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(台湾)請求項の記載内容と明細書又は図面における記載内容とが一致しないときに、請求項の記載内容に基づいて発明又は考案の範囲を認定すべきであるとした事例

2013年06月14日

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■概要
上訴人は、登録実用新案第236471号(証書番号:95615)「小型放熱ファンの固定子の結合構造」において、係争明細書の内容から、係争考案が専利法第97条の規定に違反していると主張した。判決は、請求項の記載内容と明細書又は図面における記載内容とが一致しないときに、請求項の記載内容に基づいて権利範囲を認定すべきであるとした。
■詳細及び留意点

【詳細】

 上訴人(無効審判請求人)は、請求項1に係る考案は製造方法(実施ステップ)を含んでいると主張し、また、図面第2~5図の内容に基づいて、上訴人は該製造方法が請求項1の重要な技術的特徴であるため、請求項1に係る考案が専利法第97条の「実用新案が物品の形状、構造又は組み合わせに属さない場合」との規定に該当すると主張した。しかしながら、判決は、権利範囲は請求項の記載内容に基づいて解釈すべきであって、明細書又は図面に記載の内容に基づいて解釈すべきでないと判示し、請求項1に係る考案における記載によれば、該製造方法はこれら構成要素の連結関係を補助的に説明しているに過ぎないため、専利法第97条に違反していないとして、上記主張を却下した。

 

参考(最高行政法院判決の判決理由より抜粋):

 

又舉發案之審查,證據之專利說明書全部內容均可成為引證範圍;系爭專利部分,係以系爭專利之申請專利範圍為準,申請專利範圍之記載內容與發明(或新型)說明或圖式中之記載內容不一致時,應以申請專利範圍之記載內容認定專利權範圍,上訴人將系爭專利說明書之內容反推系爭專利因此有違專利法第97條之規定,尚非可採。

 

(日本語訳「また、無効審判請求事件の審判では、証拠としての明細書のすべての内容はいずれも引証範囲とすることができる。本件では、請求項に記載された範囲を基準とし、請求項に係る考案の記載内容と明細書又は図面における記載内容とが一致しないときに、請求項の記載内容に基づいて権利範囲を認定すべきである。上訴人が明細書の内容から係争考案を抽出することは、専利法第97条の規定に違反するため、採用できない。」)

 

【留意事項】

 出願した特許(又は実用新案)の請求項の記載内容と明細書又は図面の記載内容とが一致しない場合は、請求項の記載内容に基づいて権利範囲が認定される。そのため、答弁又は無効審判請求にかかわらず、請求項の記載に基づいた主張をすべきであって、実施例又は図面の内容のみに基づいた対比・主張をすべきではない。

■ソース
・最高行政法院判決100年度判字第1583号
■本文書の作成者
知崇国際特許事務所 弁理士 松本征二
■協力
萬國法律事務所 鍾文岳
一般社団法人 日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期

2013.01.07

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