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(台湾)数値範囲で特定された数値限定発明において、その発明を過度な実験をすることなく実施することができれば実施可能要件を満たす旨が示された事例

2013年07月02日

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■概要
智慧財産法院は、特許請求の範囲に詳細な数値が開示されていなくても、数値範囲が開示されており且つ過度な実験をすることなくその数値範囲に含まれる発明を実施することができれば実施可能要件を満たす旨判示した。
■詳細及び留意点

【詳細】

 係争特許出願の請求項1には、角度について数値範囲は記載されているが、具体的な数値は記載されていなかった。そのため、智慧財産局は、角度が数値範囲で記載されているので、発明を実施することができず、特許請求の範囲の記載は不明確であるとして係争特許出願を拒絶した。上訴人(特許出願人)は、特許請求の範囲には角度が数値範囲で記載されているが、その数値範囲は明確であり、且つ図7及び明細書第9ページの内容に基づいて、当業者であれば普通且つ一般的実験を行うことで本発明を製造及び使用することができると主張した。智慧財産法院は、上訴人の主張を認めて、係争特許出願に対する拒絶査定を取消した。

 

参考(智慧財産法院の判決理由より抜粋):

 

只要該技術領域中之一般人士,依據說明書所載內容,經由例行性、一般性之實驗,即便必須實驗多次,但仍係於說明書所載之可能範圍內所為之實驗,仍非屬過度的實驗。亦即依據專利說明書記載之內容,如可限制該技術領域之一般人士所須付出之實驗精神及勞力,應仍符合可實施性之要件。

 

(日本語訳「当業者は明細書に開示されている内容に従って、普通且つ一般的実験を行う場合、仮に複数回の実験が必要であっても、明細書に記載されている範囲内で可能な実験である場合は、過度な実験に属しない。つまり、明細書に記載されている内容により、当業者が通常の努力で実験できる程度であれば、実施可能要件は満足する」)

 

【留意事項】

 数値範囲を用いて請求項に係る発明を特定することは可能である。ただし、当該数値範囲内に含まれる発明を、当業者が過度な実験をすることなく実施することができる程度に、明細書及び図面が記載されている必要がある。

■ソース
・智慧財産法院判決98年度行專訴124号
■本文書の作成者
知崇国際特許事務所 弁理士 松本征二
■協力
萬國法律事務所 鍾文岳
一般社団法人 日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2013.01.28

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