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2020年04月02日
韓国では2013年10月6日と2016年9月1日に施行された改正商標法において、不使用取消審判制度の見直しが行われている。以下では、同改正内容も含めて不使用取消審判制度について詳しく紹介する。
(1)商標不使用取消審判における「不使用」の定義
(i)商標権者および商標使用権者の双方とも使用していない場合をいう。
(ii)商標登録後、取消審判請求日前に継続して3年以上、韓国国内で使用されていないことをいう。過去に使用していたが、審判請求日前3年以上継続して使用されていなかった場合も含まれる。
(iii)法律による規制または輸入制限措置等のように、商標不使用に対する正当な理由がある時には取消を免れることができる。
(2)請求の要件および効果
(i)審判請求人
商標不使用取消審判は、利害関係人だけでなく誰でも請求することができる(商標法第119条第5項)。
(ii)取消を請求できる範囲
登録商標の指定商品が2以上ある場合には、その指定商品の全部または一部について請求することができる(商標法第119条第2項)。
(iii)立証責任
商標使用についての立証責任は被請求人(商標権者)にあり、商標権者は登録商標の正当な使用を立証すれば、不使用取消を免れることができる(商標法第119条第3項)。
(iv)商標の使用
不使用取消審判において、商標の使用は登録商標と同一でなければならない。ただし、同一性が認定される範囲内での変形使用は、正当な使用として認定される。
(v)出願商標と先登録商標の同一・類似可否判断時点
2013年改正法以前は、出願商標と先登録商標の同一・類似可否判断時点が「出願時」であったため、商標出願後に先登録商標があることを理由に拒絶理由通知を受け、引用された先登録商標に対して不使用取消審判を請求した場合、不使用取消審判請求人は、出願中の商標を一旦放棄し、先登録商標に対する商標登録取消審決後に再度出願して審査を受けなければ、商標権を取得することができなかった。そのため、出願人にとって出願手続が2度必要になり、商標権取得に要する期間が長期にわたるという不便さがあった。
2013年改正法以降は、出願商標と先登録商標の同一・類似可否判断時点が「登録可否決定時」に変更された。この改正により、出願した商標について拒絶理由通知を受けた場合に、当該商標を一旦放棄、再度出願せずに商標登録が受けられるようになり、拒絶理由を解消するために不使用取消審判請求制度を活用することができるようになった(商標法第34条第2項)。
(vi)優先出願期間
上述のとおり2013年改正法以前は、不使用取消審判請求人は自身が出願していた商標を一旦放棄し、取消審決確定を受けた後に、不使用取消審判請求人は取消された商標と類似・同一の商標を再度出願する必要があった。そして、審判請求人は、取消審決確定後、審決確定日から6か月の間は、取消された商標と同一または類似する商標を、その指定商品と同一または類似する商品に対して優先的に登録を受ける権利を有するとされていた(旧商標法第8条第5項)。しかし、同一の商標について不使用取消審判を請求した者が複数いる場合、誰が優先出願権を有するかが明確ではなく、先に出願した者が商標登録を受けるとされていた。
そのため、2013年改正法以降は、商標不使用取消審判請求人の優先出願期間が廃止され、これに伴い不使用取消審判を請求する前に商標登録出願をするか、既に出願した商標を維持(商標出願の審査を維持)することが必要となった。
(vii)商標登録を取消された商標権者に対する制限
取消審決が確定した場合、商標権者は、3年間取消された商標と同一または類似する商標を、同一または類似する指定商品に対して受けることができない(商標法第34条3項)。
(viii)取消審判の審決が確定された場合、商標権の消滅時期
不使用取消審判により取消審決が確定された場合、その商標権は審判請求日に遡及され、消滅するものとみなす。(商標法第119条第6項)
(3)留意事項
・2013年10月6日改正法施行以前に請求した不使用取消審判、および商標登録出願については、旧商標法の規定が適用される。
・商標を出願して審査中に拒絶予告通知で引用された登録商標に対して不使用取消審判を請求した場合、出願中の商標を維持(商標出願の審査を維持)しなければ先出願の地位を有することができない。
・商標出願前の事前調査過程で同一または類似商標が検索された場合は、不使用取消審判を請求する前にまず商標出願することが望ましい。他人が先に出願すると、商標登録を受けることができないためである。
・「不使用」の基準は審判請求日を基準とするため、商標権者から商標権を譲り受ける交渉をする場合には、まず、商標不使用取消審判を請求することが望ましい。これは、交渉中に商標権者が商標を使用してしまうと、商標権者は不使用を免れることになるためである。
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