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台湾における特許無効審判制度の概要

2021年06月08日

  • アジア
  • 審判・訴訟実務
  • 特許・実用新案
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■概要
台湾では、特許権の無効審判手続は原則、何人も請求することが可能である。請求後は答弁書等の提出により争点整理を行い、審査(日本で言う「審理」、以下同様)を経て審決が出される。審決に対しては、審決書送達日の翌日から30日以内に行政救済として訴願を申し立てることができる。
■詳細及び留意点

【詳細】

台湾における特許無効審判の流れ

(1) 請求人
 原則、誰でも請求可能(専利法第71条第1項、第2項)。ただし、共同出願違反と冒認出願の場合は、利害関係人のみ請求できる(同上第3項)。

(2) 請求期間
 特許権存続期間中のみならず、消滅後も無効審判の請求が可能である。ただし、特許権消滅後は、特許権を無効にすることにより回復する法律上の利益を有する者のみ請求できる(専利法第72条)。つまり、特許権存続中であれば原則として誰でも審判請求ができるが、特許権消滅後は、特許を無効にすることで回復する法律上の利益を有する者でなければ、審判請求できない。

(3) 無効理由
 以下の法定列挙された理由に限り、無効審判の根拠にできる(専利法第71条第1項)。無効審判を請求する理由があるかどうかは、その特許査定時の規定に基づくが、第34条第4項、第6項前段、第43条第2項、第67条第2項、第4項または第108条第3項の規定に違反する事由を以て無効審判を請求する場合は、無効審判請求時の規定による(専利法第71条第3項)。

条文番号 概要
第21条 発明の定義違反
第22条第1項柱書 産業上の利用性違反
第22条第1項 新規性違反
第22条第2項 進歩性違反
第23条 拡大先願違反
第24条 特許を受けられない発明違反
第26条 明細書・請求項の記載要件違反
第31条 先願主義違反
第32条第1項、第3項 特許実用新案同日出願違反
第34条第4項、第6項前段 分割における新規事項追加違反
第43条第2項 補正における新規事項追加違反
第44条第2項、第3項 外国語出願の中国語翻訳文の原文超過違反
第67条第2項~第4項 訂正における出願時新規事項追加違反等
第108条第3項 出願変更における新規事項追加違反
第71条第1項第2号 特許権者が属する国が台湾の特許出願を受理しない場合
第71条第1項第3号 共同出願違反または冒認出願該当

 第71条第1項第3号のみ、審判請求の際に利害関係が要求される。また、冒認出願については、特許公告日から2年以内に無効審判を請求しなければ、冒認出願された特許を取り戻すための出願手続きができなくなる(専利法第35条第1項)。

(4) 審判手続
(i) 書類
 無効審判の声明および理由を明記した申請書並びに証拠を提出する(専利法第73条第1項)。利害関係人のみが請求できる無効理由に基づく審判請求の場合、請求人は無効審判請求書によって利害関係人に該当することを声明し、証拠を提出しなければならない。証拠書類が提出されず、または証拠が不足である場合、智慧財産局は補完するよう請求人に通知しなければならない。そして、請求人が所定の期間(3か月)内に補完しない場合、智慧財産局は補正を参酌しない(専利法第73条第4項)。

(ⅱ) 手続
 無効審判請求受理後、専利主務官庁(智慧財産局)は副本を特許権者に送達する(専利法第74条第1項)。特許権者は送達の翌日から1か月以内に答弁書を提出する。先に理由を述べて期日の延長が認められた場合を除き、期日までに答弁しないときは、そのまま審査を進めるものとする。(専利法第74条第2項)。

(ⅲ) 補完
 請求理由および証拠の補完は請求日から3か月以内にしなければならないが、期限経過後に提出されたものは参酌しない(専利法第73条第4項)。

(ⅳ) 訂正
 特許権者は特許の内容を訂正することが可能であり(専利法第67条第1項)、無効審判係属中に訂正を行うと、その訂正手続と無効審判手続は併合審査される。その訂正が認められる場合、訂正後の明細者等が審判請求人に送達される(専利法第77条第1項)。訂正の効果は出願日まで遡及し、訂正後の内容で出願されたことになる(専利法第68条第3項)。

(v) 審査(日本でいう「審理」)
 指定された審査官により審査が行われ、審決書が作成され、審判請求人および特許権者に送達される(専利法第79条第1項)。審査においては、智慧財産局は請求または職権により、相当の期間を指定して、特許権者に対し面接、必要な実験、模型または見本の提出をするよう命じることができる(専利法第76条第1項)。無効審判の対象となる特許が権利侵害訴訟に関係する場合、無効審判が優先的に審査される場合がある(専利法第101条)。

(ⅵ) 取下げ
 審判請求人は審決が出される前まで、無効審判を取り下げることができるが、特許権者が既に答弁書を提出した場合、特許権者の同意を得なければ無効審判を取り下げることができない(専利法第80条第1項)。特許権者は取下げ通知送達後10日以内に反対の意思表示をしないと、取り下げに同意したものとみなされる(専利法第80条第2項)。

(5) 審決
 無効理由の有無は、各請求項単位で判断される(専利法第82条第1項)。無効にする審決が出た後、審決を不服として訴願手続を行わない場合、或いは訴願手続によっても審決が覆らない場合に審決は確定し、特許権は最初から存在していなかったことになる(専利法第82条第2項)。特許維持審決が出た場合、一事不再理の原理により、何人も同一事実または証拠に基づいて、再度無効審判を請求することができない(専利法第81条)。

(6) 不服申立
 審決書送達日の翌日から30日以内に、経済部に訴願書を提出して、審決への不服を申し立てることができる(訴願法第4条、同第14条)。

【留意事項】
2013年1月1日より旧法が施行されたが、その際の無効審判における主な改正点として、複数の無効審判請求の併合審査(専利法第78条)、無効審判請求人が提出しなかった無効審判請求範囲における理由もしくは証拠についての職権審査(専利法第75条、第120条および第142条)、および、訂正請求と無効審判請求が同時継続の場合の併合審査(専利法第77条第1項、第120条および第142条)などを挙げることができる。加えて、分割請求、変更出願、訂正請求において出願時の範囲を超え、または実質的に公告時の専利権範囲の拡大・変更された場合の無効理由の適用について、現行法施行前に登録査定がなされた専利権に対しても無効審判を請求できるとした点は、注意を要する(専利法第71条第3項、第119条第3項および第141条第3項)。
2019年11月1日より改正法が施行され、無効審判に関わる主な改正点として、無効審判請求人が理由または証拠を補完できる期間が「1か月以内」から「3か月以内」に改正され、また、審決前に提出された理由または証拠は、期間徒過後でも参酌されるとされていたが、改正法では期限後の提出は参酌されない。また、特許権者の訂正請求は、答弁、補充答弁または応答期間内のみ可能となった。今回の改正法により、これまで3~5年を要した無効審判は、その審判期間が短縮されると予想される(専利法第73条、第74条、第77条)。

■ソース
・台湾専利法 (2019年11月1日施行)
URL:https://law.moea.gov.tw/LawContent.aspx?id=FL011249

・専利審査基準第5編(全)專利權之舉發(無効審判審理)(2019年11月1日施行)
URL:https://topic.tipo.gov.tw/patents-tw/cp-682-870084-40df5-101.html

・台湾訴願法(2012年6月27日改正)
URL:https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?PCode=A0030020
■本文書の作成者
日本国際知的財産保護協会
■本文書の作成時期
2020.12.23
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