韓国における知的財産基礎情報について
「韓国知的財産基礎情報」(2024年2月、日本貿易振興機構 ソウル事務所)
1. 知的財産保護体制 P.2
(知的財産保護に関連する法律名の一覧を紹介している。また、知識財産基本法、特許法、実用新案法、デザイン保護法および商標法の最新公布日、法律の概要、ならびに知的財産関連の国際条約の韓国国内での発効日および関係機関を紹介している。)
(1) 関連法 P.2
(2) 韓国産業財産権基礎情報 P.2
①知識財産基本法
②特許法
③実用新案法
④デザイン保護法
⑤商標法
⑥韓国の知的財産権加盟条約
(3) 関係機関 P.3
2. 出願、審査、登録、審判などの統計 P.5
(特許、実用新案、デザイン(意匠)および商標について、出願件数(2010年から2022年まで)、外国からの出願件数(2015年から2022年まで)および審査処理件数(2014年から2022年まで)を紹介するとともに、特許および実用新案の出願、審査請求、審査終結、一次審査処理および審査未処理の件数比較(2017年から2022年まで)ならびに特許、商標およびデザイン(意匠)の一次審査処理期間(2017年から2022年まで)を紹介している。また、特許、実用新案、デザイン(意匠)および商標の登録件数(2014年から2022年まで)ならびに審判院(2017年から2022年まで)、特許法院(2011年から2022年まで)および上告(2011年から2022年まで)について、請求件数および処理件数の統計情報を紹介している。)
(1) 出願件数 P.5
(2) 外国からの出願件数 P.6
(3) 審査処理件数 P.7
(4) 特許、実用新案の出願、審査請求、審査処理件数の比較 P.7
(5) 1次審査処理期間 P.8
(6) 登録件数 P.8
(7) 審判種類別請求及び処理件数 P.9
①審判院
②特許法院(決定系+当事者系)
③上告
3. 取締り/権利紛争状況 P.11
(特許庁(2017年から2022年まで)、検察庁(2017年から2022年まで)、税関(2019年から2022年まで)の取締り実績、知的財産訴訟(民事)新受件数(2018年から2022年まで)、特許法院の処理件数と上告率等(2010年から2022年まで)、各調停委員会の受付件数(2017年から2022年まで)の統計情報を紹介している。)
(1) 特許庁による2020年度の取締り実績 P.11
(2) 検察庁による類型別取締り実績 P.11
(3) 税関における通関後の知財権侵害物品取締り状況 P.12
(4) 知的財産訴訟(民事)新受件数 P.12
(5) 特許法院の年度別の処理件数と上告率など P.13
(6) 各調停委員会の受付件数 P.13
4. その他 P.14
(韓国特許庁職員数および組織図、知的財産権関連法律体系、関連機関および団体ならびに代理人に関する情報が図や一覧表等で紹介されている。)
(1) 韓国特許庁職員数及び組織図 P.14
(2) 知的財産権関連法律体系表 P.15
(3) 関連機関及び団体一覧 P.16
(4) 代理人 P.19
台湾における商標の権利取得手続(「台湾知的財産保護マニュアル」より)
「台湾知的財産保護マニュアル(旧 台湾模倣対策マニュアル)」(2022年3月、日本台湾交流協会)(商標関連部分の抜粋)
本マニュアル中、商標に関連する項目の概要は以下のとおりである。
第1章第1節三では、台湾の商標の基本情報および関連する法律を紹介している。同第2節では、関連する主な知的財産関連当局を紹介している。同第3節では、統計情報(出願件数、検察処理件数、税関での輸入差止め件数)に基づき模倣品取締の動向を解説している。
第2章第1節では、商標の出願から権利取得手続に関する情報(登録要件、出願から権利取得の流れ、必要書類、方式審査および実体審査の概要、権利維持)について解説している。
以下、本マニュアルの目次および小見出し等に沿って、商標に関連する項目の内容を紹介する。
第1章 台湾の知的財産の概況
第1節 保護される知的財産と関連法規
(略)
三、商標法 P.14
(台湾における商標の基本情報を専利と比較しながら説明している。また、商標法に規定されている不使用取消、刑事罰有無、商標権侵害、商標法違反の場合の手続について解説している。)
(一)定義 P.14
(二)期間 P.15
(三)登録要件 P.15
(四)取消事由 P.16
(五)刑事罰等 P.17
(略)
六、公平交易法 P.24
(台湾の公平交易法は、日本の独占禁止法及び不正競争防止法に相当する法律である。公平交易法における未登録の著名商標等の保護の規定(第22条)について解説している。公平交易法第25条(取引秩序に影響を及ぼし得る欺罔行為等の禁止)の違反については、行政処分が規定されている。)
(一)著名商標等の保護 P.24
(二)公平交易法第25条違反 P.25
1. 警告書の送付
2. 公平交易法第25条の事件に関する公平交易委員会の処理原則
3. 第25条違反の法的効果
七、トレードドレスを保護する法律 P.27
(トレードドレスが商標の対象となる場合がある。トレードドレスが保護の対象となりうる法律、公平交易法の規定について紹介している。なお、公平交易法第22条の違反については、刑事罰および行政処分が規定されていないため、民事上の請求によることになる。)
(一)公平交易法第22条 P.27
(二)公平交易法第25条 P.28
(三)意匠、商標 P.28
第2節 主な知的財産関連当局
(知的財産に関連する機関および法令違反があった場合の管轄機関を紹介している。)
一、知的財産局 P.28
二、税関 P.29
三、警察・法務部調査局、検察庁 P.29
四、裁判所 P.30
五、公平交易委員会 P.31
六、小括 P.32
第3節 最近の台湾の知的財産の動き P.32
(2013年から2021年の商標出願件数をグラフで紹介している。また、2010年から2021年までの検察による処理件数および税関での輸入差止め件数をグラフで紹介している。)
一、コロナ禍における出願動向 P.32
(略)
四、統計情報から見る最近の模倣品取締の動向 P.37
第2章 権利取得手続き
第1節 商標 P.43
はじめに
(商標法で定める保護対象である「商標」、「証明標章」、「団体標章」、「団体商標」の定義を紹介している。)
一、登録要件 P.43
(商標の登録要件である「積極的要件」と「消極的要件」について解説している。)
(一)積極的登録要件 P.44
1. 「識別力」がある
2. 「識別力」の判断基準
(1) 識別力のある商標 P.44
①独創的商標
②随意的商標
③暗示的商標
(2) 識別力のない商標 P.46
①説明的商標
②通用標章又は名称
③その他
3. 使用による識別力の発生-後天的な識別力 P.47
(二)消極的登録要件 P.47
(商標法第30条第1項の「商標の不登録事由」について紹介している。また、「誤認混同のおそれに関する審査基準」に記載されている判断基準となる以下の三つの要件を具体例とともに解説している。)
1. 「商標の同一又は類似」 P.49
2. 「商品・役務の同一又は類似」 P.51
3. 「誤認混同のおそれ」 P.52
二、出願手続きの流れ P.52
(商標出願から権利取得までの手順ごとの手続内容および必要書類を一覧表で紹介している。また、手続の流れをフローチャート(2021年9月現在)で紹介している。
三、手続き P.56
(出願主務官庁(台湾経済部智慧財産局)の情報、現地代理人を紹介したURL(*2024年11月確認時URL変更されている)、一般の商標登録出願に必要な書類および注意事項、手続の流れを解説している。)
(一)出願主務官庁 P.56
(二)代理事務所 P.56
(三)必要書類 P.57
1. 願書 P.57
(1) 商標の説明
(2) 出願日
(3) 優先権の有無
(4) 出願人
(5) 指定商品、役務及びその区分
2. 商標見本 P.59
3. 委任状 P.59
(1) 書式
(2) 代表者
(3) 援用可否
(4) 後日補正
4. 優先権証明書 P.60
5. その他 P.60
(1) 立体商標(商標法施行細則第15条)
(2) 音声商標(商標法施行細則第18条)
(3) 動く商標(商標法施行細則第16条)
(4) ホログラム商標(商標法施行細則第17条)
(5) 匂い商標
(四)先願主義と優先権主張 P.61
1. 先願主義 P.61
2. 優先権 P.61
(1) 優先権主張の出願期限
(2) 優先権主張の有資格者
①WTO加盟国及び互恵国
②WTO加盟国又は互恵国における住所、営業所の設置
③国際展示会における商標の使用
(五)特殊な出願 P.63
(証明商標、団体標章、団体商標について、一般出願と異なる点を説明している。)
(六)方式審査 P.65
1. 補正の範囲 P.65
2. 補正の時期 P.66
3. 補正の効果 P.66
4. 出願中の分割と変更 P.66
(1) 出願中の分割
(2) 出願中の変更
(七)実体審査 P.66
1. 不登録事由がある P.67
(1) 拒絶理由の通知
(2) 拒絶理由の対応
① 同意書制度
② 権利不要求制度
(3) 拒絶理由の解消
(4) 不服申立て
2. 不登録事由がない P.70
3. 登録公告及び異議申立て P.71
(八) 権利の維持 P.71
1. 登録料の納付 P.71
(1) 時期
(2) 納付方法及び金額
(3) 効果
(4) 納付期限が経過した場合
①期限が過ぎても納付しない
②期限が過ぎた後に納付した場合(倍額納付をせず)
2. 存続期間 P.73
3. 存続期間の更新登録 P.73
(1) 手続き
(2) 所要費用
(3) 提出の時期
(4) 審査時間及び効果
中国における商標の審決の調べ方
1. 商標関連の審決は、国家知识产权局商标局 中国商标网(日本語「国家知識産権局商標局 中国商標網」;以下「中国商標網」という。)のウェブサイトに掲載されている。2016年3月17日から現在までの審決については、全文閲覧が可能である。
なお、従来、「商标评审委员会」(以下「評審委員会」という。)の審決は、国家商工行政管理総局のウェブサイトで閲覧することができたが、2018年11月15日に商標局、評審委員会および商標審査協力センターが統合され、商標の審査業務に係わる事務手続はそのまま国家知識産権局商標局で取り扱われることになり、審決は中国商標網にて閲覧可能となった。また、この組織再編に伴って、評審委員会と商標審査協力センターは、廃止された(【ソース】の「商標局の紹介」および「国家知識産権局第295号公告」を参照)。
以下では、中国商標網における審決の閲覧方法を紹介する。
中国商標網のウェブサイト(https://sbj.cnipa.gov.cn/)にアクセスし、中央のメニューの上段の右から2番目にある「商标评审文书」(図1の赤枠)をクリックする。

なお、初めて中国商標網において商標検索を利用する場合は、中国商標網のウェブサイト(https://sbj.cnipa.gov.cn/sbj/index.html)(図1)にアクセスし、ユーザー登録をする必要がある(ユーザー登録の方法については、JETROが公開している「中国商標網のユーザー登録マニュアル(https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/pdf/manual_202405_2.pdf)」)を参照。なお、ユーザー登録に際し、パスワードは、英字の大小文字、数字、特殊文字全てを含む必要がある点に注意が必要である。)。
ユーザー登録が完了したら、改めて中国商標網のウェブサイトにアクセスし、「商标评审文书」(図1の赤枠)をクリックすると、図2に示す画面に遷移する。
2. 次に、画面(図2)の「我接受」(図2の赤枠)をクリックすると、画面(図3)に遷移する。

3. 図3の画面は、新規で使用する際のユーザー登録の画面と同じであるが、改めて、以下の番号順にしたがって必要事項を入力する。当該番号は、図3右端の番号に対応する。

1) 項目(1)の「非大陆地区用户(中国大陸以外のユーザー)」をクリック。
2) 項目(2)の空欄にユーザー登録したメールアドレスを入力。
3) 項目(3)の空欄にユーザー登録したパスワードを入力。
4) 項目4)の「获取验证码(確認コードを取得)」をクリックすると、「60s后重试」が表示され60秒のタイマーがスタートし、60秒程度で確認コードが登録したメールアドレスに送られてくる。なお、このタイマーは60秒以内に確認コードを入力することを意味している訳ではない。確認コードは、shangbiaoyanzheng@cnipa.gov.cnから、以下のような内容のメールが送られてくる。
「请输入验证码627204完成邮箱验证(5分钟内有效)。如非本人操作请忽略。(認証コード627204を入力し、メール認証を完了してください(5分以内有効)。自分で操作していない場合は、無視してください。)」
上記のメールの到着から記載された制限時間内(上記の場合は5分以内)に、同じ端末から項目(4)の空欄にメールに記載された6桁数字(確認コード)を入力する。なお、制限時間については30分などに変更される場合もあるので留意されたい。
また、月曜日の朝などの混雑時や、何度も「获取验证码」をクリックすると、メールの送信が遅れる場合がある。2分を超えてメールが受信できなければ、日時を変えて、1)から4)の手順を改めて行うことをお勧めする。
5) 項目(5)の右に表示された4桁の英数字を左空欄に入力する。
6) 項目(6)「记住账号(アカウントを記憶する)」をチェック。
7) 項目(8)(「我已阅读并接受(読んで同意します)」)をチェックしてから項目(7)「登录(ログイン)」をクリック。
4. 図3の画面でユーザー情報を入力すると、図4「商标评审裁定/决定文书」が表示される。これ以降は、図1の画面に戻って「商标评审文书」をクリックしても図4が表示される。
空欄に検索対象の審決に関する情報を入力して「搜索」をクリックすれば、審決を検索することができ、出力される下方の審決リストの標題をクリックすれば、該当する審決の全文を閲覧することができる。
なお、検索画面では、「注册号」に出願番号(登録番号)、「商标名称」に商標、「申請人名称」に審判請求人、「裁定/决定时间从」の左右に裁定日(決定日)の検索期間(YYYY-MM-DD)などを入力して検索することが可能である。

本サイトにおいて閲覧可能な審決は、審判請求(中国語「復審」)された案件の審決、すなわち、拒絶査定不服審判、登録不許可不服審判(異議決定の不服審判のこと)および不使用取消不服審判に対して下された審決(中国語「裁定」)ならびに登録商標無効審判に対して下された審決(中国語「决定」)である。
中国における商標に関する審判についての詳細は、関連記事「中国における商標不服審判制度(中国語「申請復審制度」)の概要」の、その1からその4までの各記事を参照されたい。
・その1:拒絶査定不服審判
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/37573/
・その2:登録不許可不服審判
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14000/
・その3:登録商標無効宣告不服審判
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/14002/
・その4:不使用取消不服審判
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/37538/
5. 例として、「简小姐」(出願番号「13356941」)という商標に関する審決を検索する方法を示す。図5の画面のように「13356941」を「注册号」の欄に入力して、「搜索」をクリックすれば、当該審決(裁定書)の標題が下段に表示され、それをクリックすれば、全文(図6)を閲覧することができる。


ただし、2016年2月以前(2月を含む)の審決は全て公開されておらず、2016年3月から2017年12月までについては一部分の審決が公開されており、2018年1月以降は審決が全て公開されている。“Opencloud”(出願番号「7918522」)という商標について、上記と同じ操作をすると、最下段に「每页30条记录 共 0条记录 第1页」と表示され、該当案件の審決が閲覧できないことがわかる。
香港における産業財産権権利化費用
記事本文はこちらをご覧ください。
シンガポールにおける知的財産法改正について
記事本文はこちらをご覧ください。
インドの商標関連の法律、規則、審査マニュアル
インドの商標関連の法律、規則、審査マニュアル(英語・日本語)は、以下のとおりである。
オーストラリアにおける商標異議申立制度
オーストラリア知的所有権保護局(IP Australia;IPA)への商標に関する直接出願またはオーストラリアを指定国とする国際出願に対する異議申立は、商標法および商標規則のいずれも第5部に規定されている。現在の異議申立手続は、2013年の商標法改正によって改正され、2013年4月15日以降の手続に適用されているものである。
商標出願に対する異議申立は、二段階の手続から成る。第一段階の手続は異議申立書(異議申立意図通知書)の提出であり、公告決定となった出願が商標公報に公告された日より2か月以内に異議申立書を提出しなければならない。異議申立書の提出時に、異議申立の手数料を納付する必要がある(商標法第52条、商標規則5.6および21.21A、知的財産局実務・手続便覧(以下「便覧」という。)47.1. 1.1.2)。
第二段階の手続は、異議申立人が異議申立の根拠となる理由を記載する異議理由書(理由および詳細陳述書)の提出であり、異議申立書の提出日より1か月以内に異議理由書を提出しなければならない。異議理由書は、全ての異議理由を適切に記載し、異議理由の根拠を詳細に提示しなければならない(商標規則5.7)。
異議申立書または異議理由書の提出に関する法定期限は、商標規則5.9(4)に定められている次の理由の一方または両方に基づいてのみ、延長することができる。
(1)異議申立人、異議申立人の代理人、登録官または職員による過誤または遺漏
(2)期限延長申請人の制御の及ばない状況
異議申立人が異議申立書および異議理由書を提出した場合、異議理由書の提出日より1か月以内に、出願人は異議申立に対抗するための答弁書(防御意図通知書)を提出することができる。出願人が答弁書を提出しなかった場合は、当該出願は失効する(商標法第52A条および第54A条、商標規則5.13)。
何人も、異議申立をすることができるので(商標法第52条(1))、異議申立人は、異議理由として第三者の先行権利または登録を援用することもできる。具体例としては、オーストラリアで名声を得ている登録または未登録の他人の商標と欺瞞または混同を生じる虞があることを異議理由とする場合などが挙げられ、この際、異議申立人に名声および虞の立証責任がある(商標法第60条、便覧46.4. 4.5)。
IPAでは、出願審査は審査官(Examiner)、異議手続の審査は登録官(Registrar)がそれぞれ行うことから、出願審査において審査官によって考慮されなかった理由の他に、出願に対する拒絶理由と同じ理由に基づき、異議申立を提起することができる(便覧46.4 第2段落)。また、異議理由としては、出願審査でも取り扱われる商標の絶対的拒絶理由(商標法第39条~第43条)および相対的拒絶理由(商標法第44条)に加え、異議申立人に先に使用されている類似商標、虚偽の地理的表示を含む商標、不正に出願された商標など、商標法第58条から第62A条に記載されている出願審査で取り上げられない理由が挙げられる。なお、商標法第40条に規定する、商標が視覚的に表示できないとの絶対的拒絶理由は、異議理由として認められない(商標法第57条)。
証拠は、原則、法定期限内に宣誓書の様式でIPAの電子通信手段(Objective Connect)を用いて提出しなければならない。両当事者は、当該手段を通じて証拠を受領する(商標法第213C条、商標規則21.6および21.7、便覧51.1)。
異議申立人は、異議理由の少なくとも1つについて立証責任を負っているために、答弁書の写しが異議申立人に送達されてから3か月以内に異議証拠を提出しなければならない(商標規則5.14(3))。
異議申立人が異議証拠を提出した場合、出願人は異議証拠が提出された旨の登録官からの通知から3か月以内に答弁証拠を提出することができる(商標規則5.14(4))。
出願人が答弁証拠を提出した場合、異議申立人は必要と判断した場合に弁駁証拠を提出することができる。この弁駁証拠は、答弁証拠に挙げられている争点に対する弁駁に限定されなければならない。弁駁証拠は、答弁証拠が提出された旨の登録官からの通知から2か月以内に提出されなければならない(商標規則5.14(6))。
異議申立人が弁駁証拠を提出した場合、または異議申立人が弁駁証拠を提出する意図を有していないことを登録官に通知した場合、異議申立手続における証拠手続は終了する。
両当事者は、証拠提出に関する法定期限の延長申請を行うことができる(商標規則5.15)。しかし、証拠提出期限の延長は、ほとんど認可されていないのが実情である。
両当事者は、和解交渉を行うために、異議手続を一時的に中断するためのクーリングオフ期間を申請することができる。クーリングオフ期間は、最初に6か月間認められるが、両当事者の合意に基づく延長申請があれば、登録官はさらに6か月間クーリングオフ期間を延長しなければならない。なお、両当事者は、いつでも一方的にクーリングオフ期間を解除することができる(商標規則5.16)。
証拠手続が終了した後、IPAは両当事者にヒアリング(口頭審理)の要否確認を行う。何れの当事者も口頭審理を請求しない場合、登録官は既に提出されている両当事者の証拠等に基づき、異議申立に対する裁定を行う(商標規則5.17および21.15、便覧51.5 後半部)。
口頭審理が請求された場合、通常、電話またはビデオ会議で実施される。対面での口頭審理は、証拠にビデオ接続では確認できない物理的な見本があるなどの例外的な場合に限られる(便覧52.2)。
登録官は、商標規則に規定された範囲内で、異議費用の裁定を行なう権限を有する。通常、異議に掛かる費用は、敗者側の負担として、異議申立に対する裁定後に勝者側に有利な裁定がなされる(商標法第221条、商標規則21.12、21.13)。
出願人または異議申立人は、登録官による異議決定に不服の場合、異議決定より21日以内に、連邦裁判所または連邦巡回控訴裁判所へ控訴することができる。控訴審において、両当事者は、異議手続においてIPAに提出していなかった新たな証拠を提出することができる(便覧52.5. 5.1)。
マレーシアにおける商標出願制度概要
記事本文はこちらをご覧ください。
韓国における商標制度のまとめ―手続編
1. 出願に必要な書類
商標登録出願人は、次の事項を記載した商標登録出願書を提出しなければならない(商標法第36条)。
・出願人の氏名および住所
・出願人の代理人がいる場合には、その代理人の氏名および住所もしくは営業所の所在地
・商標
・指定商品および商品類区分
・その他必要な事項
関連記事:「韓国における商標出願制度概要」(2023.01.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/27493/
(注:上記記事は、本稿作成後、2024年10月31日付で更新されています。
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/40124/)
2. 登録できる商標/登録できない商標
商標法第2条に用語の定義が記載されており、これによると、韓国において登録を受けることができる/できない商標は、以下のとおりとなる。
2-1. 登録を受けることができる商標
記号、文字、図形、音、におい、立体的形状、ホログラム・動作または色彩商標
2-2. 通常の商標(商品標章・サービス標章)以外の下記の標章も登録可能
団体標章、地理的表示団体標章、証明標章、地理的表示証明標章、業務標章
2-3. 登録を受けることができない商標
味、触感
関連記事:「韓国で保護される商標の類型」(2018.08.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/15652/
関連記事:「韓国における物品デザインの商標的保護」(2018.04.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14898/
関連記事:「韓国における小売役務の保護の現状」(2021.05.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/20003/
3. 出願の言語
韓国特許庁に提出する書類は、ハングルで記載しなければならない(商標法施行規則第15条第1項)。
外国語からなる委任状、国籍証明書および優先権証明書類等の書類は、ハングル翻訳文とともに提出しなければならない(商標法施行規則第15条第2項)。
4. グレースピリオド
韓国政府または地方自治体が開催または承認した博覧会に出品した商品に使用した商標を、その商品を指定商品として、その出品日から6か月以内に商標登録出願をした場合には、その出品をした時に出願したものとみなす(商標法第47条)。
5. 審査
5-1. 審査官による審査および情報提供
商標登録出願は、審査官によって審査される(商標法第50条)。また商標登録出願が拒絶理由に該当する場合には、誰でもその情報を証拠とともに特許庁長に提供して、審査官が審査の参考にすることができる情報提供制度を採用している(商標法第49条)。
審査官は、一部でも指定商品に対する拒絶理由が存在する場合は、拒絶査定をしなければならない。なお、拒絶理由が指定商品の一部にのみに該当する場合は、その指定商品に対してのみ拒絶査定がなされる(商標法第54条)。
5-2. 優先審査(日本の「早期審査」に相当)
優先審査は、⼀定の要件を備えた商標登録出願について、他の出願より優先的に審査を受けることができる制度である。商標登録出願後、出願人ではない者が商標登録出願された商標と同一・類似した商標を同一・類似した指定商品に正当な事由なしに業として使用していると認められる場合、または出願人が商標登録出願した商標を指定商品の全部に使用しているなど、大統領令で定める商標登録出願として緊急な処理が必要であると認められる場合には、出願人は優先審査を請求することができる(商標法第53条第2項)。
優先審査を請求した場合、平均して2~3か月以内に審査結果を受けることができる。
5-3. 商標の類否判断の概要
(1) 商標の類似判断の観察方法は、全体的、客観的、離隔的観察を原則とするが、商標構成の中で印象的な部分(要部)について重点的に比較するものとする。また、商標の類似判断について、原則的に商標の称呼、外観、観念のうちいずれか一つが類似して、取引上、商品出所の誤認、混同のおそれがある商標は、類似のものとみなされる。ただし、称呼、外観、観念の中でいずれか一つが類似するとしても、全体的に顕著な差があって、取引上、商品の出所の誤認、混同を起こすおそれがないときには、この限りでない(商標審査基準 第5部 第7章「補充基準:商標の同一・類似」2.2.1 類否判断の一般原則)。
(2) 指定商品の同一類似の判断は、原則的に特許庁例規である「類似商品審査基準」による類似群コードを参考にするが、商品の属性である品質、形状、用途と生産部門、販売部門、需要者の範囲等、取引の実情等を考慮して一般取引の通念によって判断する(商標審査基準 第5部 第7章「補充基準:商標の同一・類似」4. 1 一般原則)。
関連記事:「韓国の商標関連の法律、規則、審査基準等」(2021.05.06)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19827/
関連記事:「韓国の商標法における「商標」の定義の観点からの識別性」(2017.12.14)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/14324/
関連記事:「韓国における商標出願の拒絶理由通知に対する対応」(2021.05.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/19860/
関連記事:「韓国におけるマドリッド協定議定書の基礎商標の同一性の認証と商品・役務に関する審査の在り方」(2017.05.25)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/13685/
関連記事:「韓国における商標情報検索方法」(2022.11.24)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/27139/
関連記事:「韓国における商標優先審査制度」(2024.01.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/38144/
6. 出願から登録までのフローチャート
6-1. 出願から登録までの商標出願のフローチャート(図1)

6-2. フローチャートに関する簡単な説明
・商標登録出願をすると、実務上、方式審査後6か月~1年程度で審査が開始される。
・拒絶理由がなければ、公告決定され、その後2か月間に異議申立がなければ登録査定される(商標法第57条、第60条、第68条)。
・登録査定日から2か月以内に登録料を納付すれば、実務上、10日以内に登録証が発行される(特許料等の徴収規則第8条第7項第1号)。
・拒絶理由がある場合には、審査官から意見提出通知書を受ける。2か月(延長可能)以内に意見書および補正書を提出することができる(商標法第55条、商標法施行規則第50条第2項)。
・審査の結果、拒絶理由が解消されれば出願公告決定される(商標法第57条)が、拒絶理由が解消されない場合は拒絶査定を受ける。拒絶査定を受ける場合、拒絶理由が指定商品の一部にのみに該当する場合は、その指定商品に対してのみ拒絶査定となる(商標法第54条)。
・商標登録拒絶査定の謄本の送達を受けた日から3か月以内に指定商品または商標を補正して該当商標登録出願に関する再審査を請求できる。再審査が請求された場合、当該拒絶査定は取り消されたとみなされる(商標法第55条の2)。
関連記事:「韓国における商標出願制度概要」(2023.01.10)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/27493/
(注:上記記事は、本稿作成後、2024年10月31日付で更新されています。
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/40124/)
7. 特許審判院による審判について
審査官の拒絶査定(前記の再審査請求後の拒絶査定および後述する異議申立に基づく審査官合議体の拒絶査定を含む)に対して不服がある場合には、拒絶査定謄本の送達を受けた日から3か月以内に特許審判院に拒絶査定不服審判を請求することができる(商標法第116条)。
関連記事:「韓国における審判制度概要」(2023.02.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/33725/
関連記事:「韓国における商標の不使用取消審判制度」(2020.04.02)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/18408/
8. 権利設定前の異議申立
商標出願が出願公告されると、誰でも出願公告日から2か月以内(延長不可)に異議申立をすることができる。異議申立書は、所定の様式に基づいて作成し、異議申立の理由と必要な証拠を添付しなければならない(商標法第60条)。すでに提出した異議申立に対する理由や証拠を補正しようとする場合には、異議申立期間の経過後30日以内にしなければならない(商標法第61条)。
異議申立は、審査官3名で構成される審査官合議体で審査され(商標法第62条)、審査官合議体は、出願人に答弁提出の機会をあたえなければならない(商標法第66条第1項)。審査官合議体の決定に不服がある場合、出願人は審査官合議体からの拒絶査定に対する不服審判を、異議申立人は無効審判を、特許審判院に請求することができる(商標法第66条第6項)。
関連記事:「冒認商標が韓国で出願されたときに利用できる規定と手続き」(2018.11.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/16181/
関連記事:「韓国における商標異議申立制度」(2023.03.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/34092/
9. 審決に対する訴訟の提起
特許審判院の審決(後述する無効審判請求および不使用取消審判等の審決を含む。商標法第125条第1項)に対して不服がある場合、審決謄本を受け取った日から30日以内に特許法院に審決取消訴訟を提起することができる(商標法第162条第3項)。
・特許法院の判決に不服がある場合には、大法院に上告することができる(商標法第162条第7項)。
関連記事:「韓国における特許・実用新案・商標・意匠の審決取消訴訟制度概要」(2023.04.13)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/34182/
関連記事:「韓国における審判制度概要」(2023.02.09)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/33725/
10. 権利設定後の異議申立
なし
11. 設定された商標権に対して、権利の無効を申し立てる制度
利害関係人または審査官は、誤って登録された商標登録等に対して無効審判を請求することができる(商標法第117条第1項)。無効審決が確定した場合、該当商標権は最初からなかったものとみなされる(商標法第117条第3項)。
関連記事:「韓国における冒認商標の現況」(2018.11.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/statistics/16173/
関連記事:「冒認商標が韓国で出願されたときに利用できる規定と手続き」(2018.11.27)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/16181/
関連記事:「韓国における冒認商標に関する事例分析」(2018.11.29)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/precedent/16216/
関連記事:「韓国における当事者系審判の運用」(2014.03.17)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/5715/
12. 商標の不使用取消制度
商標権者・専用使用権者・通常使用権者のうち誰も、正当な理由なく登録商標をその指定商品に対して継続して3年以上国内で使用していない場合には、商標登録取消審判によってその登録が取消されることがある(商標法第119条第1項第3号)。
不使用取消審判は誰でも請求することができ、商標登録を取消す旨の審決が確定した場合、該当商標権はその審判請求日に溯及して消滅したものとみなされる(商標法第119条5項および6項)
関連記事:「韓国における商標の不使用取消審判制度」(2020.04.02)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/18408/
13. その他の制度
・指定商品追加登録出願
商標登録出願人は、商標登録出願時に1または2個以上の商品を指定することができるが、商標登録出願後または商標登録後に指定商品を追加する必要がある場合、別途に指定商品の追加登録出願書を提出して指定商品を追加することができる(商標法第86条)。
指定商品の追加登録の要件は、次のとおりである。①原商標権または原商標登録出願が存在しなければならない。②追加登録出願の出願人は、登録商標の商標権者または商標登録出願の出願人と同一人ではなければならない。③指定商品の追加登録の商標は、当該登録商標または商標登録出願の商標と同一でなければならず、通常の商標登録出願に関する拒絶理由に該当してはならない(商標法第87条、商標審査基準 第6部 第5章「指定商品追加登録出願に対する審査」1.および2.)。
指定商品の追加登録がされると、その追加登録された指定商品は原商標権に統合されて一体となり、原商標権が消滅すれば追加登録も一緒に消滅する。しかし、無効事由の存在の有無や商標権侵害当否の判断においては、最初に登録されたものから独立した存在として判断される(商標審査基準 第6部 第5章「指定商品追加登録出願に対する審査」)。
関連記事:「韓国における指定商品追加登録制度」(2018.10.30)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/application/16041/
ペルーにおける商標制度概要
1. 商標に関する法令
ペルーにおける商標保護は、2000年12月1日に発効した「アンデス共同体決議第486号(産業財産に関する一般規定(以下「決議486」という。))」に加え、2009年2月2日に発効した「アンデス共同体決議第486号の補足規定を承認する法令第1075号(産業財産法)」の規定に従って付与される。なお、同法は「法令第1397号」による改正が2018年9月7日に施行されたことから、本稿では、同改正後の産業財産法(以下「法」という。)(稿末記載の【ソース】(3))に基づき説明する。
さらにペルーは、多国間条約として、1929年一般米州商標・商業保護ワシントン条約(1937年3月25日加盟)、パリ条約(1995年1月11日加盟)、商標法条約(TLT)(2009年11月6日加盟)、環太平洋パートナーシップ協定(2021年9月19日発効)、ニース協定(2022年10月18日加盟)の加盟国であり、前記アンデス共同体の1996年創設メンバーである。なお、マドリッド・プロトコールには、執筆時点では加盟していない。
ペルーは「先願主義」を採用している(決議486第136条(a)および第154条、法第6条)。なお、商標の登録を得ることは、いかなる商品または役務に関しても法的義務ではない。
「Marca Registrada」(スペイン語で登録商標を意味する)、または他の登録商標を表す略語等の表示は、登録していない商標とともに使用することが禁じられている(法「最終補足規定」第2)。
2. 商標の種類
2.1. 保護可能な商標の種類
決議486には「市場において商品や役務を識別することができる標章は、商標の構成要素となる。図的表現が可能な標章は商標として登録ができる。」と定義され(決議486第134条)、伝統的商標はもちろん、非伝統的商標も、概ね産業財産法上の保護対象として認められる。具体的には、言葉、図案などの伝統的商標の例示に加え、音、匂い、立体、色彩および色彩の組み合わせが例示され、アンデス共同体商標審査便覧(以下「便覧」という。)には、位置商標(便覧1.2.2.3)、動き商標(便覧1.2.2.4)、触感の商標(便覧1.2.2.7)の非伝統的商標も、商標として登録可能であるとされている。
通常の商標(商品、役務)に加えて、団体商標(決議486、題目VIII)、証明商標(決議486、題目IX)も登録可能である。
2.2. 登録できない商標
決議486第135条には、登録できない商標として以下が規定されている。公序良俗に反する商標(同条(p)項)、一般名称(同条(f)項)、使用により獲得された識別力を証明できない識別力のない商標(同条(b)項、同条最終段落)、保護されている原産地名称を複製・模倣・包含し、需要者にそれを混同・連想させ、または、その評判を悪用する商標(同条(j)項)。
また、決議486第136条には、登録できない商標として、使用により第三者の権利を不当に害する商標が列挙されており、例えば、同一の商品・役務またはその使用が混同もしくは連想を生じさせるおそれがある商品・役務について、第三者により先に出願もしくは登録された商標と同一または類似している商標(同条(a)項)、伝統的識別標識(同条(g)項:先住民等の名称、商品名等)などが規定されている。
3. 分類について
分類については、商品および役務にニース国際分類の最新版を採用することが規定されている(決議486第151条)。
ペルーは1つの出願に複数分類(多区分)を指定することのできる、一出願多区分制を採用しており、同一商標に関して、異なる商品・役務を対象とすることを条件に新たな出願を提出することも可能である(法第58条、便覧1.4.5.1)。
登録前のあらゆる時点において、出願人またはその代理人が請求することにより、料金の納付をもって、1つの出願を複数の出願に分割することができる(法第59条)。また、登録商標が複数の商品・役務を含む場合、当該商品・役務を分割して、2以上の複数の登録にすることができる(法第70条)。
4. 出願時に要求される情報および書類
以下の情報および書類が出願時に求められる(法第50条および第51条)。
・出願人の名称および住所
・出願人の国籍または居所。出願人が法人の場合は、その所在地。
・指定商品または役務および国際分類
・商標見本(5×5cm、出願商標が立体の場合は、正面図、背面図、側面図、平面図および底面図。音商標の場合は、楽譜などの写実的表現およびその音を収録したCD。)
・法定出願料
・代理人委任状(公証人等による認証は必要ない。出願の提出時には必須ではないが、特許庁から指令を受領した日から60就業日以内に提出しなければならない。)
優先権が主張されている場合は、下記も必要となる。
・外国基礎出願の出願番号および出願日。優先権証明書は、外国基礎出願の出願日から9ヵ月以内に提出しなければならない(便覧1.5.5)。
・出願人の本国がパリ条約の加盟国である場合、優先権主張により、自己の本国出願の出願日はペルーにおける出願日とみなされる。ただし、当該本国出願が、ペルーにおける出願より前6ヵ月以内に提出されていることを条件とする(法第19条(b))。
商標出願は、書面またはオンラインにより提出することができる。
5. 審査手続
代理人委任状とともに商標出願書が提出された後、特許庁は最初の15就業日間に方式審査を行い、すべてが適正である場合(代理人委任状、指定商品または指定役務、分類等)、当該出願は異議申立のために公告される。方式審査が不適正である場合は、出願人に通知され、通知日から60就業日以内に補正しなければならない。依然として不適正な場合は、10就業日(10就業日を1回延長可能)以内に補正または説明を求める通知が発せられる(決議486第144条、法第52A条、法第52B条)。
正当な利害関係者は、公告日から30就業日以内に異議申立を提出することができ、理由についてはさらに30就業日以内に補充することができる(決議486第146条)。
異議申立がなければ、当該出願は実体審査に回され、絶対的拒絶理由および相対的拒絶理由に関して審査される(決議486第150条)。実体審査には1ヵ月前後を要する。出願が実体審査を通過した場合、権利付与日から10年間にわたる登録が与えられる。現在、すべてが適正である場合、ペルーで商標登録を取得するまでの期間は、出願日から最短で45就業日(約2ヵ月)である。
6. 登録証の発行
すべての要件が適正である場合、特許庁が当該商標の登録を認可する決定を下した後、デジタル署名を付したデジタル登録証が発行される。また、当該登録証は、出願人またはその現地代理人が印刷できるようになる(法第7条)。
デジタル登録証の発行に関して、手数料納付は不要である。なお、追加手数料を納付することで、従来の紙の登録証が交付される。
7. 登録および更新
商標登録は、権利付与日から10年間にわたり有効である。登録はさらに10年間毎に更新できる(決議486第152条)。
更新出願は、満了前の6ヵ月の法定期間内に、または満了日後の6ヵ月の法定猶予期間内に提出することができる(決議486第153条)。商標登録を更新するために、登録対象の指定商品または指定役務に関して、当該商標の使用を証明する必要はない。
代理人委任状(コピーでもよい)を更新出願に添付する必要がある。なお、先行する5年以内に他の申請において提出された代理人委任状を援用することができる。
さらに、特許庁より発行された更新料の支払いを証明する受領書を更新出願に添付しなければならない。更新出願が6ヵ月の猶予期間内に提出される場合、追加料金を支払う必要はない。
8. 商標の使用
登録商標に対し取消手続が開始され、その開始日に先立って継続して3年間(ただし、権利付与の決定が出願人またはその現地代理人に通知された日から3年が経過するまでは取消手続を開始することはできない。)、当該商標が正当な理由なくアンデス共同体加盟国(ボリビア、コロンビア、エクアドルまたはペルー)のいずれの国においても、登録対象のすべての商品または役務に関して使用されなかった場合、当該商標登録は、利害関係者から不使用取消請求により取り消されるおそれがある(決議486第165条)。
なお、次に示す行為も使用とみなされる(決議486第165条、第166条)。
・当該商標の識別性には影響を及ぼさない範囲で異なる形態による登録商標の使用
・アンデス共同体加盟国からの輸出のみを目的とした商品またはそのパッケージへの当該商標の使用
・商標権者の同意を得た当該商標の使用
上記の期間内に、上記のいずれかのアンデス共同体加盟国内において、一部の商品または役務に関してのみ当該商標が使用されていた場合には、当該商標登録は第三者の不使用取消請求により不使用の商品または役務は取り消され、実際に使用された商品または役務のみが維持される(決議486第165条)。
9. 登録の無効
商標登録の全部または一部に対し、無効宣告がなされる場合がある。
商標登録が商標を構成しない標章、または商標とはみなされない標章に対して付与された場合には、特許庁は、職権によりまたは当事者の請求により、いつでも当該登録の絶対的無効(公序良俗違反などのような当事者以外の者でも主張できる)を宣告することができる(決議486第172条)。
商標登録が第三者の権利を不当に害する標章に対して付与された場合、または悪意により取得された場合には、特許庁は、職権によりまたは当事者の請求により、当該登録の相対的無効(類似商標の所有者などの当事者以外の者では主張できない)を宣告することができる。この措置は、問題となる登録の権利付与日から5年が経過した後は禁止される(決議486第172条第2段落)。
上記の措置により、登録が無効とされた場合においても、国内法に基づき損害賠償請求を提起することは可能である(決議486第172条第3段落)。
商標の登録対象である商品または役務の一部だけに、無効理由が該当する場合には、当該商品または役務に関してのみ無効が宣告され、当該商品または役務が当該商標登録から削除される(決議486第172条最終段落)。
10. 委任状について
ペルー特許庁が求める委任状は、原則、公証のない私的証書が認められる。ただし、法人の場合は、署名者の地位または権原が記録されていなければならない。また、登録放棄の場合、委任状の署名は公証されなければならない(法第15条)。日本でなされた公証は、ハーグ条約に基づくアポスティーユを付さなければならない。