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韓国における商標の不使用取消審判制度(2013年10月6日施行法の改正概要を含む)
2014年06月06日
■概要
(本記事は、2017/9/19、2020/4/2に更新しています。)URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14035/(2017/9/19)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/18408/(2020/4/2)
商標の不使用取消審判は、登録商標が一定期間継続して韓国国内で正当な理由なく使用されていない場合に、これを理由としてその登録を取消すことを請求できる審判制度である。2013年10月6日に施行された改正商標法において不使用取消審判に係る規定の改正が行われ、制度の見直しが行われた。
■詳細及び留意点
【詳細】
商標の不使用取消審判は、登録商標が一定期間継続して韓国国内で正当な理由なく使用されていない場合に、これを理由としてその登録を取消すことを請求する審判制度である(韓国商標法第73条第3項)。2013年10月6日に施行された改正商標法において、不使用取消審判制度の見直しが行われている。以下では、同改正内容も含めて不使用取消審判制度について紹介する。
(1) 商標不使用取消審判における「不使用」の定義
(i) 商標権者及び商標使用権者の双方とも使用していない場合をいう。
(ii) 商標登録後、取消審判請求日前に継続して3年以上、韓国国内で使用されていないことをいう。過去に使用していたが、審判請求日前3年以上継続して使用されていなかった場合も含まれる。
(iii) 法律による規制又は輸入制限措置等のように、商標不使用に対する正当な理由がある時には取消を免れることができる。
(2) 請求の要件及び効果
(i) 審判請求人
商標不使用取消審判は、利害関係人に限り請求することができる(現行法第73条第6項)。「利害関係人」は幅広く認定され、例えば同種営業を証明する登記簿謄本を提出すれば認定される。
(ii) 取消を請求できる範囲
登録商標が2以上の指定商品をしている場合には、その指定商品の全部又は一部について請求することができる(同法第73条第3項)。
(iii) 立証責任
商標使用についての立証責任は被請求人(商標権者)にあり、商標権者は登録商標の正当な使用を立証すれば、不使用取消を免れることができる(同法第73条第4項)。
(iv) 商標の使用
不使用取消審判において、商標の使用は登録商標と同一でなければならない。ただし、同一性が認定される範囲内での変形使用は、正当な使用として認定される。
(v) 出願商標と先登録商標の同一・類似可否判断時点
旧法では、出願商標と先登録商標の同一・類似可否判断時点が「出願時」であったため、商標出願後に先登録商標があることを理由に拒絶理由通知を受け、引用された先登録商標に対して不使用取消審判を請求した場合、不使用取消審判請求人は、出願中の商標を一旦放棄し、先登録商標に対する商標登録取消審決後に再度出願して審査を受けなければ、商標権を取得することができなかった。そのため、出願人にとって出願手続が2度必要になり、商標権取得に要する期間が長期にわたるという不便さがあった。
現行法では、出願商標と先登録商標の同一・類似可否判断時点が「登録可否決定時」に変更された。この改正により、出願した商標について拒絶理由通知を受けた場合に、当該商標を一旦放棄、再度出願せずに商標登録が受けられるようになり、拒絶理由を解消するために不使用取消審判請求制度を活用することができるようになった(同法第7条第3項)。
再度出願して審査を受ける必要がなくなることから、出願から商標権取得までの期間がおよそ9ヵ月に短縮され、また、出願人にとっては出願費用が軽減されることになる。
(vi) 優先出願期間
上述のとおり、旧法では、不使用取消審判請求人は自身が出願していた商標を一旦放棄し、取消審決確定を受けた後に、不使用取消審判請求人は取消された商標と類似・同一の商標を再度出願する必要があった。そして、審判請求人は、取消審決確定後、審決確定日から6か月の間は、取消された商標と同一又は類似する商標を、その指定商品と同一又は類似する商品に対して優先的に登録を受ける権利を有するとされていた(旧法第8条第5項)。しかし、同一の商標について不使用取消審判を請求した者が複数いる場合、誰が優先出願権を有するかが明確ではなく、先に出願した者が商標登録を受けるとされていた。
そのため、現行法では、商標不使用取消審判請求人の優先出願期間が廃止され、これに伴い、不使用取消審判を請求する前に商標登録出願をするか、既に出願した商標を維持(商標出願の審査を維持)することが必要となった(現行法第8条)。
(vii) 商標登録を取消された商標権者に対する制限
取消審決が確定した場合、商標権者は、3年間は、取消された商標と同一又は類似する商標を、同一又は類似する指定商品に対して受けることができない(現行法第7条5項)。
【留意事項】
- 現行法施行前(2013年10月6日以前)に請求した不使用取消審判については、旧法の規定が適用される。また、現行法が施行される前に行われた商標登録出願も、旧法の規定が適用される。
- 商標を出願して審査中に拒絶予告通知で引用された登録商標に対して不使用取消審判を請求した場合、出願中の商標を維持(商標出願の審査を維持)しなくては先出願の地位を有することができない。
- 商標出願前の事前調査過程で同一又は類似商標が検索された場合は、不使用取消審判を請求する前にまず商標出願することが望ましい。他人が先に出願すると、商標登録を受けることができないためである。
- 「不使用」の基準は審判請求日を基準とするため、商標権者から商標権を譲り受ける交渉をするとしても、まずは、商標不使用取消審判を請求することが望ましい。これは、交渉中に商標権者が商標を使用してしまえば、商標権者は不使用を免れることになるためである。
■ソース
・韓国商標法・改正商標法 法案説明資料、特許庁、2013年4月(下記URLの3つある添付資料の1番目「법안설명자료(상표법).pdf」)
http://www.kipo.go.kr/kpo/user.tdf?a=user.ip_info.amend_law.BoardApp&board_id=amend_law&cp=1&pg=1&npp=10&catmenu=m02_02_02&sdate=&edate=&searchKey=&searchVal=&bunryu=&st=&c=1003&seq=12469&gubun
■本文書の作成者
崔達龍国際特許法律事務所■協力
特許業務法人 深見特許事務所一般財団法人比較法研究センター 菊本千秋
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期
2014.01.18