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ベトナムにおける商標異議申立(第三者意見)

2015年03月31日

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■概要
ベトナムでは知的財産法第112条に基づき、商標出願が公報に掲載された日から登録査定日までは、いかなる第三者も当該商標出願に対して異議を申し立てる(意見を提示する)ことができる。なお、商標登録証の発行後も、第三者は、先行する権利が存在する、登録所有者には登録出願の権限がない、登録は悪意で行われた等の理由に基づき商標登録無効を申し立てることができる
■詳細及び留意点

【詳細】

 ベトナムでは知的財産法第112条に基づき、商標出願が公開された日から登録査定の日までならいつでも、いかなる第三者も当該商標出願に対して異議を申し立てることができる。

 

第112条 保護証書付与に関する第三者意見

出願が公報に掲載された日から権利付与に関する決定の日(登録査定日)までは、いかなる第三者も、当該出願に関してベトナム知的財産庁(National Office of Intellectual Property of Vietnam : NOIP)に意見を提示する権利を有する。当該意見は、書面にて提示し、かつ、資料を添付しなければならず、または使用する証拠の出所を明示しなければならない。

 

○商標出願に対して異議申立できる者

 国内外の個人および組織を含む「いかなる第三者」も、NOIPに異議を申し立てることができる。

 

○異議申立理由

 異議申立は以下の事由のいずれかに基づき行われるものとする。

 

 (a)出願人が登録を受ける権利を有しておらず、かかる権利を譲渡されてもいない

 (b)出願された商標が保護要件を満たしていない

 (c)出願人が悪意で出願した

 

○異議申立の対象となる商標出願

 NOIPで係属中のすべての商標出願が異議申立の対象となる。係属中の出願とは、登録査定がまだ下されていない出願のことをいう。

 

○ 異議申立期限

 異議申立は、商標出願が公報に掲載された日から、登録査定の日までの間いつでも行うことができる。

 

○ 異議申立事由を裏付ける証拠

 異議申立事由を裏付ける証拠書類の一切をNOIPに提出することができる。

 

○異議申立手続の流れ

 第三者による意見書は、商標出願の審査において情報源(参考情報)として見なされる。

 

 NOIPは、第三者から異議申立を受領した日から1ヶ月以内に出願人に当該意見を通知し、出願人に対して1ヶ月以内の応答期間を与える。NOIPは、出願人から回答書を受領した後、必要と考える場合は、出願人からの回答を第三者に通知し、かかる第三者に対して、意見書(第2回意見書)を提出するための1ヶ月以内の応答期間を与える。NOIPは、両当事者が提出した証拠と主張、ならびに出願書類に含まれるデータに基づき、第三者と出願人の意見を精査する。

 

 NOIPが第三者からの異議申立について根拠がないと判断する場合、かかる意見を出願人に通知する必要はない。ただし、当該第三者には異議申立の検討を拒絶すること、およびその理由を明確に通知しなければならない。

 

 第三者からの意見が、登録を受ける権利に関する場合であって、当該意見に根拠があるか否かをNOIPが確認することができない場合、NOIPは、当該第三者に対して、裁判所に訴訟を提起して当該問題を解決するよう通知する。かかる通知から1ヶ月以内に、当該第三者が訴訟を提起した旨をNOIPに通知しない場合、当該第三者の意見は取り下げられたものと見なされる。当該第三者から訴訟を提起した旨の通知を受けた場合、NOIPは、裁判所による判決が下されるまで、当該出願にかかる手続きを一時停止する。裁判所が判決を下した後、当該判決に沿って当該出願に係る手続きが進められる。

 

 NOIPが必要と判断し、両当事者からも要請があった場合には、第三者と出願人の両者による直接協議の場をNOIP立ち会いのもと開催し、その結果をもってNOIPが判断を下す。出願人が第三者の意見に回答するための期間は、NOIPが関連手続きを取るための所定期間には含まれない。

 

【留意事項】

 商標登録証の発行後も、第三者は、先行する権利が存在する、登録所有者には登録出願の権限がなかった、もしくは登録は悪意で行われた等の理由に基づきNOIPに商標登録無効を申し立てることができる(無効審判)。

■ソース
・ベトナム知的財産法
・科学技術省・省令第01/2007/BKHCN号
■本文書の作成者
PHAM & ASSOCIATES
■協力
日本技術貿易株式会社 IP総研
■本文書の作成時期

2015.02.04

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