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(台湾)実用新案登録明細書の図面と比較して進歩性を有するとした主張が参酌されなかった事例
2013年09月27日
■概要
実用新案登録明細書に添付されている図面の意義は模式図に過ぎないため、引用文献である実用新案登録明細書に添付されている図面と比較して係争考案が進歩性を有するとした原告の主張は採用されなかった。■詳細及び留意点
【詳細】
原告は、証拠二図面第2図では、ストッパブロックの形状が小さいため、止める作用を達成できないと主張した。
しかしながら、判決は、実用新案登録明細書に添付されている図面の意義は模式図に過ぎず、寸法が示されていないことから、該模式図に基づいて、ストッパブロックが止める作用を達成できないとは認められず、また、ストッパブロックの形状・大きさは調整可能であると判示し、原告の主張を採用しなかった。
参考(智慧財産法院行政判決の判決理由より抜粋):
原告雖訴稱:「就功效而言,證據二擋塊寬度小於組接槽底部凸緣寬度,若一體成型時,塑料無法完整成型該擋塊,使擋塊寬度不足,致無法達到擋止的作用」云云。惟查證據二圖式第3-1 圖止擋塊之形狀較小,然専利說明書圖式之意義僅為一示意圖,並未標示尺寸大小,尚不能以該示意圖即遽認證據二止擋塊之形狀太小或尺寸上即為該大小,於一體成型時,塑料無法完整成型該擋塊,無法達到擋止的作用;況證據二既已揭示該止擋塊之構造及達成止擋卡扣塊之功效,且止擋塊形狀大小均是選擇調整,原告率以證據二圖式中止擋塊之尺寸或形狀即認系爭専利具進步性,洵不足採。
(日本語訳「原告は「効果としては、証拠二のストッパブロックの幅が組み付け溝の底部のフランジの幅より小さく、一体成型の場合に、プラスチックが該ストッパブロックを完全に成型できず、これにより、ストッパブロックの幅が不足になり、止める作用を達成できない」と主張した。しかしながら、調べにより、証拠二図面の第3-1図のストッパブロックの形状が小さいが、実用新案登録の図面の意義は模式図であるに過ぎず、且つ寸法も記載されていないことから、該模式図に基づいて、証拠二のストッパブロックの形状は小さ過ぎるか又は寸法通りであり、一体成型の場合に、プラスチックが該ストッパブロックを完全に成型できず、止める作用を達成できないとは認められない。その上、証拠二は、該ストッパブロックの構造と止め係合ブロックとの効果を開示しており、且つストッパブロックの形状・大きさはいずれも調整可能である。したがって、証拠二図面におけるストッパブロックの寸法又は形状に基づいて、係争考案が進歩性を有するとの原告の主張は採用できない。」)
【留意事項】
図面の寸法又は形状に基づいて進歩性を有すると主張しても、明細書に明確に支持されていない限り採用されないと考えられることから、図面に記載した技術的特徴は明細書にも的確に記載しておくことが望ましい。
■ソース
・智慧財産法院行政判決98年度行専訴字第92号■本文書の作成者
知崇国際特許事務所 弁理士 松本征二■協力
萬國法律事務所 鍾文岳一般社団法人 日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期
2013.01.28