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韓国における商標の不使用取消審判制度

2012年12月18日

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■概要
(本記事は、2014/6/6、2017/9/19、2020/4/2に更新しています。)
 URL:https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/5910/(2014/6/6)
    https://www.globalipdb.inpit.go.jp/laws/14035/(2017/9/19)
    https://www.globalipdb.inpit.go.jp/judgment/18408/(2020/4/2)

商標不使用取消審判は、登録商標が一定期間、継続して韓国国内で正当な理由なく使用されていない場合に、それを理由としてその登録商標を取消すことを請求する審判をさす(商標法第73条第1項第3号)。取消審決が確定した場合、商標権者は3年間は同一または類似の商標について登録できない点(商標法第7条第5項)、取消審決確定後6ヶ月間は取消審判請求人のみが商標登録を受けることができる点(商標法第8条第5項及び第6項)等日本制度と異なる点があるので注意が必要である。
■詳細及び留意点

審判の手順は、「韓国における特許・実用新案・商標・意匠の審判制度概要」のコンテンツに記載しているので、以下では、不使用取消審判のみに関する事項について述べる。

 

(1)商標不使用取消審判における「不使用」の意味

(i)商標権者及び商標使用権者の双方ともが使用していない場合をいう。

(ii)商標登録後、取消審判請求日前に継続して3年以上、韓国国内で使用されていないことをいう。過去に使用していたが、審判請求日前3年以上継続して使用を中止した場合も含まれる。

(iii)法律による規制または輸入制限措置等のように商標不使用に対する正当な理由があるときには取消を免れることができる。

 

(2)請求の要件及び効果

(i)商標不使用取消審判は利害関係人に限り、請求することができる(商標法第73条第6項)。「利害関係人」は幅広く認定され、例えば同種営業を証明する登記簿謄本を提出すれば認定される。

(ii)登録商標の2以上の指定商品を指定している場合には、その指定商品の全部または一部について請求することができる(商標法第73条第3項)。

(iii)商標使用についての立証責任は被請求人(商標権者)にあり、商標権者は登録商標の正当な使用を立証すれば、不使用取消を免れることができる(商標法第73条第4項)。

(iv)不使用取消審判において、商標の使用は登録商標と同一でなければならない。ただし、同一性が認定される範囲内での変形使用は正当な使用として認定される。

(v) 取消審決が確定した場合、審判請求人は、審決確定日から6ヶ月の間は、取り消された商標と同一又は類似する商標をその指定商品と同一又は類似する商品に対して優先的に登録を受ける権利を有する(商標法第8条第5項)。

(vi)取消審決が確定した場合、商標権者は、3年間は、取消された商標と同一又は類似する商標を同一または類似する指定商品に対して登録を受けることができない(商標法第7条第5項)。

 

【留意事項】

(1)商標出願をした後、他人の先登録商標と類似しているという拒絶予告を受け、先登録商標について不使用取消審判を請求した場合、審決確定後6ヶ月以内に再出願しなければ、登録を受けることができないので注意を要する(商標法第7条第1項第7号・第8条第5項及び第6項)。日本の場合は、不使用登録審判が成功すれば前記商標出願が登録されることになるため、再出願をしなくてもよいのであり、この点が日本の商標法と大きく異なる点である。

また、同一または類似する他人の商標が複数ある場合、これら全ての商標を取り消さなければ、取消審判の審決確定後、取り消した商標と同一又は類似の商標を出願あるいは再出願しても、他の類似商標の存在を理由として拒絶になることがある。

 

(2)不使用の基準は審判請求日を基準とする(日本は審判請求登録日を基準とする)ため、商標権者と商標権の譲受交渉を行うとしても、まず、商標不使用取消審判を請求することが望ましい。これは、交渉中に商標権者が商標を使用すれば、商標権者は不使用取消を免れるようになるからである。

 

(3)出願前に、同一または類似する商標の有無だけでなく、登録商標の使用の有無についての調査をし、該当する場合には、商標出願前に、登録商標の不使用取消審判請求をすることを検討することが望ましい。

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