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(中国)公示送達について

2012年10月09日

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■概要
中国には日本と同様、公示送達がある(商標実施条例第11条)。本案では商標拒絶不服審判手続中に出願人が住所及び電話番号を変更したにも関わらず、商標評審委員会に通知をしなかったため、商標評審委員会は拒絶不服審判決定書を公示送達で行い、出願人が同決定に対する不服申立を法定期限内に行えなかった事案である。
■詳細及び留意点

 出願商標「Class」に対し、登録商標「Clarks」を引用した拒絶査定に不服があり、拒絶不服審判が請求され、拒絶不服審判決定書が発行された。同審判審理中に、出願人は住所と電話番号を変更したが、商標評審委員会には通知をしなかったところ、決定書が発行されて郵送による送達が行われたが、送達書類が郵便局から返送されたので、《商標公告》による送達が行われた。同決定書は2007年11月21日に公告された結果、2007年12月21日に送達されたとみなされたが、出願人が決定を知って提訴したのが2008年3月25日であり、法定期限を超過した正当な理由の提示もなかったとして、訴えを却下した。

 

参考(北京市中級人民法院民事判決2008年11月27日付(2008)一中行初字第480号より抜粋):

 《中华人民共和国商标法实施条例》第十一条规定,商标评审委员会的各种文件,可以通过邮寄、直接递交或者其他方式送达当事人。文件无法邮寄或者无法直接递交的,可以通过公告方式送达当事人,自公告发布之日起满30日,该文件视为已经送达。

 本案中,莱斯佩斯公司于2006年10月变更公司住所地及电话,但未通知商标评审委员会,理应承担相应的法律后果。商标评审委员会作出〔2007〕第6561号决定后,采用邮寄方式送达莱斯佩斯公司被退回。由于《商标公告》系商标局或商标评审委员会对外公告各种相关文件的载体,故当〔2007〕第6561号决定无法通过邮寄或直接递交方式送达莱斯佩斯公司时,商标评审委员会通过发布《商标公告》方式送达,符合法律规定,并无不当。涉案公告系于2007年11月21日发布,根据法律规定,〔2007〕第6561号决定于2007年12月21日被视为送达莱斯佩斯公司。

 莱斯佩斯公司不服〔2007〕第6561号决定,应于视为送达之日起30日内向本院提起行政诉讼,而其起诉之日为2008年3月25日,显然超过法定期限,并且其未提供正当理由,依法应裁定驳回起诉。莱斯佩斯公司主张起诉未超过起诉期限,缺乏事实和法律依据,本院不予支持。

(参考訳)

 中華人民共和国商標法実施条例第11条の規定によれば、商標評審委員会の各種文書は、郵送、手渡し或いはその他の方式で当事者に送達することができる。書類を郵送又は手渡しができない場合は、公告方式による送達をすることが可能で、公告日より30日間を満了した日に、その文書は送達されたものと見なされる。

 本案中、莱斯佩斯公司は2006年10月に法人住所及び電話番号を変更したが、商標評審委員会には通知せず、その法的責任を負わなければならない。商標評審委員会は〔2007〕第6561号決定後に、郵送方式を採用して莱斯佩斯公司に送達したが、戻ってきた。《商標公告》は商標局或いは商標評審委員会は各種関係書類を公告する媒体であり、本件〔2007〕第6561号決定は郵送或いは手渡しによる莱斯佩斯公司への送達ができなかった時に商標公告方式送達を選択したのであり、適法で不当なところはない。当該公告は2007年11月21日に公布され、法律の規定により、〔2007〕第6561号決定は2007年12月21日に莱斯佩斯公司に送達されたとみなされる。

 莱斯佩斯公司は〔2007〕第6561号決定について不服がある場合は、送達されたと見なされた日より30日以内に当裁判所に行政訴訟を提起しなければならないが、その起訴した日は2008年3月25日であり、法定期限を超過していることは明らかであり、超過した正当な理由も示されていないことから、法に従って起訴を棄却する裁定を行うべきである。莱斯佩斯公司は起訴期限が超過する前に起訴したと主張しているが、事実及び法律の根拠を欠いており、当裁判所は支持しない。

 

【留意事項】

 本件は、住所や電話番号などの連絡先変更を通知しなかったという事務手続を怠ったことで、不服申立の道が絶たれてしまった事案である。現地代理人を通して手続を行っていれば、このようなトラブルは発生しないが、現地法人が直接行う場合は注意が必要である。直接手続を行うだけではなく、このようなトラブルの発生を防ぐ意味で、外部の事務所を活用することも考慮すべきであろう。

 

【本件商標】

商標

 

 

 

 

■ソース
北京市中級人民法院民事判決2008年11月27日付(2008)一中行初字第480号
■本文書の作成者
特許庁総務部企画調査課 根本雅成
■協力
北京林達劉知識産権代理事務所
■本文書の作成時期

2012.08.28

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