出願の審査 特許出願の審査は、その特許出願についての出願審査の請求をまつて行なう。 |
日本特許法 第48条の3 出願審査の請求 特許出願があつたときは、何人も、その日から三年以内に、特許庁長官にその特許出願について出願審査の請求をすることができる。 (第2項から第3項省略) 4 第一項の規定により出願審査の請求をすることができる期間内に出願審査の請求がなかつたときは、この特許出願は、取り下げたものとみなす。 5 前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、出願審査の請求をすることができる。ただし、故意に、第一項に規定する期間内にその特許出願について出願審査の請求をしなかつたと認められる場合は、この限りでない。 (第6項以降省略) |
1-2. 優先審査
出願公開後に特許出願人でない者が業として特許出願の発明を実施している場合には、出願人または特許出願の発明を実施している者は、優先審査を受けるために、優先審査の事情説明書を提出することができる(特許法 第48条の6)。特許庁長官が必要と認める場合には、その出願は、他の出願に優先して審査を受けることができる。
事情説明書には、特許出願の発明の実施状況等を記載し、根拠となる書類または物件を添付することができる(日本特許法施行規則 第31条の3)。
1-3.早期審査
出願人は、早期審査の申請により、一定の要件の下で通常に比べて早期に特許出願の審査を受けることができる(特許出願の早期審査・早期審理ガイドライン)。これは法定されている優先審査とは異なり特許庁における運用であり、以下の要件を満たす出願が対象とされる。
(1) 出願審査の請求がなされていること
(2) 以下のいずれか1つの条件を満たしていること
・中小企業、個人、大学、公的研究機関等の出願
・外国関連出願
・実施関連出願
・グリーン関連出願
・震災復興支援関連出願
・アジア拠点化推進法関連出願
(3) 特許法第42条第1項の規定により取下げとならないものであること
(4) 代理人が弁理士、弁護士または法定代理人のいずれかに該当すること
2. インドにおける審査請求
2-1. 審査請求
インドにおいて特許出願の実体審査を受けるためには、実体審査請求を行う必要がある(インド特許法 第11B条(1))。
実体審査請求は、出願日から、または優先権主張を伴う出願は原出願の優先日から31か月以内に行うことができる(インド特許規則 24B(1)(i))。従来、審査請求期間は、出願日または優先日から48か月以内とされていたが、2024年3月15日施行のインド特許規則の改正によって短縮された。
期限内に実体審査請求がされない場合は、その特許出願は取り下げられたものとみなされる(インド特許法 第11B条(4))。
なお、インドにおいて実体審査請求を行うことができるのは、出願人または利害関係人である(インド特許法 第11B条(1))。
インド特許法 第11B条 審査請求 (1) 如何なる特許出願についても、出願人または他の利害関係人が所定の期間内に所定の方法により審査請求をしない限り、審査しないものとする。 ((2) 以下省略) |
インド特許規則 24B(1)(i) 出願の審査 第11B条に基づく審査請求は、様式18により、出願の優先日又は出願日の何れか先の日から31月以内にしなければならない。 ((1)(ii)以下省略) |
2-2. 早期審査請求
インドにおいて出願人は、下記のいずれかの理由に基づき、所定の手数料を添えて早期審査の請求をすることができる。早期審査の請求は、電子送信によって行わなければならない(インド特許規則 24C(1)))。
(1) 出願に関する理由
・国際出願であって、インドが管轄国際調査機関として指定されているか、または国際予備審査機関として選択されている。
・中央政府の各省庁の長からの要請に基づいて、中央政府が通知した分野に関連する出願である。
(2) 出願人に関する理由
・スタートアップ企業である。
・小規模事業体である。
・自然人であり、かつ女性である。出願人が複数の場合は、全てが自然人であり、かつ少なくとも一人が女性である。
・政府の各省庁である。
・政府により所有または管理されている、国法、地域法または州法により設立された機関である。
・2013年会社法(18 of 2013)第2節の条項(45)に定義される国有会社である。
・政府によって全額または実質的に資金提供されている機関である。
・出願人がインド特許庁と外国特許庁との間の協定に従って特許出願を処理するための取決めに基づく資格を有する。
◆日本とインドの特許審査請求期限を比較すると、以下のようになる。
日本 | インド | |
---|---|---|
提出期間 | 3年 | 31か月 |
基準日 | ・優先権主張の有無に関わらず日本の出願日 | ・インドの出願日 ・優先権が主張されている場合は優先日 |
中国における特許出願の新規性喪失の例外について
1. 新規性喪失の例外適用の猶予期間および適用対象
出願日(優先権主張の場合、優先日を指す。)から遡って6か月以内の下記行為の何れかに該当する場合には、新規性を喪失しないとされる(中国専利法(以下「専利法」という。)第24条、専利法実施細則(以下「実施細則」という。)第33条)。
(1) 国家において緊急事態または非常事態が発生し、公共の利益のために初めて公開した場合。
(2) 中国政府が主催または認める国際展覧会で初めて展示された場合。
(3) 規定の学術会議、または技術会議上で初めて発表された場合。
(4) 他人が出願人の同意を得ずに、その内容を漏洩した場合。
上記(2)に定める、中国政府が主催する国際展覧会とは、国務院・各部委員会が主催するか、または国務院が許可し、その他の機構もしくは地方政府が開催する国際展覧会も含む(中国専利審査指南(以下「審査指南」という。)第1部第1章6.3.2)。また、中国政府が認める国際展覧会とは、国際博覧会条約に定められた、博覧会国際事務局に登録された、またはそれに認められた国際展覧会を指す(実施細則第33条第1項)。国際展覧会とは、出展される展示品が、主催国の製品以外に、外国からの展示品もなければならない(審査指南第1章第1部6.3.2)。
上記(3)に定める、規定の学術会議または技術会議とは、国務院の関連主管部門または全国的な学術団体組織が開催する学術会議または技術会議、および国務院関連主管部門が認可した国際組織によって開催される学術会議または技術会議を指す(実施細則第33条第2項)※1。省以下もしくは国務院の各部委員会または全国的な学術団体から委任を受けて、もしくはその名義により開催する学術会議または技術会議は含まれない(審査指南第1章第1部6.3.3)。
※1 実施細則第33条第2項後段の、「国務院関連主管部門が認可した国際組織によって開催される学術会議又は技術会議」は、2023年の実施細則の改正によって追加されたもので、これにより学術会議または技術会議の範囲が拡張された。
2. 関連手続
2-1. 国家に緊急事態または非常状況が発生した時に、公共利益を目的として初めて公開された場合
出願する発明について、出願日の6か月前までに、国家に緊急事態または非常状況が発生した時に、公共利益を目的として初めて公開されたことを、出願人が出願日よりも前に知っていれば、出願時に願書で声明を行い、出願日から2か月以内に証明資料を提出しなければならない。出願人が出願日以降に状況を自ら知った場合、状況を知ってから2か月以内に新規性喪失の例外に関する猶予期間を要求する声明を提出し、かつ証明資料を付さなければならない(審査指南第1部第1章6.3.1)。
国家に緊急事態または非常状況が発生した時に、公共利益を目的として公開される証明資料は、省級以上の人民政府の関連部門が発行しなければならない。また、証明資料中に、公共利益を目的として公開する事由、日付および当該発明の公開の日付、形式および内容を明記し、かつ公印を押捺しなければならない(審査指南第1部第1章6.3.1)。
国家に緊急事態または非常状況が発生した時に、公共利益を目的として初めて公開される発明は、他者が知ってからそれを再度公開した場合、専利法第24条第1項第1号に記載の状況とみなされる(審査指南第2部第3章5.)※2。
※2 この規定は、2023年の審査指南の改正によって追加された。インターネットおよび情報技術の発展に伴い、他者が発明の内容を知った後に再び公開される可能性が大幅に増加したことに対応し、再度の公開が新規性喪失例外の猶予期間を獲得できるか否かを明確にしたものである。
2-2. 中国政府が主催したまたは認める国際展覧会における初めての展示、または規定の学術会議または技術会議での初めての発表の場合
出願される発明について、新規性喪失の例外を受けたい場合は、出願人は、出願時にその旨を声明し、かつ出願日から2か月以内に、発明が既に展示されたまたは発表された事実、および展示または発表の期日を証明する証明資料を提出しなければならない(実施細則第33条第3項、審査指南第1部第1章6.3.2、6.3.3)。
国際展覧会の証明資料は、展覧会の主催機関または展覧会組織委員会が発行するものでなければならず(審査指南第1部第1章6.3.2)、また学術会議および技術会議の証明資料は、国務院の関連主管部門または会議を組織する全国的な学術団体が発行するものでなければならない(審査指南第1部第1章6.3.3) ※3。
※3 2023年の実施細則の改正によって、第33条第3項では旧第30条における「国際博覧会または学術会議、技術会議の主催者が発行した」という証明資料についての要件が削除されたが、審査指南第1部第1章6.3.2、6.3.3において発行者が特定されているので注意が必要である。
2-3. 他人が出願人の同意を得ずに、その内容を漏洩した場合
出願する発明について、出願日以前の6か月以内に、第三者が出願人の同意を得ずにその内容を漏らし、それを出願日前に出願人が知っていた場合で新規性喪失の例外適用を望む場合は、出願人は専利出願時に願書で声明し、出願日から2か月以内に証明資料を提出しなければならない。出願人が、第三者による漏洩の事実を出願日以降に知った場合は、事情を知ってから2か月以内に、新規性を喪失しない猶予期間を要求する声明を提出し、証明資料を添付しなければならない(審査指南第1部第1章6.3.4)。
審査官は、必要であると判断した場合に、指定する期間内に証明資料を提出するよう、出願人に要求することができる(審査指南第1部第1章6.3.4)。
出願人が専利局からの通知書を受け取って状況を知った場合、通知書で指定された応答期限内に、新規性喪失の例外に関する猶予期間の適用を受ける旨の意見書を提出し、かつ証明書類を付さなければならない(審査指南第1部第1章6.3.4)※4。
※4 この規定は、2023年の審査指南の改正によって追加された。新規性喪失の例外適用を受けることができる時期が増え、出願人の合法的な権益をよりよく保護するための改正である。
他者が出願人の同意なく発明の内容を漏洩し、第三者が当該方式で公開された発明を知ってからそれを再度公開した場合、専利法第24条第1項第4号に記載の状況とみなされる(審査指南第2部第3章5.)※5。
※5 この規定は、2023年の審査指南の改正によって追加された。インターネットおよび情報技術の発展に伴い、他者が発明の内容を知った後に再び公開される可能性が大幅に増加したことに対応し、再度の公開が新規性喪失例外の猶予期間を獲得できるか否かを明確にしたものである。
3. 留意事項
中国では、新規性喪失の例外に該当するケースは、日本と比べてかなり制限されている。日本出願を基礎とする優先権主張を伴って中国へ出願する場合、日本法では新規性喪失の例外に該当するにしても、必ずしも中国法で新規性喪失の例外に該当するとは限らない。中国で出願することを考えているが、出願前にどうしても発表等しなくてはならない事情がある場合は、そのような発表が中国において新規性喪失の例外に該当するか否かについて、まず、現地代理人等に確かめた方が良いと考えられる。しかし、中国では新規性喪失の例外に該当する学術会議または技術会議のリストが公表されていないため、現地代理人に確かめても、結論が出ない場合がある。このような状況に鑑み、将来中国出願の予定のある発明については、できるだけ新規性喪失の例外適用を考えず、開示は極力控えるべきである。
メキシコにおける特許・意匠・商標公報のアクセス方法
1. 特許、実用新案、意匠公報検索
(1) メキシコ産業財産庁(IMPI)が提供する産業財産権情報システム(SIGA(https://siga.impi.gob.mx/))へアクセスし、表示された画面(トップページ)(図1)の下方の赤枠の「Ejemplares(公報)」をクリックする(図1)。
(2) 公報検索画面が表示される(図2)。
(i) 赤枠の「Área(分野)」をクリックすると表示されるプルダウンメニューの、「Patentes」を選択する。なお、「Patentes」には特許、実用新案、意匠公報が含まれている。
(ii) 青枠の「Fecha de Puesta en Circulación(公報発行日)」のカレンダーマークをクリックし、期間を指定する。
(iii) 緑枠の「Gacetas(公報)」をクリックすると、プルダウンメニューが表示されるので、検索したい公報の種類によって適切なメニューを選択する。
・公開公報を検索する場合:「Solicitudes de Patente, de Registros de Modelo de Utilidad y de Diseños Industriales(特許、実用新案登録および工業意匠出願)」を選択。以降、「1-1 公開公報検索」に続く。
・登録公報を検索する場合:「Patentes, Registros de Modelos de Utilidad y de Diseños Industriales(特許、実用新案登録、意匠登録)」を選択。以降、「1-2 登録公報検索」に続く。
1-1. 公開公報検索
(1) 図3のように検索条件を設定し、「Buscar(検索)」をクリックすると、画面下方に公報がリストとして表示される(図4)。期間を指定しない場合は、直近の10か月分の公報のリストが表示される。「Limpiar(消去)」をクリックすると入力した条件が消去される。
(2) 図4の赤枠の「Ver」をクリックすると、HTML形式の公報が表示される(図5)。図5は、2024年7月5日に掲載された公報を選択した例である。
(3) 図5の赤枠の「Buscardor(検索用語)」に、調べたい用語、例えば出願番号を入力すると、該当する箇所に黄色ハイライトが表示される(図6)。
図5の画面から特許、実用新案および意匠の出願公開公報を確認することができる。図5の左青枠内に示される「Secciones(区分)」のいずれかを選択すると、区分ごとに表示することができる。初期設定では、「Solicitudes de Patent(特許出願)」が選択されている。なお、選択した区分に該当する件数が多い場合は、案件表示に時間がかかることもある。
選択できる区分は、以下のとおり。
・Solicitudes de Patent(特許出願)
・Solicitudes de Patente conforme al Tratado de Cooperación en Materia de Patentes(特許協力条約に基づく特許出願)
・Solicitudes de Patente publicadas anticipadamente(早期公開された特許出願)
・Solicitudes Divisionales de Patente(分割特許出願)
・Fe de Erratas de Solicitudes de Patente conforme al Tratado de Cooperación en Materia de Patentes(特許協力条約に基づく特許出願の正誤表)
・Solicitudes de Registro de Modelo de Utilidad(実用新案登録出願)
・Solicitudes de Registro de Modelo de Utilidad conforme al Tratado de Cooperación en Materia de Patentes(特許協力条約に基づく実用新案登録出願)
・Solicitudes Divisionales de Registro de Modelo de Utilidad(実用新案登録の分割出願)
・Solicitudes de Registro de Diseño Industrial(工業意匠登録出願)
・Solicitudes de Registro de Diseño Industrial Divisionales(工業意匠登録の分割出願)
・Solicitudes de Registro de Diseño Industrial conforme al Sistema de la Haya(ハーグ制度に基づく工業意匠登録出願)
・Solicitudes Divisionales de Registro de Diseño Industrial conforme al Sistema de la Haya(ハーグ制度に基づく工業意匠登録の分割出願)
なお、意匠出願の書誌事項画面にはURLが記載されている。図6-2の赤枠で示すURLをクリックすると、後述の図9の画面が表示され出願書類を確認することができる。
(4) 図6-1の赤枠の「Extracto de Gaceta(公報抜粋)」をクリックすると、図7のように該当する公報の表紙ページが表示される。
図6-1の青枠の「Expediente de Electrónico(電子ファイル)」をクリックすると、図8のように経過情報一覧が表示される。
図6-1の緑枠の「Ver Solicitud(出願書類閲覧)」をクリックすると、図9のように出願時の明細書等の出願書類を閲覧することができる。
1-2. 登録公報検索
(1) 前掲の図2の公報検索画面において、登録公報を検索すべく検索条件を設定し、検索する。図10は、赤枠の「Área(分野)」を「Patentes(特許)」、緑枠の「Gacetas(公報)」を「Patentes, Registros de Modelos de Utilidad y de Diseños Industriales(特許、実用新案登録、意匠登録)」として条件設定し、オレンジ枠の「Buscar(検索)」をクリックし、検索結果を表示した画面である。なお、案件表示に時間がかかる場合がある。
(2) 図10のピンク枠の「Ver」をクリックすると、HTML形式の公報が表示される(図11)。図11は、2024年7月9日に掲載された公報を選択した例である。登録日は図11の赤枠で示す「[45] Fecha de concesión」の項目から確認することができる。
表示される登録公報には、特許、実用新案および意匠が含まれている。図11の青枠で示す「Secciones(区分)」のいずれかを選択すると、区分ごとに表示することができる。初期設定では「Patentes(特許)」が選択されている。なお、選択した区分に該当する件数が多い場合は、案件表示に時間がかかることもある。
選択できる区分は、以下のとおり。
・Patentes(特許)
・Registros de Modelos de Utilidad(実用新案登録)
・Registros de Diseños Industriales: Modelos y Dibujos Industriales(工業意匠登録:工業モデルおよび図面)
・Registros de Diseños Industriales conforme al Arreglo de la Haya: Modelos y Dibujos Industriales(ハーグ協定に基づく意匠登録:工業モデルおよび図面)
・Esquemas de Trazado de Circuitos Integrados(集積回路のレイアウト図)
(3) 図12は、図11の下方の画面である。各案件の公報の下にある項目をクリックすると該当する書類が表示される。
(i) 赤枠の「Extracto de Gaceta(公報抜粋)」をクリックすると、該当する公報の表紙ページが表示される。
(ii) 青枠の「Expediente de Electrónico(電子ファイル)」をクリックすると、経過情報が表示される。
(iii) 緑枠の「Ver Título(タイトル閲覧)」(特許公報の場合のみ表示される)をクリックすると、登録された明細書および図面を閲覧することができる。
2. 商標公報検索
(1) メキシコ産業財産庁(IMPI)が提供する産業財産権情報システム(SIGA(https://siga.impi.gob.mx/))へアクセスし、赤枠の画面下方「Ejemplares(公報)」をクリックする(図13)。
(2) 図14は、下記の(i)から(iv)に従って検索条件を設定し、検索結果を表示した画面である。なお、案件表示に時間がかかる場合がある。
条件の設定は以下のとおりである。
(i) 赤枠の「Área(分野)」をクリックすると、プルダウンメニューが表示されるので、「Marcas(商標)」を選択する。
(ii) 青枠の「Fecha de Puesta en Circulación(公報発行日)」のカレンダーマークをクリックし、期間を指定する。なお、期間を指定しない場合は、直近の10件分の公報がリストに表示される。
(iii) 緑枠の「Gacetas(公報)」をクリックすると、プルダウンメニューが表示されるので「Notificación de Resoluciones, Requerimientos y demás Actos(決議、要件およびその他の法律の通知)」を選択する。
(iv) オレンジ枠の「Buscar(検索)」をクリックすると、画面下方にリストが表示される。
「Limpiar(消去)」をクリックすると、入力した条件が消去される。
(3) 図14のピンク枠の「Ver」をクリックすると、HTML形式の公報が表示される。図15は、2024年7月15日に発行および公開された公報(「Ejemplar 1 (公報1)」を選択した例である。
(4) 例えば、リスト中の登録番号2727448の情報を確認したい場合、 図15の赤枠のURLをクリックすると、図16のように詳細情報が表示される。
図15の青枠のアイコン(「Extracto de Gaceta(公報抜粋)」)をクリックすると、図17のように該当日に発行された公報の一覧が表示される。
図15の緑枠の「Expediente de Electrónico(電子ファイル)」をクリックすると、図18のように経過情報一覧が表示される。PDFをクリックすると該当文書を閲覧することができる。
中国における専利出願時等の委任状の取扱い
1. 委任が必要な場合
(1) 中国大陸に常時居住地もしくは営業所のない外国人、外国企業、または外国のその他の組織(香港、マカオ、台湾地区の出願人も含む)が、中国で専利出願およびその他の専利事務手続を行う場合、または先頭署名出願人(代表者)として、中国大陸の出願人と共同で専利出願およびその他の専利事務手続を行う場合、中国大陸の専利代理機構(中国語「专利代理机构」)※に委任しなければならない。なお、中国大陸の個人または企業等は、国内での専利出願およびその他の専利事務手続を行う際に、専利代理機構に委任することができる(中国専利法(以下「専利法」という。)第18条、中国専利審査指南(以下「審査指南」という。)第1部第1章6.1.1)。
※ 専利代理機構とは、専利代理管理弁法に基づき設立されたパートナ形式または有限責任公司形式の代理機構をいう(専利代理管理弁法第9条)。
(2) 方式審査において、上記の中国大陸に常時居住地または営業所のない出願人が、専利出願およびその他専利事務手続を行うにあたって委任状を提出していないことが判明した場合、補正命令が出され、出願人が指定された期間内に応答しない場合には、その出願は取下げられたものとみなされる(中国専利法実施細則(以下「実施細則」という。)第50条、審査指南第1部第1章6.1.1)。出願人が指定された期間内に意見を陳述し、あるいは補正をしても、専利法第18条第1項の規定に合致しない(専利代理機構に適切に委任されていない)場合には、その出願は拒絶される(審査指南第1部第1章6.1.1)。
2. 委任状の提出時期等
出願人は、専利代理機構に委任する場合、委任状の原本を国務院専利行政部門(国家知識産権局専利局)に提出しなければならない(審査指南第1部第1章6.1.2)。
通常、出願またはPCT出願の中国国内移行と同時に委任状を国務院専利行政部門(国家知識産権局専利局)へ提出する(実施細則第17条第2項、審査指南第3部第1章5.1.2)。
実務では、出願時またはPCT出願の中国国内移行時に提出できない場合は、委任状が未提出である旨の補正命令が発せられるまで、いつでも自発的に補充することが可能である。また、国務院専利行政部門から委任状が未提出である旨の補正命令を受領して2か月以内であれば補充することができる(実施細則44条第1項(5)、審査指南第1部第1章3.2、第5部第7章1.2)。
しかし、中国大陸に常時居住地または営業所のない出願人が、この補充期限を逃すと、当該専利出願は拒絶される(審査指南第1部第1章6.1.2)。
ただし、不可抗力の事由や正当な理由によって期限を徒過した場合は、この補充期限に対しては、最長2か月の期間延長を請求することができる(実施細則第6条第1項、審査指南第5部第7章4.)。
3. 委任状への署名または捺印
出願人が個人である場合、出願人は、委任状に署名または捺印しなければならない。
出願人が企業である場合、企業の公印を捺印するものとし、同時にその法定代表者の署名または捺印を付しても良い。
出願人が2名以上いる場合、出願人全員が署名または捺印しなければならない。
委任状に専利代理機構の公印を捺印しなければならない(審査指南第1部第1章6.1.2)。
4. 包括委任状
出願人は、専利出願等(無効審判請求を委任する場合は、別途委任状が必要である)に関する業務を包括的に専利代理機構に委任する場合、包括委任状を提出することができる。国務院専利行政部門は、規定に合致する包括委任状を受取った後、包括委任状に番号を付け、専利代理機構に通知しなければならない。包括委任状を交付済みである場合、専利出願を提出する時に、包括委任状番号を提示しなければならない(審査指南第1部第1章6.1.2)。なお、商標局が国家知識産権局の組織となった現在でも、専利と商標は異なる機関で受理・審査されるため、専利と商標とでは別個に包括委任状を提出する必要がある。
5. 出願人または専利権者自ら行うことができる手続
2023年の実施細則の改正によって、専利代理機構に委任した出願人または権利者が、自ら行える下記(i)~(iii)の手続が規定された。これにより、日本の出願人または権利者は、これらの手続を自ら国務院専利行政部門に対して直接行うことができる(実施細則第18条)。
(i) 優先権の主張を伴った専利出願において、最初に提出した専利出願の書類の副本を提出する場合
(ii) 費用を納付する場合
(iii) 国務院専利行政部門によって規定されたその他の業務
【留意事項】
中国以外の外国国籍の出願人が国務院専利行政部門に専利出願等の手続を行う場合、法により設立された中国の専利代理機構に委任しなければならず(専利法第18条)、外国国籍の出願人が代理人に委任せずに国務院専利行政部門に直接出願した場合、その出願が拒絶されることに留意すべきである。
出願人が企業の場合、委任状に企業の公印を捺印しなければならないが、企業の法定代表者の署名または捺印はなくても良い。委任状に公印の捺印などに関する形式的な不備がある場合、補正命令を受けてから2か月以内に委任状を再提出することが可能である。委任状の形式要件に関しては、基本的には現地代理人に任せておくことで差支えないだろう。
マレーシアにおける特許・実用新案・意匠年金制度の概要
1. 特許権
1-1. 存続期間
マレーシアにおける特許権の権利期間は、特許出願が行われた日によって次のように異なっている。出願日が2001年8月1日を含み同日以降の場合、権利期間は出願日(PCT条約に基づく特許出願の場合は国際特許出願日)から20年である。出願日が2001年8月1日より前の場合は、権利期間は出願日から20年もしくは特許付与日から15年のいずれか長い方となる。権利期間の延長に関する規定はない(マレーシア特許法第35条(1)、(1B)、(1C))。
1-2. 年金の納付期限
年金の納付義務は、特許の登録後、登録日(特許付与日)を起算日として第2年度分から発生し、特許付与日から2 年およびその後各年の満了日前12か月の間に所定の年金を納付しなければならない (マレーシア特許法第35条 (2))。
1-3. 納付期限を徒過した場合(追納制度)
納付期限日までに年金納付が行われなかった場合、納付期限日から6か月以内であれば年金の追納が可能である。その場合、所定の年金金額に加えて割増手数料を同時に納付しなければならない(マレーシア特許法第35条(2))。
1-4. 権利回復制度
追納期間を超えて年金が納付されなかった場合や割増手数料の納付漏れがあった場合、権利は消滅する(マレーシア特許法第35条(3))。年金の未納により権利が消滅した場合は、公報にその旨が掲載されるが、公報に公告された日から12か月以内であれば権利回復の請求を行うことが可能である(マレーシア特許法(2022年改正法)第35条A(1))。権利を回復するには、未納分の年金と割増手数料に加えて回復手数料を納付すること、および登録官に対し、登録官が定めた様式に期限内に年金を納付することができなかった理由等を記しし申請し認定されなければならない(マレーシア特許法(2022年改正法)第35条A(2)、マレーシア特許規則(2022年改正規則) 規則33A(1)およびマレーシア特許規則 規則33A(2))。
1-5. 年金の誤納
意図しない特許権に対して誤って年金を納付した場合や、所定の納付金額を超えて納付した場合など、納付された年金は返金されない(マレーシア特許規則 規則33(3))。
1-6. その他
マレーシア国内に居所を有していない者は、マレーシアの特許代理人に年金の納付手続を委任する必要がある。代理人に納付を委任する場合、委任状の提出と手数料の納付が必要となる(マレーシア特許法(2022年改正法)第86条(5)、マレーシア特許規則 規則45Bおよび45C、マレーシア知的財産公社HP 特許料金表 https://www.myipo.gov.my/en/patent-forms-and-fees/)。
2. 実用新案権
2-1. 存続期間
実用新案権の権利期間は、出願日から10年である(マレーシア特許法第2附則[第17A条]で適用される第35条(1))。なお、期間の満了前に5年の追加期間を求める延長申請を2回提出することができる(マレーシア特許法第2附則[第17A条]で適用される第35条(2))。すなわち、10年および15年の権利期間満了前に、それぞれ5年分の権利期間の延長手続(延長申請および年金納付)を行うことで、最長20年の権利期間を得ることができる。
2-2. 年金の納付期限
年金の納付義務は、実用新案の登録後、登録日(実用新案証発行日)を起算日として第3年度分から発生し、登録日から3年およびその後各年の満了日前12か月の間に所定の年金を納付しなければならない(マレーシア特許法第2附則[第17A条]で適用される第35条(1A)、(4))。
延長手続には、権利者の宣誓供述書、当該実用新案が商業上もしくは工業上使用されていることを示すもの、または不使用の事情を十分に説明するものをマレーシア知的財産公社に提出し、延長手数料(年金)を納付しなければならない(マレーシア特許法第2附則[第17A条]で適用される第35条(3))。年金納付期限日は登録応当日である一方、延長手続の期限日は出願応当日である点に注意が必要である。
2-3. 納付期限を徒過した場合(追納制度)
特許権と同様に、追納制度がある(マレーシア特許法第2附則[第17A条]で適用される第35条(4)、(5))。
2-4. 権利回復制度
特許権と同様に回復制度がある(マレーシア特許法第17A条で適用されるマレーシア特許法(2022年改正法)第35条A(1))。
2-5. 年金の誤納
意図しない実用新案権に対して年金を誤って納付してしまった場合や、所定の納付金額を超えて納付を行った場合など、納付された年金は返金されない(マレーシア特許規則 規則45(3)で適用される規則33(3))。
2-6. その他
マレーシア国内に本拠も居所も有していない者は、マレーシアの特許代理人に年金の納付手続を委任する必要がある。代理人に納付を委任する場合、委任状の提出と手数料の納付が必要となる(マレーシア特許法第17条A(1)で適用される第86条(5)、マレーシア特許規則 規則45(3)で適用される規則45Bおよび45C、マレーシア知的財産公社HP 特許料金表 https://www.myipo.gov.my/en/patent-forms-and-fees/)。
3. 意匠権
3-1. 存続期間
意匠権の権利期間は出願日もしくは優先権を主張している場合は優先権主張日から5年である(マレーシア意匠法第25条(1)および第17条)。なお、権利期間の満了前に5年の追加期間を求める延長申請を4回提出することができる(マレーシア意匠法(英語)第25条(2))。すなわち、5年、10年、15年、20年の権利期間満了前にそれぞれ5年分の権利期間の延長手続(延長申請および年金納付)を行うことで、出願日(優先権主張がある場合は優先日)から最長25年の権利期間を得ることができる。
3-2. 年金の納付期限
年金は延長手続を行う場合に発生する。年金納付期限の起算日は、出願日もしくは優先権を主張している場合は優先権主張日である(マレーシア意匠法第25条(1)および第17条)。延長手続を行う場合は、起算日から5年、10年、15年、20年の権利期間満了前にそれぞれ5年分の権利期間の延長手数料(年金)を支払う必要がある(マレーシア意匠法(英語)第25条(2))。
3-3. 納付期限を徒過した場合(追納制度)
納付期限日までに延長手数料(年金)納付が行われなかった場合、納付期限日から6か月以内であれば延長手数料(年金)の追納が可能である。その場合、未納の延長手数料(年金)に加えて所定の追徴金を同時に納付しなければならない(マレーシア意匠法第25条(3))。追徴金は納付期限日から時間が経過するにしたがって増額する(マレーシア意匠規則 附則1 手数料 第1部 番号2 (規則23)の項目)。
3-4. 権利回復制度
追納期間を超えて延長申請がされなかった場合または延長手数料が納付されない場合、権利は失効する。年金の未納により権利が失効した場合は、公報にその旨が掲載されるが、公報掲載日から1年以内であれば権利回復の請求を行うことが可能である。権利を回復するためには、延長手続できなかった事情を記した陳述書を提出し、未納分の年金に加えて回復費用、追徴金を納付し、登録官に認定される必要がある(マレーシア意匠法第25条(4)、第26条(1)、マレーシア意匠規則 規則24(1)、マレーシア意匠規則 附則1 手数料 第1部 番号3の項目)。
3-5. 年金の誤納
意図しない意匠権に対して延長手数料(年金)を誤って納付してしまった場合や、所定の納付金額を超えて納付を行った場合など、納付された延長手数料(年金)は返金されない(マレーシア意匠規則23(5))。
3-6. その他
延長手数料(年金)の金額は、意匠の数によって変動する(マレーシア意匠規則 附則1 手数料 第1部2の項目)。出願人がマレーシア国内に居住または主要事業所を有しない場合は、代理人を選任し、年金納付手続を委任する必要がある(マレーシア意匠法第14条(2))。延長手数料(年金)の納付はマレーシア国内の法曹資格を有する者であれば可能であるが、代理人に納付を委任する場合、委任状の提出と手数料の納付が必要となる(マレーシア意匠規則 規則32、規則33、マレーシア知的財産公社HP 意匠料金表 https://www.myipo.gov.my/en/industrial-design-form-fees/?lang=en)。