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(中国)意匠の図面間の矛盾について

2013年04月23日

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■概要
本件は、意匠の写真の間で不一致が存在したため特許庁審判部によって無効決定がなされ、これを不服として北京中級人民法院に提訴したものの無効決定が支持され、北京高級人民法院に控訴したものである。本件では、右側面図の瑕疵について、本件意匠の保護範囲の確定を不可能にし、何人も本件意匠の図面に基づいて対応する物品を製造することはできないとして、第一審判決及び無効決定が支持された。
■詳細及び留意点

 本件意匠(中国語「外观设计专利」)は伸縮可能な門の意匠であり、正面図、左側面図、右側面図と斜視図の4枚の写真で意匠を特定していた。しかし、左側面図と斜視図には横方向のバーが存在するが、右側面図には当該バーが存在しないという矛盾が存在したため、無効審判が請求され、特許庁審判部(中国語「专利复审委员会」)によって無効決定が下された。

 第一審の北京中級人民法院が無効決定を支持したため、北京高級人民法院に控訴したところ、図面に製図上の重大な瑕疵が存在する結果、意匠の各図面間に矛盾が存在し、意匠の保護範囲を確定することができず、産業への適用と大量生産ができない状況になるのであれば、そのような意匠は専利法実施細則第2条第3項*1の規定に反するものであり、無効にすべきとの考えが示された。その上で、北京高級人民法院は、本件の右側面図の瑕疵について、本件意匠の保護範囲の確定を不可能にし、何人も本件意匠の図面に基づいて対応する物品を製造することはできないとして、第一審判決及び無効決定を支持した。

 

参考(北京市高級人民法院民事判決2008年5月23日付(2008)高行初字第94号より抜粋):

 本院认为,专利法所称外观设计,是指对产品的形状、图案或者其结合以及色彩与形状、图案的结合所作出的富有美感并适用于工业应用的新设计。专利法第五十六条规定,外观设计专利权的保护范围以表示在图片或照片中的该外观设计专利产品为准。专利法实施细则第二十七条第三項规定,申请人应当就每件外观设计产品所需要保护的内容提交有关视图或者照片,清楚地显示请求保护的对象。根据上述规定,申请人提交的外观设计视图应当按照技术制图或机械制图国家标准绘制,正确反应投影关系,各视图之间能够相互对应。如果视图中存在属于制图错误的重大瑕疵,使得外观设计专利的各个视图之间存在矛盾,导致外观设计保护对象无法确定,并且无法将其应用于产业上并批量生产,则该外观设计专利不符合专利法实施细则第二条第三項的规定,应当被宣告无效。

 本专利系由主视图、左视图、右视图和立体图四个视图构成,缺一不可,利用本专利外观设计的产品应当能够完整一致地体现四个视图所确定的视觉效果。本专利左视图与立体图中明示有一横杆,而右视图中却无此横杆,显然,本专利视图之间存在矛盾。本领域普通设计人员根据本专利视图所示不能确定专利产品是否应具有该横杆,无法生产出左视图与立体图中有一横杆而右视图却无此横杆的专利产品,该瑕疵应属于明显的制图错误。由于该制图错误导致本专利的保护对象不能确定,任何人均无法按照本专利的视图制造出相应的产品,因此,本专利不符合专利法实施细则第二条第三項的规定,应当被宣告无效。上诉人谢植亮虽主张右视图只是处理照片失误造成失真,但并未提供有效证据证明该主张,故其关于本专利的上述瑕疵不足以导致本专利不符合专利法实施细则第二条第三項之规定的上诉主张没有事实和法律依据,本院不予支持。

(参考訳)

 当裁判所は、専利法における意匠とは、物品の形状、模様又はその結合、及び色彩、形状、模様の結合によって創作される美感であり、工業に活用される新しい設計をいうと解する。専利法第56条*2は、意匠権の保護範囲は図面又は写真に表された意匠の物品を基準とすると規定する。専利法実施細則第27条第3項*3は、出願人は意匠実施物品が求める保護内容について1件ごとに関連する図面又は写真を提出し、保護を請求する対象を明瞭に示さなければならない、と規定する。上記規定を根拠に、出願人が提出した意匠の図面は、技術製図又は機械製図の国家標準製図法に則して作成し、投影関係を正確に反映させることで、各図面間で相互に対応可能にしなければならない。

 もし図面の中に製図上のミスで重大な瑕疵に該当するものが存在する結果、意匠権の各図面間に矛盾が存在し、意匠の保護範囲を確定することができず、産業への適用と大量生産ができない状況になるのであれば、当該意匠は専利法実施細則第2条第3項に規定される要件を具備せず、無効宣言がなされるべきである。

 本件意匠は正面図、左側面図、右側面図及び斜視図の4つの写真で構成され、いずれも不可欠であり、本件意匠の実施物品は当然に、4つの写真から確定する視覚効果と完全一致した状態で具体化されることになる。本件意匠の左側面図と斜視図では一本のバーが存在することが明示されているが、右側面図にはこのようなバーは存在していないので、本件意匠の写真間には矛盾が存在する。当業界の通常の設計者は本件意匠写真の表示に基づいて本件意匠の実施品が当該バーを有するか否かを判断することはできず、左側面図と斜視図には一本のバーがあり、右側面図にはそのようなバーが存在しない意匠の実施品を生産することもできない。このような製図上のミスは本件意匠の保護範囲の確定を不可能にし、何人も本件意匠の写真に基づいて対応する物品を製造することはできないから、これ故、本件意匠は専利法実施細則第2条第3項に規定する要件を具備せず、無効宣言がなされるべきである。上訴人の谢植亮は、右側面図は写真の処理を誤って歪みが生じたに過ぎないと主張しているが、このような主張を証明する有効な証拠を提出していないから、本件意匠の上述の瑕疵は本件意匠の専利法実施細則第2条第3項違反には至らないとの上訴の主張は事実にも法律にも依拠しておらず、当裁判所は支持しない。

 

*1:2010年改正により、この条文は削除されている。

*2:現行法では第59条に変更されている。

*3:2010年改正により、現行法では第27条第2項に変更されている。

 

本件意匠の図面

本件意匠の図面

 

 【留意事項】

 中国の意匠出願では、実体審査(中国語「实质审查」)を経ることなく登録されるため、図面や写真の間で矛盾が生じていても登録されるが、訂正制度がなく、図面や写真の瑕疵を訂正することもできない。図面や写真の不一致により意匠が特定できないと判断されれば無効理由に該当するため、出願前に写真や図面の間の矛盾が存在しないかを注意すると共に、技術製図又は機械製図の国家標準に則して作製することに留意すべきである。

■ソース
・中国専利法
・中国専利法実施細則
・北京市高級人民法院民事判決2008年5月23日付(2008)高行終字第94号
http://bjgy.chinacourt.org/public/paperview.php?id=27196
■本文書の作成者
特許庁総務部企画調査課 根本雅成
■協力
北京林達劉知識産権代理事務所
■本文書の作成時期
2012.11.30
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